たそがれ、黄昏の空に、たそがれる私。
今日は休日だというのに、一日窓辺でたそがれてしまった。
何かしないとなと思い、私は軽くお化粧をして、服を着替えて出掛けていく。
何処に行くか、あてなんてないけれど、私は歩くことにした。
ずっと歩いていると物静かな大きい公園にたどり着いた。私は少し歩き疲れたので休むことにしようと、近くのベンチへ行こうとした時…………
「美晴?」
誰かに私の名前を呼ばれた。
「えっ………、み、美晴っ、美晴でしょ?」
私は名前を呼ばれた方に顔を向ける。
「……!?!!!」
私の、目の前に居たのは
「み、光俊(みつとし)……………、光俊、なの?」
私の元彼。光俊だった。
「美晴っ、会いたかった…………っ」
そう言うと光俊はいきなり私に抱きついて来た。
「!!!!……………っ」
私と光俊は、大学生の時に付き合っていた。
けれど、卒業後のお互いの進む道が違っていて私達二人はその不安に耐えきれず、なくなく別れたのだ。
光俊と別れてから約6年。私に彼氏が出来た事はない。
いつも思い出すのは、光俊の顔だけだったからだ。我ながら、未練がましいと思いながらも、とても辛かった。
「み、光俊………、何で?」
「たまたま、こっちに仕事で来てて、それでこの静かな公園で休もうって思ったら、見慣れてた顔が、美晴が居たからっ…………」
何だが、二人共涙目になっている気がする。
ここまで感動的な再会だろうか。
でも、私達にとっては、嫌いで別れたやけじゃなかった。
ただ、それだけ。
「………光俊、付き合ってる人、……居るの?」
「いないよ。居るわけ無いじゃんっ。」
信じられないなら大学の友人に聞いてみてと言う光俊。
どうやら本当に居ないらしい。
「美晴は?美晴は………、付き合ってる人、居るの?」
「いるわけないじゃん…………っ
私っ、光俊が、良かったもの………光俊が、いい男過ぎて、忘れられ無かったものっ」
涙がポロポロ溢れてくる。
もう、会えない。そう思っていた人が居る。
大袈裟かもしれないけれど、わたしにはそれ程の恋だった。
「美晴………っ、好きだよ。別れてからも、ずっと美晴だけだったよ」
「私だって、光俊が好きだよ。今でも……っ大好きだよっ」
なんという奇跡だろうか。
私はまた、好きで好きで堪らなかった人と
両思いになった。
なんて、幸せな事なのだろう……。
「…………………っ」
チュッ
重なるのは、二人の唇。
それからの事は、二人だけの秘め事だ。
10/1/2023, 11:17:32 AM