るに

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6/6/2025, 5:13:23 PM

さあ行こう。
まだ見ぬ景色を求めて。
笑っちゃうほど遅い船に乗って
行き当たりばったりで進んでいく。
最初はただ
あんまり行ったことのない
港町の店に顔を出してみただけ。
すごく綺麗な人がいたから
私は思わず話しかけて
ここじゃないどこかへ行きたいと話した。
するとその人から
海上タクシーみたいな船を説明され
乗りなよ、咎めないよ。と言われ
乗ることに。
最低限の生活品だけ持って
冒険者のように
大股で自信たっぷりに歩く。
綺麗な人は他にもたくさんの人を
船に乗せていて
ホントにタクシーみたいだった。
私は人見知りだから
話しかけれなかったけど
少しの期間共に過ごしているようで
よく笑い声や話し声が聞こえた。
港が見えたら
とりあえず止まって休憩って感じの
ゆるーい旅で
私にはちょうど良かった。
寧ろやみくもに歩き回るより
こっちの方が良かった。
寝付きが悪くて外へ出てみた午前2時。
海は相変わらず
ザブーンという音が漂っていて
月の光を反射していた。
綺麗な人は午後8時〜午前1時までしか
寝ないらしく、
操縦室には綺麗な人が立っていた。
少し世間話をし、
そろそろ眠くなってきた頃
港が見えてきて船が止まった。
こんな真夜中にも着くことがあるんだ、と
少し驚いた。
私と綺麗な人は1度船から降りて
ベンチに座りながら
船と海を眺めた。
綺麗な人に
どのくらい旅をするのかを聞いてみた。
すると
いつか
どこかの港を一番好きになるかもしれない、
そんないつかが来るまで
旅を続ける。と、
どこか遠くを見つめながら言った。
"Good Midnight!"
朝目が覚めると
船の中で
午前10時の太陽に照らされる
綺麗な人が操縦室に見えた。

6/5/2025, 3:32:16 PM

もやもやしてた。
黒くて大きくて
もじゃっとしたものが
ずっと引っかかってた。
何をやっても取れなかった。
涙で流すことも出来ずに
淡々と行き当たりばったりで歩いた。
少ししたら
毛並みの綺麗な黒猫が
にゃーっと鳴いて
路地へ入っていく所を見た。
私は涙でぼやけた視界を頼りに
猫を追いかけた。
そしたら「雨傘」と書かれた
面白そうなお店に着いた。
黒猫は軽やかな足取りで
屋根の上に登っていった。
私は静かにドアを開けて
お店に入ってみた。
店員さんと見られる人は
私を見ると会釈した。
あの、黒猫ってここで飼ってるんですか?
純粋に気になったことを聞いてみる。
いえいえ、最近よく来るようになった
ただの野良です。
でも、助かりました。
あなたを連れてきてくれたから。
独特な雰囲気で
珍しい傘を売っているこのお店に
ずっといたいとすら思ったけど、
傘屋なのに長居するのは…と思い、
店員さんにおすすめの傘を聞いた。
すると
黄色の傘を渡された。
あなたにピッタリの傘です、と。
眩しいくらいの黄色は嫌いだけど
こういう目に優しい黄色は
雨の日に見たいなと思っていた。
買おうとすると
代金は要りません。
お気持ちだけ頂きますね。
と言われてしまった。
仕方ないので会釈をして
お店から出た。
丁度小雨が降ってたから
傘をさしてみると、
傘からシトシトとひんやりした雨が
降ってきた。
"Good Midnight!"
なんで?って思ったけど、
その雨は冷たいけど
包み込んでくれるような
優しい雨で、
水たまりに映る空は
さっきまでの私の気持ちを
スっと連れ去って。

6/5/2025, 3:13:41 PM

自由の束縛って
たまに感じる。
例えば特に予定がない日曜日。
なんにも無いのに
いつもより早く起きちゃって
二度寝もする気になれなくて。
やることが無さすぎて
自由すぎて暇。
気分転換するにも
歩くんだったりとか
お金とかやる気とか
全部持ち合わせてない日で
結局1日を無駄にしちゃう。
あとはそうだな、
何か作品を作ってって
急に言われたら
大体の雰囲気はもやっと決まるけど
丸とか三角とか四角とか
頭の中で作りたいかもって形が
ぐるぐるして
なかなか決まらないまま終わっていく。
みたいな。
私はこの自由が与えられることを
避けようと頑張っている。
けど気がついたら
あれ?これって自由の束縛じゃない?って
よくなっちゃう。
自由なのに縛られてるのって
結構苦しいし
本調子じゃなくなる。
ぐでっとして
中身がスカッとしてて
もぬけの殻みたいな。
好きな文章の書き方も
今はそれどころじゃないってぐらい
のびーっとしてるけど
上までは上がれない。
上に行けなきゃ、
どこへ行こう。
私はこの自由の束縛と
どう向き合って行けばいいんだろう。
"Good Midnight!"
そう考えてたのが数ヶ月前で
今はそんな怠惰も許して
自分に甘く。

6/4/2025, 3:26:57 PM

哀か、楽か。
恋か、愛か、それともまた
別の何かか。
考えたくない、考えないでいたい。
この世には意味のわからない感情が
山ほどある。
私は感情に支配されたくない。
できるだけ関わりたくない。
でも勝手についてくるのが
感情ってもので。
もう日も沈んでるのに
家に帰りたくなくて
見慣れない路地に足を踏み入れた。
思ったより暗くて
迷路みたいな道で
ちょっとだけ怖かったけど
すぐに出来てまだ間もなそうな
「雨傘」と書かれたお店を見つけた。
雨が降りそうな黒い雲が
こちらに来ていたので
傘を買っていくことに。
店員さんは1人しかいないみたいで
会釈をしてからは
一言も口を開かなかった。
独特な雰囲気のある店員さんに
話しかけるのは勇気がいるけど
どの傘も面白いものばかりだったので
おすすめを聞いてみた。
すると真っ黒な傘を渡された。
あなたにピッタリの傘です、と。
他にも赤やオレンジ、黄色などの
カラフルな傘があったのにと、
私は少し不思議に思いながらも
黒い傘を買おうとした。
けど、
代金は要りません。
お気持ちだけ頂きますね。
と言われた。
ドアを開けてお店から出ようとした時、
月明かりに照らして
よく傘を見て見てくださいね。
とも言われた。
外は大雨で
傘があってよかったと思った。
しかし傘をさすと
傘からパラパラと雨が降ってきた。
傘の内側から。
すごく優しい雨が。
その雨に打たれる度に
自分が水になったみたいに
同心円状に広がっていって
すごく心地がよかった。
"Good Midnight!"
気がつくと外の雨は止んでいて
月が雲から出ていた。
傘は月の明かりで透けて
暗い藍色になった。
薄い藍色が散りばめられていて
まるで星のようで
関わりたくなかった感情が
また1つ生まれてしまったような気がした。
綺麗だ、と。

6/3/2025, 3:58:46 PM

その1、自分以外を傷つけないこと。
その1、甘いものは控えること。
その1、一度興味を持ったものは続けること。
その1、人を愛すること、嫌わないこと。
その1、立ち入り禁止のところは座って入ること。
天使には羽根が必要だからね。
これは約束だよ。
私がまだ遠く小さい頃
一人前の天使になるには
羽根が必要で、
この約束事を守らなければ
羽根が生えないと言われて
私は必死に覚えて
身に叩き込んだ。
多分子どもの頃の私は
天使のことを
他人を傷つけず
誰にでも優しさを振りまき
使命を果たすためなら
命を惜しまない
儚いものだと思っていた。
なってみると分かるものは
いくつもあった。
まずは天使は
平気で人に手を上げる。
傷つけるし、傷つけられる。
優しさなんて行動は
天使には無いのかとすら思う。
使命というと
人の人数管理ぐらいしかないから
多分命は惜しむ。
そもそも天使は
儚くなんかない。
真っ白で小さな
美しい羽根とは裏腹に
どす黒く大きな闇を生み出す。
悪魔という名の方が
似合っているようなもの。
こんな天使になりたくなかった。
もっと夢を見ていた
光り輝いた天使に、
世界をひとつの祈りで
平和にするくらいの
すごい天使になりたかった。
"Good Midnight!"
悪さばかりだけど
団結力や温かみのある
悪魔が
少しばかり羨ましくて
今日も生きにくいここで
生きてしまう。

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