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3/19/2024, 3:58:51 PM

胸が高鳴るような何かをつくる人を見るたびに自分もなにか作りたいと思ってしまうどうしても、何を作ろうともうまらなさそうなこの虚に。その形を少しでも変えて何かたまにあふれかけるような引き込まれるような色の声をあるいは形を作り出せたらきっと離れていけるあるいはうろの縁にいることが怖くなくなるかもしれない。問題は何をどんな形にすればいいのか曖昧すぎてわからないのだ。そうして今日も胸のうろを抱えて座る。

3/18/2024, 2:03:19 PM

皆自分の人生を生きている。他人は人生にどんな表題をつけているのだろうか、不条理劇という人生の真っ只中ですれ違う人がどんな配役なのだろうかと想像して見る。美しい人もそうでない人も誰でも彼でも人生に忙しくすることで虚無感から逃れているのだろうかと同仕様もない身のうちの虚を眺める。充実してそうな人を見て羨ましさが湧き上がるのにその裏にはそうでない時間もあるのだろうと楽しい時間も苦難の時間もただ過ぎ去るのみだという誰かの言葉を思い返す。この虚無のような感情をぼんやり眺めることもあるいは幸せなのかもしれない。

3/16/2024, 2:17:17 PM

怖がりなあの子が前をゆく。怖がっているのは少し丸まった背中からも見て取れるのに足運びには迷いがないと思っていたらジリジリと歩幅がだんだん小さくなるとともにちらちらこちらを振り返りはじめた。迷ったとささやかな声が耳に届く。だろうなと、薄々途中からだんだん迷走しているような気はしていた。前を任せたあの子が困っているようだから時々そっと声を掛けてはいた。でも別に聞こえなくったって構わないとも思っていた。もとよりこちらは行き先などあってないようなものだから、いきたいようにいきてほしいと前を任せたのだ。困ったことにどこでもいいのだ君がいれば。多分君と何処かにたどり着くまでの道こそが自分にとっての目的なのだろう。

3/15/2024, 2:52:40 PM

星が溢れるように偽物の空から降ってくる。プラネタリウムの座席に背中を預けてじっと宇宙を見過ごせないかと眺めていた子供のころを思い出しながらいまもまた天を見る。作り物の空は当時よりももっと精巧で美しさを増すようになっている。眺める自分はずいぶん変わってしまったと星の光の下で影の中で思う。解説の声に耳をすませながら本物よりも美しく見える星空は滲むようにぼやけて見える。寄りにもよって眼鏡を忘れるなんてと頭をよぎる老化の文字もぼやけている気がしてため息が出る。星の美しさに感嘆したかのように聴こえるその息は人工の夜空に滲んでいった。

3/14/2024, 1:00:35 PM

安らかな瞳が人工のものになる未来。高性能な瞳とサイバーデジタルなボディのあふれる世界でネットの海を泳いでいく人たち。嘘をどれだけ上手につけるかでお金をもらう芸人たちの溢れる世界にインターネットはなっていく。そんな未来を頭の中で眺めてるずいぶんとデジタルの世界に馴染んだものたちは現実と地続きの加工された現実で生きている。輝く瞳はどこまでもレンズのように無機質にどこまでも加工された瞳に変わっていく。高性能さの代わりに現実を見失う。いつかの未来。

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