『運命を受け入れて』
「頼む…!逃げてくれ…!!」
体が言うことを聞かない。進みたくないのに、一歩、また一歩と近づいていく。後ろでケラケラと笑っている声が本当に耳障りだった。
ついに彼女の元に辿りついてしまった。手が勝手に上がり、彼女の喉元に刃を突きつけてしまう。言葉も封じられたのか、口から出るのは重い息だけだった。
刃を突きつけられて目を見開いていた彼女は、軽く息を吐いて俺の顔を見上げた。彼女の手が俺の頬を撫でる。
「これでいいんだよ、こういう運命だったんだ」
嫌だと言う代わりに首を横に振った。その拍子に目から涙が零れる。そんな俺に彼女はただ微笑むだけだった。
「さぁ!さぁ!!ひと思いにやってしまいましょう!彼女の悪しき魂を解放してあげるのです!!」
耳障りな声と共に俺の右手も持ち上がる。彼女が受け入れるように目を閉じた。
「…バイバイ」
彼女の体から赤い花弁が散った。
【それでいい】
4/5/2026, 9:05:32 AM