題:優しい歌
貴方が紡ぐ、優しい歌。
私はそれが好き。
貴方の優しさが、その歌に込められているようで、なぜか安心してしまうの。
貴方らしい、静かな、優しい。
ほら、今日もその歌が聴こえてきた。
いつまでも聴いていられる。
「ロゼッター、何してるのー?」
呼ばれちゃったな。
もう行かないと。
少し躊躇いながら立ち上がって、ピーチさんの元に行く。
後ろでまだ聴こえる優しい歌。
どうして皆さんこの歌を聴かないのでしょう。
それが疑問でなりません。
心地良い、耳障りの良いこの歌を。
……まるで、誰かを想って歌っているような。
それは、どんな人かしら。
貴方と仲の良かった人かしら。
それとも、密かに恋心を抱いていたのかしら。
ーー私だったらいいな。
いつもそんなことを考えてしまう。
貴方のものでいたいと、思ってしまうから。
その歌の相手が私であることを、願ってしまうの。
少しでも、希望を持ってしまうの。
……そんな事ないと、分かっていても。
いつか貴方のものになりたいと。
思ってしまうのよ。
皆さんこんにちは、彗星です。
私の好きな曲は宝鐘マリンの『幽霊船戦』と、DECO*27の『モニタリング』、Mrs.greenappleの『soranji』です!
題:紅茶ができるまで
サラサラ……。
砂時計の砂が落ちる音がする。紅茶を作っているためだ。
アプリコットの豊かな香りがほのかに香ってくる。
砂時計の砂は半分ほど。あと1分半といったところか。
(ピーチさん、紅茶は初めて作るって言ってたけど、淹れ方上手いなぁ)
ピーチさんはシェフがいるから料理は自分でやらないから、紅茶も淹れたことが無いみたい。
……私の好みも分かってるし。
……残り1分。
鼻唄唄い始めた。何の唄だろう?
……残り30秒。
相変わらず砂時計は砂を落とし続ける。
(それにしてもまあ、ずいぶんと楽しそうに淹れるなあ……)
紅茶淹れるぐらいではそんなに楽しめないと思うんだけど……。これが、価値観の違いなのかな。
それとも、人に紅茶を淹れたことがないからかな。
……また今度、淹れてもらおうかな。ピーチさんが良いなら。
「出来たわよー!」
「はーい」
砂時計は砂を落としきっており、もうサラサラという音は聞こえない。
紅茶を一口啜る。
「どう?」
「んー……GOOD」
「やった!」
アプリコット本来の爽やかな酸味とほのかな甘みが絶妙にマッチしていてとても美味しい。桃に似た甘酸っぱさ。
美味しいので、もう一口頂く。
「……また今度、淹れてくださいませんか?」
「……いいの?」
「……」
私は紅茶を啜りながら頷く。
ピーチさんの顔が、パッと明るくなった。
この決断は、紅茶ができるまでに決めたこと。
砂時計の音を聞いたら、なんだか紅茶を飲みたくなってしまったんですもの。
お題『砂時計の音』
題:博愛主義者
ママは博愛主義者……のはず、なんだけど。
ママはある日、その人だけを愛するようになっちゃったんだよね。
あのね、その人はね、金髪を結んでてね、綺麗な青い目でね、スッゴくカッコいい人なんだ!ママがほれても納得しちゃうくらい!
「……ねえ、バトラー」
「何でしょうか、ロゼッタ様」
ほら、またバトラーに相談してる。ママはその人に本気なんだ。
「明後日のお買い物、どのような服装で行けば良いでしょうか……!」
「そうですな。今は秋なので……」
服装?服装何でもよくない?まあ、こういうところが僕の悪いところなんだろうケド。
「ご飯出来たよー!」
わーい、ご飯!今日はなんだろう!
ママはまだバトラーと相談してるみたい。そっとしておこう。
「……梨のケーキ??」
「そ。ママの明後日がうまくいくように」
「それと梨がなにか関係あるの?」
「わかってないのね。……梨の花言葉は『愛情』とか、『博愛』とかがあるのよ」
「ふぅん?」
「絶対分かってないでしょ」
僕は花言葉とか気にしたことないし、興味ないもん。
でも、梨のケーキに梨の花がのってるのは可愛いかも。
僕も、ママの明後日がうまくいくように星に願おうかな。
ーーあの人とりょーおもいになれますように。
『梨』
題:ついていく
「あ、の、机のコスモス、見てくれましたか……?」
不安げに聞いてくるロゼッタさん。前日、俺に赤いコスモスをくれた本人だ。
「もちろん」
今は、ロゼッタさんと二人きりで話している。
……ロゼッタさんの本音を聞くために。
「私は……リンクさんの、ことが……す、好きなんです!だから、付き合ってください!」
「……俺も、ロゼッタさんのことが好きです」
「え……」
さっきまで緊張してたクセに、俺が返事をしたら一気に困惑してる。意外に感情を出す人なのかもな。
そんなロゼッタさんも、好き。
「全部が好きです。ミステリアスなところも、チコ達を愛しているところも、マリオさん達のことが大好きなところも。全部が」
「つまり……?」
「喜んで、お付き合いさせていただきます」
「!……」
付き合うと言った瞬間に両手で口を抑えて涙を流すロゼッタさん。泣いている顔も綺麗。この人に綺麗じゃないところなんてないんじゃないかって思う。
俺はそんなロゼッタさんに抱きついて。
「……どこまでも、ついていきますから」
「……ありがとう、ございますっ……」
泣きながらの礼を言うロゼッタさんは、どこか幼気な感じがする。
俺は大好きなロゼッタさんと、口付けを交わした。
◊ ◊ ◊
翌日の街中では。
「レジェンドチームのあの二人が交際を発表!?」
「末永くお幸せに!!」
「二人、お似合いだね!」
リンクとロゼッタの交際発表についてのモニターに釘付けだった。
そこで、二人にインタビューが入る。
『ロゼッタさんはリンクさんのどこが好きになったんですか?』
『えっと、最初は無口無表情でちょっと怖いなって思ってたんですけど、打ち解けていくうちに見せる笑顔が素敵で、気付けば目で追っていました』
『そこから恋心が芽生えていったんですね』
『はいっ』
『それでは、リンクさんはロゼッタさんのどこが好きになったんですか?』
『全部です。楽しそうに笑っているところとか、クールなところとか、チコ達に読み聞かせているところとか』
『知ってたんですか!?』
『知ってますよ。ロゼッタさんのことならなんでも』
『っ!!』
『互いに愛し合っているんですね』
『『!!』』
「二人可愛よ!!」
「今死んでも悔いはないわ!!」
「全人類が感動する瞬間!!」
記者の言葉に顔を赤らめる二人を見て、街行く人々は幸福感に満たされる。
『どこまでもついていきますからね、ロゼッタさん』
『〜〜っ!』
リンクがロゼッタを愛しているということを伝えてまた顔を赤くするロゼッタを見て、また人々は幸福感に満たされた。
ーー愛してますよ、ロゼッタさん。
お題『どこまでも』
題:愛情
……朝起きたら、机にこんなものが置かれていた。
赤色のコスモス。
コスモスの茎に紙が結び付けられていたから読んでみたら、
『リンクさんへ
朝からすみません。ですが、貴方のことを想わずにはいられなかったのです。
夜、貴方の部屋に入って、この紙を結び付けた赤色のコスモスを置きました。
私が意味もなく赤色のコスモスを置くはずがないと貴方が考えてくれることを想定して。
私の想いが、貴方の元へ届きますように。
ロゼッタより』
……と書かれていた。
早速赤色のコスモスの花言葉を調べてみたら……。
『赤色:愛情、情熱』。
……つまり、ロゼッタさんは俺のことが好……きって、こと……?
ちょっと待って、1回落ち着こう。あの、クールで、尊敬する、ロゼッタさんが、俺の、ことを……。
後でロゼッタさんと二人きりで話そう。
あ、ロゼッタさんの机にピンクのコスモスでお返ししとこうかな。
『ピンク:乙女の愛情、乙女の純潔』
お題『一輪のコスモス』