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12/19/2025, 7:42:56 AM

心の片隅で 〜ショート・ショート〜

「クリスマスの贈り物は、奇妙な果実」

熱心に祈る母に
クリスマスの日司祭が言った
今夜8時になれば貴女の願い事が叶うと

それから彼女は夢を見た、その夜玄関のベルが鳴り、赤いリボンが掛けられた一本の木の鉢植えが届く。

配達人は何故か喪服姿で、彼女にこう告げた

「おめでとう御座います。明日朝この木に実る果実をもぎ取り息子さんの待つ病院へお行き下さい、息子さんは助かります」

そう、もう長い間、彼女の息子は心臓を病んで
彼女は夫とは離婚、そして今は息子の治療費を稼ぐ為に昼夜働きあらゆる媒体に泣き縋っても足りずに体を売っている。医者からはもう心臓移植しか助かる手立てはないと宣告され、彼女は人に頭を下げ身を任せ金策に奔走し、スポンサーとなってくれる情け深い金持ちの男の情婦となり心臓移植ドナー待ちに息子の名を連ねた。最後の最後は神頼みでこうして、この一年は教会で祈りを捧げているのだった。

「一日も早く、息子に合う心臓が見つかりますように」

そうして、彼女は夢を見たクリスマスイブの夜
玄関のベルは鳴り喪服の男に手渡された一本の木の鉢植え🪴 

翌朝見るとその木には喪服の男が言う通り奇妙な果実が実った。

赤い彼女の拳ほどの果実はどくどくと脈打ち
葉には血が滴り落ちて根を緋黒く染める。
幹は風に揺れる黒い躯のようで、垂れ下がったような奇妙な果実が実をつけた。

彼女は、一瞬でそれが何かを理解し、やおら鋸を手に返り血を浴びながらその贈られた聖夜の贈り物に実った奇妙な果実をもぎ取った…ところでけたたましい電話のベルで目を覚ます。

「夢か…」彼女は眠気を抑え電話に出た。

「〇〇大学病院心臓外科です、お探しの息子さんに適合すると思われる心臓が見つかりました、直ぐ病院にお越しください」

彼女の心臓は早鐘をうつように逸る。心を抑えながら病院へと向かった。


息子に、その心臓は移植され、拒絶反応もなく1週間近くが過ぎた。彼女はシルウェステルの祝いに教会を訪れ、夢の話と息子の心臓移植の奇妙な話をした。

司祭は言った。

何方かが召されたという刹那のお話ですね。
貴女の熱心な願いが、2055年に届いたようです。2055年の犯罪者で過去に幽閉された罪人囚人番号045番の心臓が貴女の息子さんに贈られました。その心臓の持ち主は貴女のお孫さんつまり貴女の息子さんの息子さんにあたり非常に貴女の息子さんの躯に適合すると判断されました。

「えっ?なに?なんのこと?何を仰っているのか意味がよく…」と言う彼女に司祭は続けた。

「貴女が、あまりに熱心に息子さんの心臓を望まれたので、私は貴女の愛人〇〇氏に商談を持ちかけました。未来に溢れた囚人を現代に引き受け臓器牧場を作っている。もし未来の罪人の中に血の繋がる者が居れば適合率は数弾上がりますしね、彼は快諾してくれましたよ、そして、おめでとうございます、貴女のお孫さんは罪を犯しこの臓器牧場に落とされ、貴女の息子さんにピッタリの唯一無二の心臓が見つかったのです、神のご加護に感謝下さい」

彼女の顔は見る見る青ざめ、血の気は失せ
紫色の唇をキュッと噛み締め合わせた手はわなわなと震えていた。

しかし、彼女はその慟哭の中、まだ見ぬ会ったことも無い息子の息子よりも消えかけた息子の命が蘇ったことを喜ぶべきか?そもそも、息子が亡くなれば息子の息子も存在しないのだから、所詮未来で犯罪を犯し過去に幽閉される孫。臓器牧場に来るまでの孫の人生はもう出来上がっていると言うことなのだから、愛する我が子の心臓が見つかったことは喜ぶべきことなのだと考えた。

彼女は夕べ見た奇妙な果実🫀の夢を思い出しながら、この罪を生涯他言せず心の片隅に置き背負うと誓って祈りを捧げた。



             葦野 風 


              







9/18/2025, 11:23:54 AM

もしも世界が終わるなら?

なんか、そんなドラマあったね(笑)


碧海 曽良 ロング・バケーション🌬️

そんなドラマもあったね🍃

9/3/2025, 12:24:54 PM

Secret Love

9/3/2025, 3:28:50 AM

ページをめくる

9/1/2025, 3:23:08 AM

8月31日 午後5時

昨日のお題見た瞬間「なんだ!なにか変なメールでも届いたか!?」と驚き見直す…間違いないこれが本日のお題のようだ。


 今日は渋谷で5時…♪ と、つぶやきながら


 待ち合わせかーいと突っ込んた 

 終わらない夏だよ〜♪


             碧海 曽良




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