るに

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3/23/2026, 4:58:35 PM

特別な存在を作ってしまえば
私が私じゃ
なくなる気がした。
白雲峠にも
出入りする資格が
無くなると思った。
だから別に
外へ出て化ける必要はないと
思っていたんだ。
でも風に揺られる紅葉を見て、
世界を見る時が来たと思った。
白雲峠を管理・運営しているのは
ネブラスオオカミの長なので
少し相談をしてみると
峠の近くに
はぐれ者の妖怪たちがいる路地裏と
その路地裏出身の妖怪が神主をしている
小さな神社を紹介され、
面倒を見てもらうことに。
猫又は甘酒を飲むと
人型になれるらしく
路地裏で買い込み、
神社に置かせてもらった。
それからは世界を渡り歩いた。
どこにでも
人はうじゃうじゃいた。
自然は美しく
建物は決して多くはなかった。
とにかく緑が豊かだった。
30年ほど休憩を挟もうと
神社に帰ってきた頃、
1人の少女に出会った。
暇つぶしで何となく話していたら
あっという間に
ストックの甘酒を飲み干していた。
何週間かした時、
少女は急に引っ越すと私に言ってきた。
少女は何故か泣いていた。
人はこういう時
どんな言葉をかけるんだろう。
私の思う、
人の優しい言葉に似る
最大限の言葉をかけると、
少女は怒りながら泣いていた。
そして私に好きだと言った。
特別な存在。
少女にとって私は
特別な存在だったのだ。
私にはそんな存在作れない。
だから今度は私の思う、
私の最大限の言葉を。
神のご加護があらんことを。
"Good Midnight!"
それからというもの、
いつもと変わらない日々が
いつもと変わらない早い速度で
過ぎていった。
猫又の弟子を取り、
私の考えを共有し
あなたはどうするかと問いかけた。
弟子は言った。
風に揺られる桜を見たら、
世界を見る時が
来たと思うかもしれません、と。

3/22/2026, 5:23:29 PM

神社でよく会う人、
猫目で白髪の綺麗な少女。
私は心配性で
よく神社に神頼みに来るのだけれど、
少女はいつも神社にいた。
歩きながら、
座りながら、
いつも甘酒を飲んでいた。
私に気づくとニコッと笑って
猫目がさらに猫みたいで
可愛らしい人。
桜が咲く頃、
神社には大きな簾桜があって、
少女と共に
何となく見ていたら
話すようになっていた。
言葉数は少ないのに
ゆったりとした話し方、
優しい声で
付かず離れずの距離。
自然と惹かれ、
私は神社がこんなにも
心の拠り所になるとは思っていなかった。
しかし、
私は家庭の事情で
引っ越すことになってしまった。
海を超えた遠くへ。
少女にそれを言うと、
いつものトーンと
いつもの声で
向こうでも頑張ってくださいなぁ、とだけ。
あぁ、そうか。
少女はそういう人だった。
応援も肯定もしてくれる。
けど言葉には心がこもっていない。
話し方が、声が
優しいだけなんだ。
"Good Midnight!"
最後だからと
私は言ってしまうことにした。
私はこんなにも別れが惜しいのに、
あなたは何も思ってくれないの?
5年もほぼ毎日ここで
他愛もない話をしていて、
私は親友だと思っていたのに。
神社に来るのが楽しみになって
あなたがいることが嬉しくなって、
毎日が華やかになったの。
あなたのことを考えて考えて、
泣きながら今日ここに来た私が
あなたを好きな私が
バカみたいじゃん。
少女は少し考えてから
神のご加護があらんことを。
そう言って
今までで1番柔らかい笑顔を纏って
白くしっぽが二股に裂けている
猫又になって
どこかへ行ってしまった。
甘酒の空き瓶だけを置いて。

3/21/2026, 3:03:10 PM

起きたら世界に
黒猫の君と私以外
誰もいなかった。
最近夜眠れなくて、
ずっと漫画を読んだり
音楽を聴いていたりした。
君が珍しく布団に入ってきて
眠り始めて、
君が暖かくて
私もそのまま寝れた。
起きたら半日終わってて、
世界も終わってた。
君は呑気に毛繕いをしてるけど
私は慌てずにはいられない。
なんてこともなく、
眠過ぎて二度寝した。
起きたら夕方。
世界はそのままだった。
今度は君がベランダで眠っていた。
寝ぼけていた頭が冴え始め、
私はようやく焦る。
食料、水、電気、ガス。
色々どうにかしなきゃいけないこと、
考えて行動しないといけないことが
私だけでなく君にもあった。
考えれば考えるほど
どうにもならなくて、
頭を抱えた。
あ、これ無理なやつだ。
この世界では
私と君だけでは
生きていけない。
知識不足に力不足、
おまけに寝不足。
"Good Midnight!"
まあでも
このまま世界が
狂ったままで
何もかも元通りにならなくても、
なんとかやっていこうよ。
二人ぼっちでさ。

3/20/2026, 4:47:35 PM

私は猫を抱きしめていた。
夢だと気づいた。
だってこの猫は
何年も前に死んじゃった
飼い猫だったから。
でも夢だと信じたくなかった。
暖かかったから。
目が動いてて、
毛がフサフサで、
にゃあっと鳴いてて。
まるで生きてるみたい。
猫が問いかけてくる。
ここにいたい?
私は目を瞑って頷く。
ここにいたい。
ずっと、ずっと。
でも猫は首を振る。
ずっとは無理だ。
僕ももうちょっとで
行かなくちゃ。
もう天国に戻れなくなっちゃう。
私がここで引き止めて
猫の幸せを崩しちゃいけない。
でも
この先に猫にとっての幸せが
あるとしても、
引き止めちゃうかもしれない。
ここにいてほしい。
そんな気持ちを汲み取ったのか、
猫は眠るように寝っ転がった。
私も猫を抱きしめながら
寝っ転がった。
そして猫は言った。
夢だよって。
だから私も言った。
夢だねって。
"Good Midnight!"
暖かい体温を感じながら
夢が醒める前に
これが私の幸せなんだと
噛み締めていたくて。

3/19/2026, 3:10:36 PM

胸が高鳴ることなどない
つまらない世の中では、
私の明日を生きる意味さえ
何処にもないようで。
必要とされてないし
戦力にもなれない。
足を引っ張ることしかできない
社会のお荷物である私は、
どうやら誰かに
連れ去って欲しいみたい。
鳥かごを開けてくれる人を
待っているみたい。
でもそんな人
何処にもいなくて
やっぱり生きる意味が見つからない。
涙は流れない。
大丈夫、まだ大丈夫。
落ち着いて。
そうやって何度も
意味がなくても生きてきた。
けど今回は無理そうだ。
寝て起きたら死んでて欲しいなんて
勝手な願望が
綺麗に並んでいる。
"Good Midnight!"
ねぇ私、
まだ大丈夫なのかな。
まだ生きなきゃいけないのかな。

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