浜辺で見つけたトランシーバー。
砂で汚れていて
水で濡れていたので
もう機能しないと思って
コールしてみたのに、
すぐに少女の声で
"Good Midnight!"
こちら、白雲峠より旅に出た者です。
状況報告します。
星が降っています。
いい夜です。
と聞こえた。
つい、
君の声がするって言っちゃって。
私は慌てて、
すみません。
昔の友人の声に似ていたもので。
えっと、状況報告?ですか?
私もすればいいんですかね。
満月に少し届かない
欠けた月が見えます。
肌寒い夜です。
と言った。
向こうからはしばらくした後
私の声が聞こえ、状況確認が完了しましたら、
また川に流してください。
と聞こえた。
なるほど。
川から海に流れて来たのか、と
少し関心してしまった。
でも今日は
ただ真夜中の海を見て
時間を忘れたかっただけなので
海に放り投げた。
向こうは川じゃないって怒るかもしれないけど
もし向こうが君だったのなら
きっと海の方がよかったはず。
いつか向こう側の浜辺で
向こうの求める人が
トランシーバーを拾いますように。
そんなこと思いながら投げても
何も変わらない気はしたけれど。
2/15/2025, 3:52:25 PM