黄桜

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8/27/2023, 12:59:58 PM

長年付き添った夫が命を使い果たした日でした。その日の天気は酷いもので、急に雨を降らせたと思ったら晴れたりと忙しい天気でした。まるで、生前の夫の性格を表しているようで少し笑いました。
葬式も終わりを迎える頃に、再び雨が降り出しました。まるで、夫が私と別れを惜しんでいるように見えて今度は思い切り豪快に笑いました。

雨に佇んでいる妻は、笑っていた。

お終い

8/26/2023, 10:29:50 AM

私は、日記を書き続けるというのが苦手だ。なぜなら、自分という人間と向き合う時間が1番嫌いなのだ。日記を書くというのは、その日の自分に区切りをつけることだ。そして、それを何日、何年と続けなければいけない。言ってしまえば、まるで強制的に書かされているように感じてしまいやる気がでないのだ。
そんな私だが、ある何年間だけは楽しく日記を書いていた時期があったのだ。あの時の日記帳は、いつでも読み返せるように机に置いている。その日記帳には特別思い入れがあるのだ。それは、私が唯一本音を語ることの出来た相手との日記帳だからだ。

中学時代の私の日記帳には、必ずコメントが書かれている。

お終い

8/25/2023, 1:06:31 PM

目の前に悪魔がいた。教師という名称を盾に偉い態度で椅子に座っている悪魔が何か喋っている。唯一聴き取れたのは、なぜクラスに来てくれないのかと言うことだけだった。なぜ、そんなのは明確だろうに。クラスに行かないのは、そのクラスに問題があるから行けないのだ。更にその問題を起こしたのは、目の前のかつて人間だった教師だ。
かつての自分の姿を忘れてしまった哀れな悪魔は、まるで神かのように救いの手を差し伸べようとしている。けれど、実際はその手にあるのは救済ではなく地獄への道連れコースでしかない。だからこそ、私はこの悪魔を哀れまずにいられないのだろうか。もしかしたら、神も悪魔も元は同じなのかもしれないと考えてしまうのは、私がこの悪魔の対面に立っているからだろうか。

神と悪魔はいつでも向かい合わせの場所にいる。

お終い

8/24/2023, 10:19:31 AM

古き友に終わりを迎えるかもしれないと言われた。私は、やるせない気持ちで隣の友に目を向けた。ひと呼吸おいてから、私はいつ頃になりそうなのかと聞いた。頭の中は、入ってきた情報が整理されていないが、口からは喋るべき最低限の単語だけ滑り出してきていた。この時私は、自分を上から見下ろしているような奇妙な感覚に襲われていた。
友は口を開くと、あとひと月もないと答えた。私は、1度だけ瞬きすると、そうか、と諦め気味に言葉を零すと同時に頭を垂れた。最後だと思い、頭を上げると同時に言葉を吐き出した。

友よ、君に会えて良かった。

お終い

8/23/2023, 1:48:48 PM

海は、広すぎて私達の目では境界線がはっきりしない。見えているようで、見えていない。そんな、曖昧な言葉でしか表現する事ができないのだ。
そのため、私は海に来るのだ。自分と海をはっきりと隔てている境界線も曖昧になれと想いを込めて、砂浜から海へと1歩を踏みだす。私の足は、海との境界線を無くしたように見えたが、浅さ故に私という存在は消えていなかった。私は、思わず口から残念と言葉を零してしまった。

海よ、君とは1つになれない。

お終い


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