黄桜

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遠くで、妹と弟が海で遊んでいる。互いに海水を浴びたのか頭から水滴が垂れていた。2人はその姿を見ては、幸せそうに笑いあっていた。だが次の瞬間、2人が笑いを止めて私の方に視線を固定した。嫌な予感がした途端、2人は私のところに走って抱きついてきた。2人の体は、少し冷えていて気持ちがよかったが抱きつく力が強いせいであまり心地の良い時間は続かなかった。
私が、力を緩めてくれと懇願すると同時に、2人は一緒に遊ぼうと寸分違わぬ言葉で強請ってきた。私は、1つため息をつくとこう続けた。誰が、1番先に海に入れるか競走ねと。2人はその言葉が耳に入った瞬間、私よりもいち早くと走り出していき、その後を私は追った。

言葉はいらない、ただ…これが好きなのだ。

お終い

8/29/2023, 11:01:27 AM