るに

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特別な存在を作ってしまえば
私が私じゃ
なくなる気がした。
白雲峠にも
出入りする資格が
無くなると思った。
だから別に
外へ出て化ける必要はないと
思っていたんだ。
でも風に揺られる紅葉を見て、
世界を見る時が来たと思った。
白雲峠を管理・運営しているのは
ネブラスオオカミの長なので
少し相談をしてみると
峠の近くに
はぐれ者の妖怪たちがいる路地裏と
その路地裏出身の妖怪が神主をしている
小さな神社を紹介され、
面倒を見てもらうことに。
猫又は甘酒を飲むと
人型になれるらしく
路地裏で買い込み、
神社に置かせてもらった。
それからは世界を渡り歩いた。
どこにでも
人はうじゃうじゃいた。
自然は美しく
建物は決して多くはなかった。
とにかく緑が豊かだった。
30年ほど休憩を挟もうと
神社に帰ってきた頃、
1人の少女に出会った。
暇つぶしで何となく話していたら
あっという間に
ストックの甘酒を飲み干していた。
何週間かした時、
少女は急に引っ越すと私に言ってきた。
少女は何故か泣いていた。
人はこういう時
どんな言葉をかけるんだろう。
私の思う、
人の優しい言葉に似る
最大限の言葉をかけると、
少女は怒りながら泣いていた。
そして私に好きだと言った。
特別な存在。
少女にとって私は
特別な存在だったのだ。
私にはそんな存在作れない。
だから今度は私の思う、
私の最大限の言葉を。
神のご加護があらんことを。
"Good Midnight!"
それからというもの、
いつもと変わらない日々が
いつもと変わらない早い速度で
過ぎていった。
猫又の弟子を取り、
私の考えを共有し
あなたはどうするかと問いかけた。
弟子は言った。
風に揺られる桜を見たら、
世界を見る時が
来たと思うかもしれません、と。

3/23/2026, 4:58:35 PM