るに

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3/27/2026, 4:08:14 PM

大切にしたい思いは
きっと誰にとっても
いらないものだったから
丸めて捨てちゃった。
自分を好きになれなきゃ
他の人も好きになれない、なんて
好きな自分は
他の誰にも好かれない。
好きになるには好かれる必要があって
好かれないなら好きな自分なんか
いらない。
そうやって周りに合わせて
わきまえていった。
とうとう私は
闇鍋みたいに
何でもないものになった。
普通になろうと
周りを平均した自分を作った結果、
普通とも個性とも
少し違う何でもないものに。
ひきつった笑顔だけが
顔に張り付いていて
話をするわけでも、
面白くするわけでもなく、
ただそこにいるだけ。
なりたい姿って
遠くて霞んでて
違うように見えてただけで、
本当はこれだったのかも。
そんな風に毎日毎日
考えることすら
放棄していた。
ある日家に帰って
昼寝をして起きたら深夜だった。
外は土砂降り。
お腹も空いてないし
喉も乾いてない。
電気をつける気力もないし
笑顔の筋力も
もう無かった。
"Good Midnight!"
不意に流れた涙は
疲れというか
悲しみというか。
芯を持っておくべきだった
私の全てが
ゴミ箱に捨てられていて、
捨てたのは私で、
なんとも言えない気持ちが漂った。
どこに行っちゃったの、
My Heart。

3/26/2026, 4:12:59 PM

ベランダで煙草を吸う
あるアパートに住む人。
誰かに語りかけてるみたいな
独り言がすごく多い人。
深夜から明け方にかけて
煙草をゆっくり吸っているんだけど、
どうやら甘いやつみたいで
糖分補給にもなっているのだとか。
今夜もまた
その人はひとりで
ぽつりぽつりと呟く。
小さい頃は
シャボン玉吹いてるだけで
満足できたのに、
いつから煙草なんかに
肺が染まっちゃったのかねぇ。
コンビニによって
おにぎりの海苔の味が違って、
昔はよくこだわってたもんだ。
ファミマがいい〜ってね。
アパートのベランダって
風通しよくてもっと寒いんだと
思ってたのに。
逆に暑くて夜風に当たるとか
エモすぎるシチュエーション
できないじゃん。
あーあ。
なんでこんな
つまんない人になっちゃったんだろ。
煙のように
その人の言葉は空中でバラバラになる。
口の中は甘い香りでいっぱいだ。
"Good Midnight!"
ないものねだりな私たちって
なんで生きてると
悲しくなるんだろうね。
なんだか涙も
甘い味がする気がした。

3/25/2026, 5:04:28 PM

好きじゃないのに
チーズをトッピングさせられた。
せっかくのミートスパゲティなのに。
パスタ続きで、
パスタを食べたいけど
肉も食べたいという
欲張りセットのミートスパゲティ。
久しぶりのミートスパゲティは
近所ではなく、
少し足を伸ばして
隣町のパスタ屋さんに行った。
あまり隣町には
行くことがなかったので、
すごく迷子になりそうだった。
着いたパスタ屋さんは
長年愛される古くからの店…
ではなく、
ただのパスタ屋さん。
お店の雰囲気も
流れている音楽も
味も普通の。
でもパスタには
必ずチーズがトッピングされていて、
泣く泣く食べた。
"Good Midnight!"
帰りに見た夕日が
ミートスパゲティの色に似てて
またお腹が空いてきた。
今度はチーズがないミートスパゲティを
家で作ってみようかな。
思ったより美味しくて
スキップしながら帰った
今日この頃。

3/24/2026, 4:53:33 PM

今日の天気は曇り、
ところにより雨。
そんな天気予報を聞いて
私は傘を持って行こうか迷った。
でもすぐそこだからと
折り畳み傘を持っていかなかった。
なんであの「ところ」が
ここなんだよ…。
パラパラ程度ではない
ザーッと
ちゃんとした雨が降っていた。
用事を早く済ませたら
カフェでも寄ろうと思ってたのに。
びしょ濡れで帰るしかないのか。
そう思い歩いていると、
いつの間にか路地に入っていた。
そして目に入ったのは
「雨傘」という看板。
こんなの絶対傘売ってるじゃん!と
ウキウキで入店。
店員さんは1人しかいないようで、
少し話しかけにくい
梅雨のような雰囲気を纏っていた。
お店にはたくさんの傘があった。
しかし
適当なのを選んで会計しようとすると、
店員さんが首を横に振る。
その傘は
あなたにピッタリの傘ではありません。
ピッタリの傘…?
こっちは傘さえ買えたら
何でもいいのだが…?
少し面倒だったので
おすすめの傘を聞いてみた。
すると
真っ赤な傘を渡された。
あなたにピッタリの傘です、と。
よくわからなかったが
会計をしようと財布を出す。
けど、
代金は要りません。
お気持ちだけ頂きますね。
と言われた。
もうよくわからない。
これで訴えられても
私のせいでは無いよね?
とりあえず
外に出て傘をさしてみると、
傘かサアサアと暖かくそよ風のような雨が
降ってきた。
"Good Midnight!"
雨に濡れないために買った、ってか
もらったのに
なんで傘の内側から雨?って思ったけど、
その雨は私の服を
乾かしてくれるみたいに
優しく風のように降っていた。
雨に濡れて覆われた私の心を
乾かして暖めてくれているような。

3/23/2026, 4:58:35 PM

特別な存在を作ってしまえば
私が私じゃ
なくなる気がした。
白雲峠にも
出入りする資格が
無くなると思った。
だから別に
外へ出て化ける必要はないと
思っていたんだ。
でも風に揺られる紅葉を見て、
世界を見る時が来たと思った。
白雲峠を管理・運営しているのは
ネブラスオオカミの長なので
少し相談をしてみると
峠の近くに
はぐれ者の妖怪たちがいる路地裏と
その路地裏出身の妖怪が神主をしている
小さな神社を紹介され、
面倒を見てもらうことに。
猫又は甘酒を飲むと
人型になれるらしく
路地裏で買い込み、
神社に置かせてもらった。
それからは世界を渡り歩いた。
どこにでも
人はうじゃうじゃいた。
自然は美しく
建物は決して多くはなかった。
とにかく緑が豊かだった。
30年ほど休憩を挟もうと
神社に帰ってきた頃、
1人の少女に出会った。
暇つぶしで何となく話していたら
あっという間に
ストックの甘酒を飲み干していた。
何週間かした時、
少女は急に引っ越すと私に言ってきた。
少女は何故か泣いていた。
人はこういう時
どんな言葉をかけるんだろう。
私の思う、
人の優しい言葉に似る
最大限の言葉をかけると、
少女は怒りながら泣いていた。
そして私に好きだと言った。
特別な存在。
少女にとって私は
特別な存在だったのだ。
私にはそんな存在作れない。
だから今度は私の思う、
私の最大限の言葉を。
神のご加護があらんことを。
"Good Midnight!"
それからというもの、
いつもと変わらない日々が
いつもと変わらない早い速度で
過ぎていった。
猫又の弟子を取り、
私の考えを共有し
あなたはどうするかと問いかけた。
弟子は言った。
風に揺られる桜を見たら、
世界を見る時が
来たと思うかもしれません、と。

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