令和7年4月22日
「まだ見ぬ、波濤」 作 碧海 曽良
翌朝、空は晴れ渡っていた。
暑い日になりそうだ。
昨夜は、中学生みたいに家電の前に座り込み海内からの電話を待ち、深夜近くまで話した。
それから、なかなか寝付かれずベランダに出て夜空を眺めていた。そんな夜が明けきらぬうち之子は、Tシャツのまま入り江に走る、自転車を止めたスロープに朝露が濡れていた。夜と朝の間の空に、ほうき星が流れて消えた。胸いっぱいに深呼吸をして振り返ると人影が見えた、その人影が海内洋だと気づくのに目の良い之子はそう時間はかからなかった。向こうも之子の姿が分かって近づいて来ているようだ。約束の時間には、まだ随分あるのに、お互い昨夜は眠れなかったことは告白し合わずに。
「よお、」
「おはよう」
「おはよう」
「何やってんの?こんな時間に」
「そっちこそ」
「散歩」とハモって黙り込んだ、ピアノのように優しく囁く潮騒が満潮の影響で地響きのように届き之子は脚先からジンと痺れるような感覚を感じていた。
二人は、それから互いの自転車を押しながら卒業式の日に海に消える雪霰を観た場所で大潮の満潮を受けて煌めく朝焼けを見た。
「朝飯食った?」と不意に海内に尋ねられるがそんなの食べてるはずもないやんと突っ込みたいところ、イケナイイケナイと深呼吸ひとつ「食べてへんよ」と答えた。
このあと、押し寄せるバブル崩壊の波に飲まれて消える故郷再生リゾート開発中の浜辺に出来た飲食店街に民宿コテージそんな中にある、朝早くから開いていた喫茶店でモーニングを食べながら、待ち合わせ時間よりも全く早い時間に待ち合わせ場所に居合わせて、これからどうする?なんて疑問もぶつけ合えずに、ぎこち無い朝の時間がながれて、「とりあえず、一旦かえる?」と切り出した之子に助けられたように賛成する海内であった。
「じゃあ、約束通り10時にここにしようか」と海内が言って、之子はそれに賛成した。
時計は、まだ8時にもなっていなかったが店を出ると熱い夏の日差しと蝉の声が響き渡り、都会から来た、海水浴客も動き始めていた。
海内と、わかれ家に向けて自転車を走らせながら、高校のころあんなに遠慮なく話せた二人の関係が少し変わっていることに気づく之子の胸に去来する思いは、懐かしさよりもときめきよりも、不安とザラリとする居心地の良くない違和感であった。その感覚をまだこの時は、それも含めて、ときめきと思い込んでいた之子であった。
平成元年のお盆休みも残すところ二日になっていた。
つづく
お題 「big love!」 碧海 曽良
big loveというと、その大きさよりも深さを思う。慈愛のような母のような父のような包容力。神は愛そのものであるという「愛」の別名「命」どちらも与えられ奪われる。
命につく名前を「心」と呼び「純」と「俗」を併せ飲む。
名もなき君にも 名もなき僕にも。
白夜光 君を照らして big love
俳句甲子園
きょうのあとがき✒️✨️
ダサイ、とりあえずハラスメントつけときゃ今ぽいとでも思ってる単細胞🌾🦜🌙
桜散る ハラスメントは 覚えたの🌟
🌾🦜🌙
令和7年4月21日
お題「ささやき」
最近、年のせいか難聴気味。
ささやくような声で話されても、虫のささやきも、夏に声のかぎりに鳴く蝉や秋に聞こえる鈴虫の鳴き声や冬の野良猫たちの求愛声くらい大きくないと、自然の小さなささやきに疎くなったなと思う。また、田に水を張る頃に一斉に聞こえ始めた蛙の大合唱も聞こえなくなった。どんどん疎くなってささやきなど届かない無の世界に近づいて行くものなのかとふと思う時がある。
君恋し ささやき来るは 田植え唄
オヨネーズ
「まだ見ぬ、波濤」 作 碧海 曽良
只今、調整中です、今夜はお休みまた明日🌠
See You🌬️
後書き
しかし、そんなに人に好かれなきゃ駄目なのか、別に私ごときに嫌われても何も起こらないし、あんたに嫌われても私は全然困らないから、そんくらいに思っておけば楽だよ。あと悪口はブーメラン自分のゲロは綺麗だとでも思ってるの?「人の口には戸は立てられねぇの」ふふ。人に差した人差指は自分に向けなさいね。
またね。
令和7年4月20日
「まだ見ぬ、波濤」 作 碧海 曽良
「遅いじゃない、遅刻よ!」
鶫之子は開口一番そう言って笑った。
まるで、何も無かったように。
「之子、今東京に居るんだよ、あっ、知ってた?だから来たの?こんな田舎街」と、おこまが、ちょっと皮肉ぽい得意の悪戯ぽい笑みを浮かべながら、二人の間に入った。実はおこまは造船屋の倅に高校時代から惚れられていて、けれど、おこまは、彼の思いをはぐらかし三年間良いように使って来た。今夜も久しぶりの同窓会の席で、相変わらず、おこまは造船屋の倅名前だけは勇ましい強力をからかい始めた。なじろうともせず、むしろ柔らかな失くなってしまいそうな目を一層細くして笑う。強力というよりは笑力とでも呼びたくなるような、笑顔とそのままのキャラクターは、街では一番大きな造船会社の次期社長としては大人しい印象だが、芯は強く頼りになるそして何より、おこま一途の彼なのだが、何度も告白し尽く撃沈、東京キャリア思考の自分と、地元密着の長男坊は端から相手ではないと、実は結構あざとい、おこまさんは踏んでいて、付かず離れず友達以上恋人未満な少女漫画的関係は、彼の気の長ーい永遠の片思いによって形成されていた。
四人で談笑していると、集合写真をとるからと桐子とおたかに呼び集められクラス担任を中心に集合写真に収まった。
午後9時前に同窓会はお開きとなった。
それぞれ思い思いに連れ立って二次会へ。之子と海内は自然に並んであるいて幹事の後を付いて行った。二次会場はクロスロード店前の交差点を学校側の通りから一本入った場所に出来たばかりのカラオケBOX。幹事が取っていた二次会仕様のパーティールームでクラスメート半分くらいで歌い始め、1時間くらいで幹事の桐子は旦那が迎えに来て方向が同じだからと三人程を送ると申し出て、その中に之子も入り、店を後にしようとした時、海内に呼び止められた。
「何時までいる?」
「えっ?16に出るよ」
「明日、時間ある?」
「えっ?」
「会える?」
「ええけど、、」
「電話する」
「、、電話番号覚えとる?」
「覚えとる」
「ふーん、そうなんや、分かった電話待っとく、午前中になぁ」
之子は、不思議な気がしていた、そして忘れていたけれど覚えていた、あの頃のときめきを思い出し、素直に電話番号を覚えていると言われて嬉しかった。その胸の高鳴りだけを持って帰った。
星の明かりが、之子の瞳に飛び込んで金平糖みたいに見えた。
夜風が熱った頬をヒンヤリと撫でた。
満天星の白い小さな花が星屑のようにヘッドライトに映し出された✨️
「之子〜」助手席の桐子が手を振って呼んだ
「ゴメンね!有り難う宜しくぅ」
之子は、桐子のご主人様が待つ車に乗り込んだ。
つづく
お題 「星明かり」
告白に 満天星の花 星明かり
(どうだん)
碧海 曽良
後書き
嫌なら、無理して読んだり観たりしなくて良いんだよ、あなたの心の健康を害してまで読む必要も観る必要もない。ただ、人には書く自由も放送する自由もある。あなた一人のために世の中は存在しない、自分の好き嫌いを叫んでみても好きも嫌いもあなたの思い通りにはならない、タダで観たり読んだりしてんなら尚更😁
内気なんじゃなくて単に、およびじゃなかっただけなんじゃなくて? 真実はいつも過酷、そしてひとつではない、あなたには見えない見たくない真実もある🌾🦜🌙 自称内気は結構自意識過剰🌾🌾
令和7年4月19日
お題 「影絵」
「まだ見ぬ、波濤」 作 碧海 曽良
1989年平成元年8月14日 午後7時 🕖️
海内洋は「クロスロード」の扉を開いた。
ざわつく店内に夏の夕日がまだ差し込んでいた。セピア色の絨毯木目調のアンテークな広いテーブル立食形式なので椅子は壁際に並べられ奥にピアノとカウンターバーがある田舎街には珍しい趣味の良い店。この日のBGMは映画「追憶」のサントラ丁度バーバラ・ストライサンドが歌う、「The way we were」あの頃の私たちが流れていた、控え目に穏やかに。
赤茶色の大きなカーテンの向こうに鶫之子がいるのが海内洋には直ぐに分かった、丁度あの日講堂で舞う桜が朝の光にキラキラと揺れる中で鶫之子を見つけた日。山鳩のようでいて、それを捕食する猛禽類のような、そんな相反するような輝きで海内洋の前に現れた日と同じ、そのままの鶫之子だった。一瞬声をかけるかどうか迷った時、友達が少なく地元でもない海内洋の唯一無二の地元旧友が声をかけた。「よう、久しぶり」「ああ…」当たり障りのない言葉を交わしながらそいつの名前を考えた、海内洋は元来そういう奴で、ドライでは決してないが、拘りがなくそして一匹狼だ。今自分が話している同級生だった、おそらく三年間同じクラスだったクラブも一緒だったはずの、この男、、確か造船屋の倅で強力とかいったはずだが下の名前が思い出せない。
適当に合わせて返事をしていた。
カーテンの隙間から差し込む光に鶫之子の背骨が真っすぐとした後ろ姿が影絵のように動いているのを、自然に目で追いながら、海内洋は学生時代を回想していた。卒業式のなごり雪、海に消える真っ白な雪霰、卒業しても続いて行くだろうと信じていた想い。それほど海内洋にとって鶫之子は面白い女の子だった。やがて東京に出て女のあざとさを知る前の陽だまりの中に之子はいた。幼い頃から転校を重ねて人に振り回されないつもりでいたが、東京という街は一瞬にして19の青年の成り行きを支配した。そうして卒業証書を抱いて並んで朝の雪霰が雨に変わった中を傘の波にのまれながらも、隣を離れないように小走りで歩いていた少女のことを、アルバムに閉じ込めてしまうのであった。
海内洋は、成り行きでコンパで知り合った女子大生と付き合う、名前だけはお嬢様な大学、軽薄を絵に描いたような女子大生に、大学に親の金で通っていながら自分の母親を悪く言う病んだ自称繊細の反抗期娘。こんなにも、今考えれば何の魅力も無い女が化粧とワンレン彼岸花頭とボディコン甘い香水の香りに噎せ返り、スカしたディスコの灯りで気持ちが飛ぶのであった、そんな都会の麻薬に渡り鳥の海内洋も例外なく、おのぼりさんで染まって行った。
そして、出会ってから四年と半年19の夏の終わり頃には疎遠になっていたことを回想する。
やけに拘り深い海内洋は、音信不通で置いてけぼりにした19才の之子への懺悔と後悔の気持ちとで、声をかけることが出来ずにいた。
之子は自分から、海内洋の方へ歩み寄り声をかけた。
日はとっぷりと沈んでいた。
思い出は心の隅を照らす
あの頃の私たち
霞がかった水彩画のような思い出
散りばめられた写真には
私たちが置いてきた微笑み
すべて自然なことだった?
それとも時がすべてを書き換えた?
やり直すチャンスがあるのなら
やり直す?やり直せる?
思い出は美しいかも知れないけれど
覚えているには辛すぎた
そんな若さだった
私たちはただ忘れることを選び
笑い声だけを思い出す
あの頃の私たちを
思い出す時はいつも
「追憶」より
The way we were . あの頃の私たち。
つづく
「影絵」
秋でもないのに長い月影で影絵遊びをした。
狐と兎コンコンピョンピョン🤘と🐰は似てきてどっちがどっちか分からなくなって、混ざり合って溶け合って影がひとつになって影絵もひとつになりましたとさ。
めでたしめでたし
碧海 曽良
令和7年4月18日
「物語の始まり」
夏のはじまりを予感させるような最後の葉桜が花弁を風に飛ばした。自転車のペダルを踏み込みながら坂道を登る、額に汗が滲んだ、今は電動付きでやっと昇れるこの坂道、家から下り切ったころに子供たちが通っていた保育園があるから、昔は前と後ろに子供を乗せて走った🚴ようやく電動付き自転車が発売されたころ、一目散で購入し息も切らせず登り切った坂道を今登り切れずに途中で降りて自転車を押す。物語の始まりはアシストなんてものも想像もしていなかった頃の相棒チャリンコチエちゃん🚴あの物語の始まりを思い出しながら今日は所用で久しぶりにサイクリング。
帰りに、保育園の向かいにある図書館へ。
あまりに天気が良かったから自転車で来たが、坂道に息切れ、帰りは自転車を押しながら年を全身で受け止めた。
物語の始まりから時間だけが随分と流れ寄る年波にの我が身を思うが、夢見る頃を過ぎても、夢見る頃を過ぎたから、あの日の私が呼んでいる、「この指とまれ」って。わたしは、もう一度、物語の始まりに帰ることが許されて、あの日の私が差し出した指につかまったような気がしている。
そんな訳で、本日は今までの物語を始めから振り返る日にしたいと思うのである。
相関図なども認めて、物語の始まりを振り返る時間を持ちます✨️
ので、「まだ見ぬ、波濤」同窓会の夜〜再会〜
は、また明日。
桜舞う 道に届くは 笑い声
今夜は、物語の始まりへ戻る。
碧海 曽良
今年の桜もそろそろ終わりです。
ネット右翼は桜舞散るのが大好きなようですが、当たり前にまた来年も桜咲き桜舞うを静に見送る、そんな平和が大事なんですけどね。世の中平和だから平和ボケだーって叫べる訳ですしね。今、日本が戦争もしておらず、平和に暮らせることに感謝しましょうね。
桜も終わり次は藤ですかねぇ✨️