別れ際に、彼はいつも言う。
「またね。さよならは言わないよ。またね!」
彼は決して、さよならとは言わない。
どうしてって?て聞いても、彼は何だが濁す。私には教えたくないのかもしれない。
彼女とデートして、その別れ際、俺はさよならとは言わない。いつも、またねという。
その事を、どうして?って彼女は聞くけれど、俺はまだ教えられずに居る。
これが教えていい事なのかもわからない。
俺は判別出来ずにいる。
俺には、彼女の前に付き合っていた人がいた。俺よりも5つ年上で、何をするにも大人びていて、どうして俺と付き合ってくれているのか不思議に思う程、俺には勿体ない位素敵な人だった。
そんな人との何気ないデートの日。
俺はいつも通り「さよならー、バイバーイ」って、幼気に彼女に言って、彼女も「はーい、バイバイ」といって別れた。
これが、本当のお別れになってしまうなんて
別れた後、彼女は不慮の事故でなくなった。
さよなら。バイバイ。が、本当の別れになってしまった記憶。
俺はそれ以来、誰と別れの時も、さよなら。バイバイ。とは言わなくなった。
それから月日は経ち、今の彼女と付き合うようになってからも、俺は一度もさよならとは言っていない。言えなくなったままだ。
今の彼女も俺には勿体ない位可愛くて、明るい人。俺はそんな彼女がとっても大好きだ。
決して、彼女の代わりではない。
だけど、俺は未だに、さよなら、バイバイを使えずにいる。使わないようにしている。
俺にとって、さよなら、バイバイは呪いの言葉で、本当の別れの言葉になってしまったから。
彼女には、いつかこの事を伝えようと思ってる。彼女の反応が怖いけれど、ちゃんと伝えなければいけない。と思っている。
とっても、大切な事だから。
9/28/2023, 10:11:25 AM