黄桜

Open App
5/19/2024, 3:55:30 PM

「ごめん、やっぱりお前のこと好きじゃない。」

そう告げられて俺の6ヶ月の恋は終わりを迎えた。
相手は別に男が好きな訳じゃなかった。ただ、俺が告白した時、俺ならいいと答えてくれて本当に嬉しかったんだ。
でも、その人は俺を捨てて新しい人を隣に置いた。
捨てられた俺は、負け組と呼ばれる人達の仲間入りを果たしてしまった。
だから、俺はもう誰も好きになりたくない。傷つくって学んだから。

「なら、どうして私にその事を話したんだ?」

「それは…分かりません。」

本当は分かってる。担任が昨日、女子生徒の恋話に耳を傾けているのを知って、俺とあの子の何が違うのか知りたくて担任のところに足を運んだんだ。

「何を期待して私に独白したのか知らんが、
ひとつ言えるのは君は別に傷ついちゃいないよ。
ただ、自分を慰めてくれる人間を求めているだけ。
でもね、結局自分を救えるのはいつだって他人
ではなく己自身なんだ。
他人はあくまでその補助をすることしか出来ない。
私は君が、新しい自分への選択ができることを提示
することくらいしか出来んよ。」

「新しい自分ですか…」

「君が傷ついていると感じたのは、相手の求めていた
理想像の自分が傷つけられた事であって本当の自分
のことじゃない。」

その言葉で脳のモヤが霧のように晴れていく気がした。
自分が沈めていた事実を担任の言葉は、急浮上させた。そうだ、俺は俺が傷ついた事実に依存していたのだ、そうすれば俺を助けてくれる人物が優しくしてくれると思い上がって、本当の理由からは逃げ続けていた。でも、担任は隣に立ってくれた。俺を前からではなく、横から助けてくれた。憐れみなんかじゃない、あの人とは違う優しさが確かにそこにはあった。
担任の言葉は俺には必要なもので、俺自身が皮を被り
続けていたという事実に再び気づかせてくれた。
俺は、担任に礼を言い家への道を辿って行った。
もう、振り返る必要はない。だって、俺はもう新しい
自分だから。

突然の別れ、されど寂しさは必要なし。

お終い

追記 恋物語と繋がってます。
教師も同一人物です。

恋物語の生徒は、自分が傷つくことを恐れてはおらず新しい自分への道を迷わず選択するタイプの子でした。

突然の別れの生徒は、傷ついた事実に怯え一生今の自分でいるという選択をしようとしたところを教師がまだ変わるチャンスがあるということに気づかせ決心がついて選択をした子でした。

5/18/2024, 4:54:53 PM

「先生、私女の子が好きなの。」

そう言いきった彼女は、私の表情を伺っていた。
たぶん、私がそういったデリケートな問題に嫌悪感があるか確かめているのだろう。

「いいんじゃない?」

私は、別にそういった類に興味がある訳では無い。
だが、理解はある。このご時世なんでも常識が移り変わる世界では常に情報をアップデートしなければ会話を脳に受け付けてもらえなくなる。
女子生徒はこの返事にホッとしたのか、次々と恋物語を喋りだした。
私は、女子生徒の話す内容に時々疑問を投げかけながら自問自答をさせた。

「先生、私どうすればいいかな?」

「さあ、私はそういうの経験したことないから知らん。」

この返事に女子生徒は顔を白くさせた。
そりゃあ先程まで親身になって答えてくれた人間が、急にぶっきらぼうな返事をしたら顔も血の気が引く。
そして、私はこうも続けた。

「でも、たとえ貴方がOKでも相手がNOなら駄目なの。
人は、YESかYESじゃないかで物事を決める。
失敗するのもその選択が間違っていたからだ。
だけど、恋の失敗は間違っていても悪いことには
ならない。
恋の失敗は新しい自分への可能性を提示してくれる。
それに乗っかるかは、自分次第だよ。」

言い切った後に、らしくもないことをしたと少し後悔した。私は、恋愛に関しては専門外なんだ。
だが、女子生徒は私の無理やり出した返事に背中を押されたのか明日告白すると宣言して帰ってしまった。
いや、なんで教師の私が生徒の恋に一喜一憂させられなきゃいけないんだ。
次の日、あの子達は-----

恋物語を始めたとさ。めでたしめでたし。

お終い

5/14/2024, 12:53:58 PM

風に身をまかせたら、足元が軽く感じた。
自転車を漕ぐ私の足は疲れを感じていたが、追い風が私の背中を押すようにふいてくれるのが嬉しくて漕ぐのを止めなかった。
次の日、朝から強い風がふいていた。しかも、向かい風だった。
私が、その朝最初に吐き出した言葉はいつもの私なら絶対に言わないようにと気をつけているものだった。

向かい風かよ、ふざけんな。

お終い

5/6/2024, 11:24:27 AM

明日世界が終わるのなら、好きなアニメをみたい。
3次元に終わりが来るのなら、思考の最後は2次元で終わりにしたい。
だって、推しのいる頭で死ねるなら寧ろ幸せな気がする。
実際は、もっと焦るのかもしれないけど私は意外と諦めが早いからきっとアニメ見て時間が過ぎてそのまま世界滅亡コースって決まってる。
だから、皆最後は好きなもの食べたり飲んだり観たりして終わろうね。


明日世界が終わっても、忘れないくらいに。

お終い

5/6/2024, 2:39:51 AM

君と出逢って、何も変わりませんでした。
君がいくら私を愛そうと、私は貴方を愛しません。
君がいくら楽しげに会話に相槌を求めても、私は嘘で貴方を騙します。

貴方が、私に逢いたいと望んでも私は逢いたいとは思いません。

なぜなら、私が貴方に興味が無いからです。
貴方が私の善意を好意と勘違いしたからです。
だから、せめてもの情けで貴方にこの言葉を送ります。


嘘でも愛してあげられなくて、ごめんなさい。

お終い

Next