るに

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2/15/2025, 3:52:25 PM

浜辺で見つけたトランシーバー。
砂で汚れていて
水で濡れていたので
もう機能しないと思って
コールしてみたのに、
すぐに少女の声で
"Good Midnight!"
こちら、白雲峠より旅に出た者です。
状況報告します。
星が降っています。
いい夜です。
と聞こえた。
つい、
君の声がするって言っちゃって。
私は慌てて、
すみません。
昔の友人の声に似ていたもので。
えっと、状況報告?ですか?
私もすればいいんですかね。
満月に少し届かない
欠けた月が見えます。
肌寒い夜です。
と言った。
向こうからはしばらくした後
私の声が聞こえ、状況確認が完了しましたら、
また川に流してください。
と聞こえた。
なるほど。
川から海に流れて来たのか、と
少し関心してしまった。
でも今日は
ただ真夜中の海を見て
時間を忘れたかっただけなので
海に放り投げた。
向こうは川じゃないって怒るかもしれないけど
もし向こうが君だったのなら
きっと海の方がよかったはず。
いつか向こう側の浜辺で
向こうの求める人が
トランシーバーを拾いますように。
そんなこと思いながら投げても
何も変わらない気はしたけれど。

2/14/2025, 4:52:21 PM

家族の中で浮いてたからか。
いつしか姉の真似を
少しするようになったのは。
私は髪を切るのが好きだった。
散髪屋さんに行く時
毎回遊園地にでも行くかのような顔で
髪を切りに行っていた。
姉はというと
髪を伸ばしてポニーテールにしていた。
別に興味は無かったが
姉は話も面白く
運動神経もいい方で
私には
世界全ての笑顔を操る人のように見えた。
歳が離れていたので
喧嘩することはなかったけど
行ってらっしゃい、ありがとう、
おかえりなどの
少ないが大きい言葉を交わすことは無かった。
私は根暗で
話は話題が浮かばず途切れ途切れで
運動神経は悪い、
世界中の人に迷惑をかけ、
イラつかせる人のようだった。
姉に憧れてしまうのも無理はない。
誰かのいい所を見つけるのは得意だった。
人のいい所を少しずつ真似ていけば
完璧なキメラになれるとでも思ったのだろう。
私は私じゃなくなった。
いつも
あの人なら…、この人なら…って
他の人の事ばかり考えるんだ。
自分の考えを持つ?
自尊心を大切に?
そんなもの遠の昔に無くしている。
ただ人というものは
自分を見つけて欲しいと
気付かぬうちに思ってしまうようで。
見つけて欲しい、見破って欲しいなんて
心のどこかにいる誰かが言ってくる。
"Good Midnight!"
無視しちゃダメだとわかっていても
耳を傾けることはできなくなっていて、
いつかの梅雨に見た
紫陽花の庭園が脳裏に焼き付いていた。

2/13/2025, 1:41:05 PM

私のすぐ乾いた髪を
羊毛みたいにふわふわだと言っていた君に
そっと伝えたいこと。
本当は君のことが大嫌いだった。
私の仲のいい友達が君と仲良くしてたから
私も真似してただけ。
友達なんてちっとも思ってなかった。
でもさ、
そんなこと直接言えないからさ、
いつかこうやって
絶対傷つけてやろうと思って
じっと待ってた。
それなのに君ときたら
ずっとニコニコでまとわりついてきて
けど、
私の好きな花を
平気で踏み潰すのは変わらなくて。
雨が降ってきた時、
折りたたみ傘を差そうとしたら
傘を忘れた君が
入れて欲しいと言って
追いかけ回してきたのは
本当に気持ち悪かったよ。
そのせいで髪はびしょびしょになって
そよ風で乾いた髪を
羊毛みたいにふわふわなんて言って
機嫌も好感度も
治るわけないのにさ。
"Good Midnight!"
本当の本当はね
怒られたことないのに
君の怒る顔が頭から離れないんだ。
怖くて怖くて
嫌いってことにしたら
なんだこいつってなって
避けてくれたりしないかなって。
毎晩思うんだ。
君を嫌いになって
君の顔を思い出せないようになりたいって。

2/12/2025, 1:39:52 PM

いつかここにあるはずの
未来の記憶。
それは本当にそうなるのか
曖昧で確定していない物事。
白い紙をハサミで切っていただけなのに
紙で指が切れるかもしれない。
はらりと落ちてきた髪の毛が紙に重なって
髪が切れてしまうかもしれない。
ただ何もないかもしれない。
無限大にある可能性。
絶対その中のどれかに当てはまるから
私の目には
占いは当てずっぽうか、
グループ分けされた人の中で
当てはまる人、似た人のことを言うか、
そのどちらかに見える。
今この瞬間は持ってないが
あと何秒、何時間、何年かしたらできる記憶。
未来の記憶。
わからないから面白いなんて
言うつもりはないけど
少なくともわかっていたら
面白くはない。
時に感情。
少しの揺らぎで
その後の未来の記憶を
大きく変えてしまう感情。
葬式で大笑いしてたら
白い目で見られるような感じ。
コントロールをしなきゃいけないもの。
抑えなきゃいけないもの。
抑えなきゃダメなもの。
宗教か何かのように
毎日口ずさんでいて
忘れたくても忘れられないこの事。
心臓がドクドク言っても鳴り止まない。
多分あの頃見ていた未来は
暗くて冷たくて
震えが止まらないものだった。
"Good Midnight!"
ねてもさめても
えぐれるような痛みは消えなかったが、
こうして未来の記憶は手に入れて
ここにいる訳だから
2年先も4年先も
いまと変わりませんように。
るーるに縛られた世界で
よなよなそう思うのだった。

2/11/2025, 4:18:00 PM

夜に湧く感情なんか
どうせネガティブなモノばっかりなんだから
いちいち構ってないで
さっさと寝てしまいたいと私は思う。
でもココロは正直だ。
絶望混じりの莫大な不安、ストレス
押しつぶされそうな感情が
真っ白い鳥となって
一気に吹き出す時間。
そんな鳥たちは私をついばんで
夢へ飛ばしてくる。
いらないモノと
抱えきれない感情は
ココに置いていって、
ただ平和な夢の中で
好きなモノを好きと言って暮らす。
"Good Midnight!"
私の夜は
つまらなくて
退屈で
嫌なモノで埋め尽くされてていい。
夢が無事ならそれで。

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