るに

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1/8/2025, 12:08:07 PM

ある国から声が聞こえてくる。
女だって屁くらいすんのよ。
暑かったら脇汗も出るし。
そういうのは
みんなから汚姫様と呼ばれる女の子。
マナーはちゃんとしているのだが、
まるでクソガキみたいに
生理現象を我慢するという概念がないようで、
汚い、気持ち悪いという人もいれば、
元々我慢するものじゃない、
人間らしさがいいという人もいる。
姫と言っているが
いつも少しヒラヒラなスカートを
履いているからってだけ。
そこら辺の人と何ら変わり無いはずなのに
なんだか気を引く人。
しかし
流石に人間性としてあれだったのか、
王様が見逃しておけなくなり
1ヶ月以内にその性格が直らないのなら
追放すると。
その事を手紙で知らされた汚姫様は
追放されるくらいなら
自分で出ていった方がマシ。と、
すぐに出ていこうとした。
すると、
何故かみんな引き止めた。
人に流されない、
自分の意志を固めているあなたは汚くない。
むしろ綺麗だと
口を揃えて言った。
何人かが
王様に撤回して欲しいと
頼みに行くほどだった。
想定外のことに驚いたが、
王様は取り消すつもりはないと
突き放した。
3日後、
汚姫様はピンクの1番ドレスらしい服を着て
黒色の服しか持たずに
門へ歩いていった。
"Good Midnight!"
服に着いた鈴を鳴らし
Ring Ring...と
汚姫様にしては洒落た言葉と去り方で。

1/7/2025, 3:08:44 PM

頭もお腹も痛くて
連休明けってほんと憂鬱。
そんなことを思いながら家に帰っていると
花柄のワンピースを着た女の人を見た。
存在が不安定というか、
なんだか足が透けて見えた。
放っておいて帰ればよかったのに
気になって声をかけてしまった。
どうやら幽体離脱的なことになっているらしい。
本体は親友と一緒にいるから
心配しなくてもいいと言う。
私はあなたのこと心配してるんだよ。
少し励ましのような言葉をかけた。
それからは毎日、
行きと帰りだけ一緒に歩いた。
幽体離脱の原因は
多分毒親からだと教えてくれた。
朝昼晩のご飯の写真を迫られ
3時間に1回は電話をかけ、
仕送りは月2回、
暇な日はバイトを掛け持ちしろと
親と言うより上司みたいな人だったようで。
何度も嫌だと言おうとしたが声が出ず、
家族の愚痴なんて言ったら嫌われそうで
親友にも相談できなかったんだそう。
まさか一緒に歩くだけの私に言うとは。
私相談しやすそうに見えんのかな?
ある日
知り合いのお見舞いに行った帰りに
車椅子を押して歩く女の人と
すれ違った。
もしかしてと
早足でワンピースの子の所に向かった。
喜んで安心した様子で
後を追いかけると
私に礼を言ってくれた。
車椅子を押してた子、
"Good Midnight!"
と言っていたように聞こえた。
友情って素晴らしいんだなぁ。
そこら辺の穴場にある芝生に寝転んだ。
向かい風も追い風も
今はただのそよ風で
気持ちよかった。

1/6/2025, 5:14:17 PM

少しの時間と
少しの荷物で
君と一緒に笑い合った日々。
この声はもう届かなくなるのでしょうか。
ほら見て、
あのパン屋さんでロールパンを買ったよね。
そうそう!
ロールパン専門のパン屋さん!
塩パンロールが美味しかったなぁ。
この木、
まだあったんだね。
一緒にどんぐり拾い競走したよね。
私は量より質にこだわって
綺麗なのばっかり集めてたけど
ぱって横見たら
君が両手いっぱいにどんぐり持ってて
面白かったなぁ。
君はここで初めて雪を見たんだよね。
何この白いの!
触っても死なない!?とか言いながら
既に触ってたんだよなぁ。
ね、次はどこに行こうか。
今にも冷たくなりそうな君の手を握る。
私の親友は
数年前から車椅子。
意識がほぼ無くて
原因が不明。
毎日のように笑いあった親友は
人形みたいになってしまった。
それでも私は声をかけ続ける。
ずっと
思い出の場所に一緒に行ったりして
意識がほぼ無くても
楽しんでもらえるようにしていた。
でも、
明日から病棟が移るらしく、
そこでは面会禁止だそう。
いつか
また元気に笑顔を見せてくれますように。
私は親友に
この言葉を贈った。
"Good Midnight!"
またロールパン専門のパン屋さん行こうね。

1/5/2025, 4:00:31 PM

透明なビニール傘を空に開く。
パラパラと傘にあたる雨の音は
聞いてて心地いい。
けど最近雨ばかり。
乾燥している冬には嬉しいことだが、
寒すぎる。
ひんやりとした風が
私の上着を通り抜けて
体温を奪って逃げていく。
吐いた息は白く冷たくなった。
川の水が増えて
頭が痛くなってくる。
近くのドラッグストアで飲み物を買い、
一息つく。
ふと、
紫陽花が咲いてるのを見つけた。
紫陽花は6月に咲くものだと思っていたが
1月に咲くものもあるんだなぁと
近づいてみた。
奥に道が続いていて
うっすらと霧がかかっている。
好奇心が私の足を動かして
進んで行った。
すると開けたところに
紫陽花が満開で沢山あって
思わず傘を下ろした。
雨続きだったからか、
少し地面が浸水していて
より綺麗に紫陽花が見えた。
歩いてるだけで落ち着く。
ウユニ塩湖に似ていて
秘密の庭園にも見えた。
ずっとここにいたくて、
でも帰らなきゃ行けなくて。
このまま時間が止まればいいのになんて
思ってしまって。
私にお気に入りの景色をくれた紫陽花には
私のお気に入りの言葉をあげようと
紫陽花にしか聞こえないような小声で言った。
"Good Midnight!"
帰り道、
明日は晴れろ!
そういって冬晴れ願う私は
そっとビニール傘を閉じた。

1/4/2025, 3:40:29 PM

空を鳥みたいに飛べたらなぁって言う何人かに
会ったことがあるんだ。
人生に終止符を打とうとしてる人達、
もしくは純粋に空中に浮いてみたい人とか
そういう人を見てきたんだけど
私は寄り添い方とか知らんし、
優しい言葉をかけて
相手は辛いのに
自分の無責任で延命させるのも可哀想だし、
最近は
そうなんだ。で終わらせてる。
寂しくはなるけど
結局自分で決めてかなきゃいけないから。
1の意見として捉えるとしてもね、
あんまり参考にはならないもんで。
鳥ってそもそも
自由なのかなって所からなんだけど、
羽があって、足もあって、
自由の象徴にもなってる鳥。
生涯の半分以上を
空で羽を羽ばたかせて生きる生き物。
私にはなんだか
怖がりのただの人に見えるんだ。
人が近づいてきたら逃げて、
高いところに停まって
また空を飛んで逃げる。
逃げない人なんかいないでしょ?
飼われてる鳥は別として
鳥も同じ気がするんだよね。
怖がって逃げてばっかりで
逃げ回ることが自由ってことではないと思う。
ただ逃避行してるようにしか見えない。
鳥にとって幸せとはなんだろう?
空を飛んだところで
足枷が外れるわけでも
天敵がいなくなるわけでもない。
共食いをする鳥もいる。
ちょっと長くなったけど
空を毎日飛んでる鳥でさえ
幸せかどうかわかんなくて
逃げてるのに
人が逃げる先が空に飛ぶことでいいのかなって。
ま、私が言えることじゃないんだけどね。
"Good Midnight!"
月明かりが照らすのは
私の背中に生えた真っ白な羽。
否定するのは違うから
私は別に構わないと思うよ?

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