題:博愛主義者
ママは博愛主義者……のはず、なんだけど。
ママはある日、その人だけを愛するようになっちゃったんだよね。
あのね、その人はね、金髪を結んでてね、綺麗な青い目でね、スッゴくカッコいい人なんだ!ママがほれても納得しちゃうくらい!
「……ねえ、バトラー」
「何でしょうか、ロゼッタ様」
ほら、またバトラーに相談してる。ママはその人に本気なんだ。
「明後日のお買い物、どのような服装で行けば良いでしょうか……!」
「そうですな。今は秋なので……」
服装?服装何でもよくない?まあ、こういうところが僕の悪いところなんだろうケド。
「ご飯出来たよー!」
わーい、ご飯!今日はなんだろう!
ママはまだバトラーと相談してるみたい。そっとしておこう。
「……梨のケーキ??」
「そ。ママの明後日がうまくいくように」
「それと梨がなにか関係あるの?」
「わかってないのね。……梨の花言葉は『愛情』とか、『博愛』とかがあるのよ」
「ふぅん?」
「絶対分かってないでしょ」
僕は花言葉とか気にしたことないし、興味ないもん。
でも、梨のケーキに梨の花がのってるのは可愛いかも。
僕も、ママの明後日がうまくいくように星に願おうかな。
ーーあの人とりょーおもいになれますように。
『梨』
題:ついていく
「あ、の、机のコスモス、見てくれましたか……?」
不安げに聞いてくるロゼッタさん。前日、俺に赤いコスモスをくれた本人だ。
「もちろん」
今は、ロゼッタさんと二人きりで話している。
……ロゼッタさんの本音を聞くために。
「私は……リンクさんの、ことが……す、好きなんです!だから、付き合ってください!」
「……俺も、ロゼッタさんのことが好きです」
「え……」
さっきまで緊張してたクセに、俺が返事をしたら一気に困惑してる。意外に感情を出す人なのかもな。
そんなロゼッタさんも、好き。
「全部が好きです。ミステリアスなところも、チコ達を愛しているところも、マリオさん達のことが大好きなところも。全部が」
「つまり……?」
「喜んで、お付き合いさせていただきます」
「!……」
付き合うと言った瞬間に両手で口を抑えて涙を流すロゼッタさん。泣いている顔も綺麗。この人に綺麗じゃないところなんてないんじゃないかって思う。
俺はそんなロゼッタさんに抱きついて。
「……どこまでも、ついていきますから」
「……ありがとう、ございますっ……」
泣きながらの礼を言うロゼッタさんは、どこか幼気な感じがする。
俺は大好きなロゼッタさんと、口付けを交わした。
◊ ◊ ◊
翌日の街中では。
「レジェンドチームのあの二人が交際を発表!?」
「末永くお幸せに!!」
「二人、お似合いだね!」
リンクとロゼッタの交際発表についてのモニターに釘付けだった。
そこで、二人にインタビューが入る。
『ロゼッタさんはリンクさんのどこが好きになったんですか?』
『えっと、最初は無口無表情でちょっと怖いなって思ってたんですけど、打ち解けていくうちに見せる笑顔が素敵で、気付けば目で追っていました』
『そこから恋心が芽生えていったんですね』
『はいっ』
『それでは、リンクさんはロゼッタさんのどこが好きになったんですか?』
『全部です。楽しそうに笑っているところとか、クールなところとか、チコ達に読み聞かせているところとか』
『知ってたんですか!?』
『知ってますよ。ロゼッタさんのことならなんでも』
『っ!!』
『互いに愛し合っているんですね』
『『!!』』
「二人可愛よ!!」
「今死んでも悔いはないわ!!」
「全人類が感動する瞬間!!」
記者の言葉に顔を赤らめる二人を見て、街行く人々は幸福感に満たされる。
『どこまでもついていきますからね、ロゼッタさん』
『〜〜っ!』
リンクがロゼッタを愛しているということを伝えてまた顔を赤くするロゼッタを見て、また人々は幸福感に満たされた。
ーー愛してますよ、ロゼッタさん。
お題『どこまでも』
題:愛情
……朝起きたら、机にこんなものが置かれていた。
赤色のコスモス。
コスモスの茎に紙が結び付けられていたから読んでみたら、
『リンクさんへ
朝からすみません。ですが、貴方のことを想わずにはいられなかったのです。
夜、貴方の部屋に入って、この紙を結び付けた赤色のコスモスを置きました。
私が意味もなく赤色のコスモスを置くはずがないと貴方が考えてくれることを想定して。
私の想いが、貴方の元へ届きますように。
ロゼッタより』
……と書かれていた。
早速赤色のコスモスの花言葉を調べてみたら……。
『赤色:愛情、情熱』。
……つまり、ロゼッタさんは俺のことが好……きって、こと……?
ちょっと待って、1回落ち着こう。あの、クールで、尊敬する、ロゼッタさんが、俺の、ことを……。
後でロゼッタさんと二人きりで話そう。
あ、ロゼッタさんの机にピンクのコスモスでお返ししとこうかな。
『ピンク:乙女の愛情、乙女の純潔』
お題『一輪のコスモス』
題:図書室という静寂の中で
教室はいつもうるさい。教室というのは喧騒そのものを表していると、つくづく思う。
だから私は、図書室という静寂の場所に避難する。
図書室は教室と違って静寂そのものを表している。それに、教室とはまた違う発見があるのも面白い。
勉強をしている人、ただ読書をしている人、寝ている人、私と同じように喧騒から逃げてきた人……。
これらを私の妄想の中で勝手にストーリーを組み立てていく。
まず勉強をしている人は隣でただ読書している人の本の内容に興味があり、ただ読書している人にどんな本なのか聞く。それから聞かれたただ読書している人は勉強をしている人にどんな本かを教える。勉強をしている人は満足したようで、また勉強に戻る。そして寝ている人が目を覚まし、前方で距離の近い二人を見てニヤつく。そして私と同じように喧騒から逃げてきた人がそんな二人の様子を見て、また新たに二人のストーリーを勝手に組み立てていくーー。
静かな場所だからこそ、妄想に耽る事が出来るのだ。この妄想の時間は、とても短く感じる。
3限目が始まってしまう。次は移動教室だから急ぎめで。
こんな学校生活を、私はとても気に入っています。喧騒があるからこその静寂なのだと、実感するのです。
この学校生活はどこか不安定で、どこか寂しげで……。
明日もきっと、図書室に来て、妄想に耽るのだろう。
この、図書室という静寂の中で。
お題『静寂の中心で』
題:揺れる炎
ゼルダは一人、窓の外を眺める。
(今宵の月はとても綺麗……)
ゼルダは今日、中々寝付けないでいた。
その理由は、護衛の彼ーーリンクのせいだ。遺物調査をしている時も、ついつい隣に居る彼を見てしまう。昼間は彼のことばかり考えてしまい、挙げ句の果てには夢の中にまで出てくる。それほどまでに、ゼルダはリンクに恋い焦がれていた。
(この月を、リンクと一緒に観られたら……)
王国の王女としてはしたないとは思う。けれど、この気持ちは、もう誰にも止められないのだ。
窓の外で、月が神聖な光を落とし続ける。
ーーいっそのことあの月まで行けてしまえば、どれほど良いことか……。
ベッドの傍には、さっき灯した蝋燭と、読みかけの本。
明日もゼルダは早朝に泉で沐浴しなければならない。
寝なければならないのに、寝ようと思うのに、彼のことを思っては胸が苦しくなり、寝られなくなる。
彼のことを思えば思うほど胸が苦しくなるのは、リンクには他に好きな人がいるから。その好きな人ももう知っている。
ミファーのことが、リンクは好きなのだ。
ミファーを見るリンクの目は、何か愛おしいものを見るような目だった。それを初めて見た時は唇を噛み締めて、必死に泣くのを堪えていた。
ゼルダは悲しげに月を観る。
ベッドの傍の蝋燭は、ゼルダの想いを感じ取ったかのように揺れ、そして小さくなった。
皆さんお久しぶりです、彗星です。
実は私、新しい小説アプリをダウンロードしたんですよ!
そのアプリは、『カクヨム』というアプリです!
『書く習慣』とは違ってお題がなく、その上長編小説も書けちゃうんです(それに投稿も可能ですしね)!
今私は『カクヨム』で【星明りの宝】というオリジナル&ファンタジー長編小説を書いてるんです(まだ書き途中で投稿してませんが)。
ルビとか傍点も書けて便利です!あと楽しい!
もし「カクヨムあるよー」とか、「カクヨム持ってるし、ファンタジー好き!」って人は、私が投稿したときに是非見て頂きたいです!
今後とも、よろしくお願いいたします。
お題『moonlight』