るに

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神社でよく会う人、
猫目で白髪の綺麗な少女。
私は心配性で
よく神社に神頼みに来るのだけれど、
少女はいつも神社にいた。
歩きながら、
座りながら、
いつも甘酒を飲んでいた。
私に気づくとニコッと笑って
猫目がさらに猫みたいで
可愛らしい人。
桜が咲く頃、
神社には大きな簾桜があって、
少女と共に
何となく見ていたら
話すようになっていた。
言葉数は少ないのに
ゆったりとした話し方、
優しい声で
付かず離れずの距離。
自然と惹かれ、
私は神社がこんなにも
心の拠り所になるとは思っていなかった。
しかし、
私は家庭の事情で
引っ越すことになってしまった。
海を超えた遠くへ。
少女にそれを言うと、
いつものトーンと
いつもの声で
向こうでも頑張ってくださいなぁ、とだけ。
あぁ、そうか。
少女はそういう人だった。
応援も肯定もしてくれる。
けど言葉には心がこもっていない。
話し方が、声が
優しいだけなんだ。
"Good Midnight!"
最後だからと
私は言ってしまうことにした。
私はこんなにも別れが惜しいのに、
あなたは何も思ってくれないの?
5年もほぼ毎日ここで
他愛もない話をしていて、
私は親友だと思っていたのに。
神社に来るのが楽しみになって
あなたがいることが嬉しくなって、
毎日が華やかになったの。
あなたのことを考えて考えて、
泣きながら今日ここに来た私が
あなたを好きな私が
バカみたいじゃん。
少女は少し考えてから
神のご加護があらんことを。
そう言って
今までで1番柔らかい笑顔を纏って
白くしっぽが二股に裂けている
猫又になって
どこかへ行ってしまった。
甘酒の空き瓶だけを置いて。

3/22/2026, 5:23:29 PM