るに

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透明なビニール傘を空に開く。
パラパラと傘にあたる雨の音は
聞いてて心地いい。
けど最近雨ばかり。
乾燥している冬には嬉しいことだが、
寒すぎる。
ひんやりとした風が
私の上着を通り抜けて
体温を奪って逃げていく。
吐いた息は白く冷たくなった。
川の水が増えて
頭が痛くなってくる。
近くのドラッグストアで飲み物を買い、
一息つく。
ふと、
紫陽花が咲いてるのを見つけた。
紫陽花は6月に咲くものだと思っていたが
1月に咲くものもあるんだなぁと
近づいてみた。
奥に道が続いていて
うっすらと霧がかかっている。
好奇心が私の足を動かして
進んで行った。
すると開けたところに
紫陽花が満開で沢山あって
思わず傘を下ろした。
雨続きだったからか、
少し地面が浸水していて
より綺麗に紫陽花が見えた。
歩いてるだけで落ち着く。
ウユニ塩湖に似ていて
秘密の庭園にも見えた。
ずっとここにいたくて、
でも帰らなきゃ行けなくて。
このまま時間が止まればいいのになんて
思ってしまって。
私にお気に入りの景色をくれた紫陽花には
私のお気に入りの言葉をあげようと
紫陽花にしか聞こえないような小声で言った。
"Good Midnight!"
帰り道、
明日は晴れろ!
そういって冬晴れ願う私は
そっとビニール傘を閉じた。

1/5/2025, 4:00:31 PM