黄桜

Open App
9/2/2023, 10:15:15 AM

自分が生きている未来がない。周りは、将来は王手企業に就職するだとかフリーで働くだとか言っているが、私は何一つ共感できなかった。自分が何をしたいのか明確なビジョンが何一つ見えないことで、今の自分でさえ形を持っているのかと疑ってしまう。
なんでもいい訳ではないのだ。自分が自分でいられる場所、生きていてもいいと思える場所、自分も他人も認められるくらいの場所、そして、自分から帰りたいと思える場所が欲しいのだ。

それでも、心の灯火が見つからない。

お終い

9/1/2023, 11:33:03 AM

かつての友達とのLINEを開けずにいる。理由は、些細なものであり決定的なものであったのをよく覚えている。あの日、私はその友達との距離感が分からなくなってしまったのだ。今まで友達として接してきた。それが私にとっての普通だったからだ。
けれど、時というのは残酷であり望まぬ想いを芽生えさせることもある。だからこそ、私は距離を取り身を潜めることにしたのだ。まるで死者のようにひっそりと見えぬ墓場に眠る選択を取ることで身を守れているという実感が欲しいのだ。
だから、私はその友達の想いを受け取ることはできない。なぜなら、それは私の望むものではないからだ。

私は仮初の死を望む。

お終い

8/31/2023, 11:44:26 AM

今日、不愉快だと感じた瞬間があった。それは、ネットでよく流れてくるポエムの中の一文だった。死んでも、周りに迷惑をかけるだけで意味が無いのだと。自分でも理由は分からないが、酷く気持ちを逆撫されて気分が悪かった。
だが、数分もすると感情の昂りは落ち着いた。自分はこの時、第三者目線で珍しく感情的になったと俯瞰していた。
そして、自然と口角は弧を描くように上がっていて自分は笑っているようだった。この時の自分の感情に名をつけるのなら、図星という言葉がピッタリだろう。だからこそ、イラつくのだ。何も知りもしない人間が、まるで理解したかのように物語るのがあまりにも不完全な僕を苛立たせる。

想像で語るな、語るなら経験を積め。

お終い

8/30/2023, 11:23:11 AM

母親のつけている香水は、私の鼻にはキツイようで、いつも息を止めなければいけなかった。そんな母親は、私が寝る前に仕事に行く。その時、母親はいつも決まった言葉を囁く。お姉ちゃんだから、我慢してねと。額に柔らかいものが当たる感触とリップ音が響いた。
これが終わると母親は、私に見向きもせずに玄関へ行ってしまう。その後はガチャンという音とガチャリという音がそれぞれ1回ずつ鳴った。私は、母親の存在が家から消えたことによって、心に穴が空いたような感覚にまた襲われるのを自覚した。

母親の香水は、私のためじゃない。

お終い

8/29/2023, 11:01:27 AM

遠くで、妹と弟が海で遊んでいる。互いに海水を浴びたのか頭から水滴が垂れていた。2人はその姿を見ては、幸せそうに笑いあっていた。だが次の瞬間、2人が笑いを止めて私の方に視線を固定した。嫌な予感がした途端、2人は私のところに走って抱きついてきた。2人の体は、少し冷えていて気持ちがよかったが抱きつく力が強いせいであまり心地の良い時間は続かなかった。
私が、力を緩めてくれと懇願すると同時に、2人は一緒に遊ぼうと寸分違わぬ言葉で強請ってきた。私は、1つため息をつくとこう続けた。誰が、1番先に海に入れるか競走ねと。2人はその言葉が耳に入った瞬間、私よりもいち早くと走り出していき、その後を私は追った。

言葉はいらない、ただ…これが好きなのだ。

お終い

Next