令和7年4月20日
「まだ見ぬ、波濤」 作 碧海 曽良
「遅いじゃない、遅刻よ!」
鶫之子は開口一番そう言って笑った。
まるで、何も無かったように。
「之子、今東京に居るんだよ、あっ、知ってた?だから来たの?こんな田舎街」と、おこまが、ちょっと皮肉ぽい得意の悪戯ぽい笑みを浮かべながら、二人の間に入った。実はおこまは造船屋の倅に高校時代から惚れられていて、けれど、おこまは、彼の思いをはぐらかし三年間良いように使って来た。今夜も久しぶりの同窓会の席で、相変わらず、おこまは造船屋の倅名前だけは勇ましい強力をからかい始めた。なじろうともせず、むしろ柔らかな失くなってしまいそうな目を一層細くして笑う。強力というよりは笑力とでも呼びたくなるような、笑顔とそのままのキャラクターは、街では一番大きな造船会社の次期社長としては大人しい印象だが、芯は強く頼りになるそして何より、おこま一途の彼なのだが、何度も告白し尽く撃沈、東京キャリア思考の自分と、地元密着の長男坊は端から相手ではないと、実は結構あざとい、おこまさんは踏んでいて、付かず離れず友達以上恋人未満な少女漫画的関係は、彼の気の長ーい永遠の片思いによって形成されていた。
四人で談笑していると、集合写真をとるからと桐子とおたかに呼び集められクラス担任を中心に集合写真に収まった。
午後9時前に同窓会はお開きとなった。
それぞれ思い思いに連れ立って二次会へ。之子と海内は自然に並んであるいて幹事の後を付いて行った。二次会場はクロスロード店前の交差点を学校側の通りから一本入った場所に出来たばかりのカラオケBOX。幹事が取っていた二次会仕様のパーティールームでクラスメート半分くらいで歌い始め、1時間くらいで幹事の桐子は旦那が迎えに来て方向が同じだからと三人程を送ると申し出て、その中に之子も入り、店を後にしようとした時、海内に呼び止められた。
「何時までいる?」
「えっ?16に出るよ」
「明日、時間ある?」
「えっ?」
「会える?」
「ええけど、、」
「電話する」
「、、電話番号覚えとる?」
「覚えとる」
「ふーん、そうなんや、分かった電話待っとく、午前中になぁ」
之子は、不思議な気がしていた、そして忘れていたけれど覚えていた、あの頃のときめきを思い出し、素直に電話番号を覚えていると言われて嬉しかった。その胸の高鳴りだけを持って帰った。
星の明かりが、之子の瞳に飛び込んで金平糖みたいに見えた。
夜風が熱った頬をヒンヤリと撫でた。
満天星の白い小さな花が星屑のようにヘッドライトに映し出された✨️
「之子〜」助手席の桐子が手を振って呼んだ
「ゴメンね!有り難う宜しくぅ」
之子は、桐子のご主人様が待つ車に乗り込んだ。
つづく
お題 「星明かり」
告白に 満天星の花 星明かり
(どうだん)
碧海 曽良
後書き
嫌なら、無理して読んだり観たりしなくて良いんだよ、あなたの心の健康を害してまで読む必要も観る必要もない。ただ、人には書く自由も放送する自由もある。あなた一人のために世の中は存在しない、自分の好き嫌いを叫んでみても好きも嫌いもあなたの思い通りにはならない、タダで観たり読んだりしてんなら尚更😁
内気なんじゃなくて単に、およびじゃなかっただけなんじゃなくて? 真実はいつも過酷、そしてひとつではない、あなたには見えない見たくない真実もある🌾🦜🌙 自称内気は結構自意識過剰🌾🌾
4/20/2025, 11:35:01 AM