何事にも
表と裏はあるもので、
不条理なことが起きたとしても
それを貫き通し、
安心を提供するのが警察。
安全を提供するのがこちら側。
役職を知られては機密情報が〜
なんて面倒くさいことは無いけれど、
警察はあくまでも安心を提供する。
市民の不安を少しでも和らげる、
それだけ。
こちら側はその間に
安全を確保し提供する。
不条理を理にかなうものにする。
このように
安全を預かっているということは
頭に入れておかなければならない。
表は向かい風で
すぐに倒れてしまう。
だから裏で
その風を受け止め、
表を支えることを
しなきゃいけない。
こちら側の人というのは
臆病だけど
実はしっかり者な人ばかり。
支えれる器を
持っている人ばかりなんだ。
"Good Midnight!"
全てを明かせない秘密ばかりの
今の世界で
安全と安心が両立できるのは
当たり前なんかじゃなくて
裏があって表があるからだって。
髪も肌も
全てが白くて
美しい少女。
彼女は私に居場所をくれた。
親友。
その名が相応しいか、
私一人では判断しかねるけど
まあそれなりに親しい仲だった。
突然現れて
毎日泣いていた私を、
ぼーっと生きていた私を、
連れ出してくれて
居場所をくれて
慰めてくれた。
天使がこの世にいて
白く清く美しいのなら
彼女は天使だろうと思った。
でも違った。
彼女は人間ですら無かった。
たまたま見てしまっただけなのだ。
私が白雲峠に
足を踏み入れてしまっただけなのだ。
彼女は1つずつ話してくれた。
まるでガラス細工を扱うみたいに。
彼女はネブラスオオカミというオオカミの長らしい。
少女の見た目でも
歳はかなり行っているのだとか。
私の前に現れたのは、
白雲峠からいつも見ていて
今にも死にそうな顔をしていて
心配になったからだと。
決して不意打ちして食べようとか、
恐怖で従わせようとかではないと。
私は彼女を信じた。
人ならざる者を
簡単に信じてしまっては
いけないのかもしれないけど、
それでも信じずにはいられなかった。
私を救ってくれた
小さな少女のことを。
"Good Midnight!"
そしてネブラスオオカミは
専門機関に追われていて
見つかってはいけないらしい。
だから…と
彼女は口を噤んだ。
私はその続きがわかった。
だからなるべく優しく、
暖かく、
手を握ってこう言った。
泣かないよ。
これが最後だとしても、
あなたがオオカミだったとしても。
無垢な花は真っ白で
黒を知らない。
少しでも触れてしまえば
元の花では
無くなってしまう気がして
誰も触れられないくらい、
凛と堂々としている。
それが怖くて
花壇には誰も近寄らない。
双眼鏡は
外の全てが見えすぎて
誰も近寄らない。
怖がりな私たちは
少しでも広い世界を見れば
怖くて怖くて
遠ざかってしまう。
空は青く広く自由なのに
それを知れずにいる。
怖がりな私たちは
誰かと同じじゃなきゃ
怖くて怖くて
どうにかなってしまいそう。
"Good Midnight!"
怖がりな私たちは
安定と安心を取って
綺麗な世界も広い世界も
見れずに一生を終えていく。
月を片手で握ると
握れなかった。
丸くてサラサラしてそう。
ツルツルとはしてなさそう。
ひんやりと冷たいけど
ほんのり暖かそう。
そんな満月は
よく星を生む。
空にたくさんの星があるのは
星が毎日生まれるから。
小さくて
どんな形かすら
遠くてわからない星たちは、
光ることしか知らない。
クラゲのように漂うだけ。
小惑星とぶつかり合い
削り削られ漂い続ける。
寒くて空気のない
宇宙空間で。
"Good Midnight!"
星が溢れる真夜中に
ふと空を見上げて
星と月を眺めて
そんなことを考えていた。
でもやっぱり
月には触れないし、
星も遠くて小さい。
泣けなかった。
みんな泣いてるのに、
ボロボロと
大きな涙を流しているのに、
私はうるっとも来なかった。
悲しいし寂しい。
旅立つことが
こんなに心を動かすなんて
想像もつかなかった。
だけど涙は出ない。
友が泣こうとも、
家族が泣こうとも、
自分の目からは何も出てこない。
それから何日か
何週間か
何ヶ月か経ってから
ようやく実感が湧いてきた。
それでも涙は出てこない。
今生の別れかもしれないのに
あっさりと別れて
私は道を歩いている。
そういえば、
いつかどこかで聞いた歌詞を
ずっと覚えていた。
桜の季節の曲だった。
今までを振り返り、
仲間との思い出を噛み締める。
2サビのところで
その歌詞が出てくる。
出会いの為の別れと信じて。
別れで終わるんじゃない。
ここから知らない誰かと
出会う為に別れるんだと。
元は知らない誰かだった仲間のように
出会うために、
命を運ぶ運命のために、
別れが来るのだと。
そんな意味がつまってる気がして
忘れられない。
"Good Midnight!"
あの日
言ってやればよかった。
出会いの為の別れと信じて旅立つと。
だから心配しなくていいと。
少しの後悔は
チクチクと離れないだろう。
安らかな瞳が
涙で輝くその時まで。