なつめぐ

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4/6/2026, 4:01:54 PM

『蓋をする』


「これでいいんだよ、こういう運命だったんだ」

この言葉を聞いた彼の顔が歪む。顔を横に振った彼の目から涙が零れた。
……彼の涙なんて初めて見た。でもやっぱりあんまり見たくはないかな。
大丈夫だよの意味も込めて私は彼に微笑みを向けた。

「さぁ!さぁ!!ひと思いにやってしまいましょう!彼女の悪しき魂を解放してあげるのです!!」

耳障りな声が聞こえた。…これが最後に聞く言葉とか嫌だなぁ……。
彼の右手が、刃が上がる。私に狙いを定めて。
もう一度彼の目を見た。彼の瞳に映る私は酷い顔をしていて、思わず笑ってしまいそうだった。……これが私の最期か。
私は込み上げてくる恐怖と涙に蓋をするように目を閉じた。

「…バイバイ」

最後に見た彼の顔を、瞳を思い出しながら、私は彼の刃を受け入れた。



【君の目を見つめると】

4/6/2026, 4:26:15 AM

『あなたがいない平和』


ほぅと息を吐き出すと、白い煙が出る。寒いと小さく呟き、マフラーに顔を埋めた。空を見上げると星が綺麗に輝いていた。

「…今日も来たよ」

そう言って冷たい墓石を撫でた。
ここには彼女が眠っている。……俺が、俺自身が手にかけてしまった彼女が。

「全部、全部終わったよ。平和な世の中になった」

「嬉しいだろ?」と問いかけても返事が帰ってくることはない。
唇を噛み締める。

「こんな平和な世の中になったのに……お前がいないと意味ないよ……っ…」

冷たい風が俺の髪を揺らした。



【星空の下で】

4/5/2026, 9:05:32 AM

『運命を受け入れて』


「頼む…!逃げてくれ…!!」

体が言うことを聞かない。進みたくないのに、一歩、また一歩と近づいていく。後ろでケラケラと笑っている声が本当に耳障りだった。
ついに彼女の元に辿りついてしまった。手が勝手に上がり、彼女の喉元に刃を突きつけてしまう。言葉も封じられたのか、口から出るのは重い息だけだった。
刃を突きつけられて目を見開いていた彼女は、軽く息を吐いて俺の顔を見上げた。彼女の手が俺の頬を撫でる。

「これでいいんだよ、こういう運命だったんだ」

嫌だと言う代わりに首を横に振った。その拍子に目から涙が零れる。そんな俺に彼女はただ微笑むだけだった。

「さぁ!さぁ!!ひと思いにやってしまいましょう!彼女の悪しき魂を解放してあげるのです!!」

耳障りな声と共に俺の右手も持ち上がる。彼女が受け入れるように目を閉じた。

「…バイバイ」

彼女の体から赤い花弁が散った。



【それでいい】

4/4/2026, 7:02:36 AM

【1つだけ】

4/3/2026, 5:54:05 AM

『救うのは』


「どうしたんだ?」

優しく名前を呼ぶと、彼は振り返った。

「先生……」

振り返った彼の目には涙。……視線を下に向けると、倒れている人の姿が。ピクリとも動かないその人はもう冷たくなっていることだろう。

「先生…俺、救えなかった……。俺は…みんなを、みんなを助けなきゃいけないのに……」

虚ろな目でそう呟く彼の元に歩み寄り、そっと抱きしめた。「先生…?」と困惑している彼の頭を優しく撫でる。

「お前は優しいから、責任を感じてしまうんだよな。でも、俺らはヒーローじゃない。だから皆を救おうとしなくていいんだ」

「でも……」

彼の目から零れた涙を拭う。

「お前が救いたいと思った人を救え」

「救いたいと思った人を…?」

「あぁ。それぐらいしたってバチは当たらないさ」

すこし考え込んでいた彼がゆるりと目を細めて、俺の背に腕を回した。

「うん…俺、救いたいと思った人を救うようにするよ。ありがとう、先生」

腕に力が込められて少し苦しかったが、離してくれる気配がないのでそのまま身を委ねることにした。














「先生……俺の、俺だけの先生……」

嫌な重さを含む彼の声は、闇に溶けていった。


【大切なもの】

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