怖がりなあの子が前をゆく。怖がっているのは少し丸まった背中からも見て取れるのに足運びには迷いがないと思っていたらジリジリと歩幅がだんだん小さくなるとともにちらちらこちらを振り返りはじめた。迷ったとささやかな声が耳に届く。だろうなと、薄々途中からだんだん迷走しているような気はしていた。前を任せたあの子が困っているようだから時々そっと声を掛けてはいた。でも別に聞こえなくったって構わないとも思っていた。もとよりこちらは行き先などあってないようなものだから、いきたいようにいきてほしいと前を任せたのだ。困ったことにどこでもいいのだ君がいれば。多分君と何処かにたどり着くまでの道こそが自分にとっての目的なのだろう。
3/16/2024, 2:17:17 PM