題:波音に癒されて
ザザーと、波の音が聞こえる。
ロゼッタは一人、夕日の光をうけてオレンジ色に輝く海を眺めていた。
波の音は耳障りが良く、癒される。
静かで心地よくて。疲れが吹き飛ぶ。
今ロゼッタがいる所は、オキナワという所の『与那覇前浜ビーチ』。白い砂浜と青い海のコントラストが美しい海だ。
ーー次はチコ達も連れてこようかしら。
波音に耳を澄ませながら、ロゼッタはそんな事を考えていた。
お題『波音に耳を澄ませて』
題:吹き抜ける風
気持ちいい風が私の横を通り抜ける。とても暑い今の時期には丁度いい風。
全く、夏は暑すぎて嫌になる。チコ達も体調を崩しやすくなっているし。夏は大変だ。
ーーもう少し涼しくなってほしい。
本音を心の中で漏らす。これは誰もが思っているだろう。
「暑そうね」
「わっ」
不意に声を掛けられ、肩が跳ねた。後ろを振り返ると、ピーチさんが立っていた。
「日傘の中入る?」
「暑いので、お言葉に甘えて」
そう言って日傘の中に入れてもらった。日を遮るだけでもさっきよりも全然マシだ。
「あ、ピーチさん、今は王冠付けてないんですね」
「だって太陽の光を集めて熱くなるんだもの。自分の王冠触ってみなさいよ」
「そうですか……熱っ!」
「でしょ?」
なるほど。一つ知識が増えた。これから活用していこう。
「心地よい風のことを『青い風』って言うみたいよ」
「国語の問題ですか?」
「違うわよ、ただの豆知識」
「へぇ~」
じゃあ最初に吹き抜けていった風を『青い風』って言うのかな。確かにあれは心地よかった。
「では、天文台も暑いので、これからその『青い風』を天文台中に吹かせましょうか……」
「あら、良いわね。そうなったら遊びにいってもいいかしら」
「もちろん。待っていますよ」
また、『青い風』が私達の間を吹き抜けていった。
お題『青い風』
題:夏を感じる
海沿いの風光明媚な街。そこは夏になると観光客が押し寄せる有名な街です。
その美しい海に、地元の魚を使った美味しい料理。夏を快適に過ごすために必要な要素が全て揃っている。
そんな街に、私も立ち寄っています。
私が今いる場所は、向日葵の咲き乱れる公園です。
海の香り、向日葵の香りーー。
夏の匂い。
お題『夏の匂い』
題:溢れる光
自室のカーテン。そのカーテンは、風で揺れている。宇宙には風は吹かないが、ロゼッタの魔法がそれを可能にしている。
新しく替えたベージュのカーテンからは、太陽の柔らかな光が溢れている。
「ママ、綺麗だね!」
「そうね」
ロゼッタはチコとカーテンから溢れる光を見て笑っていた。
ーーこんな風に、この子達の未来も光で溢れていますように。
ロゼッタは、チコの顔を見ながらそう祈った。
「あ、ママ、夜ご飯の時間だよ!」
「あら、そうだったわね。では、行きましょうか」
「うん!」
光の空間から、二人は下へと向かうため、離れていった。
お題『カーテン』
題:群青
「ねぇねぇ、『青く深く』っ言われたら何を思い浮かべる?」
「『青く深く』……ですか?」
「そう!」
「そうですね……。海、でしょうか」
「やっぱり!?」
ピーチが幼い子供の様にロゼッタに顔を近づける。ロゼッタは、『はい』と言って、話を続ける。
「『青く』とだけ言われれば、空や星が思い浮かびます。でも、『深く』も加われば、深さを思い浮かべるため、海だと思いました」
「結構考えて言ったのね。私は特に考えずに言うわ」
「当たり前でしょう。ところでピーチさんは何を思い浮かべたのですか?『やっぱり』ということは、やはりピーチさんも海でしょうか?」
「ふっふっふっ、私はね……」
ピーチは不気味に笑いながらニヤつく。
ロゼッタは、ピーチのその笑い方とニヤつきに、少し引き気味である。
「リンクよ」
「………ふぇ?」
変な声が出た。
何故そこでリンクが出てくる?
「ほら、リンクのイメカラ(イメージカラー)って青でしょ?」
「そうですけど、『深く』の理由は?」
ピーチはまたニヤつく。
ロゼッタは、ニヤつきが止まらないピーチを本気で心配している。
「ロゼッタに対する『深い』愛よ」
「………ふぇ!?」
また変な声が出た。顔が真っ赤になる。
ピーチはそのロゼッタの様子に、少し満足そうに言う。
「だってリンクって、ロゼッタに対してはかなり優しいし、ロゼッタを大切にしてるっていうか……」
「いやいやいや、優しいのは誰に対してもですよ!?私以外のことも大切にしてますよ!?」
「その否定の仕方は、ロゼッタもリンクのことを……?」
「違いますってば!!!!」
最後は顔を限界まで赤くして、全力で否定する形になった。
その後、ピーチはロゼッタと別れた。
帰る途中、ピーチは独り、呟いた。
「わかりやすいのよ、あんたは。リンクのこと好きなの、バレバレよ」
呟いた後、ピーチは思いっきり伸びをした。
「さーて!恋愛の大先輩として、ロゼッタのことを全力でサポートしなきゃ!付き合うとこまで持ってかなきゃね!」
濃い群青色の空に向かって、そう宣言する。
(見てなさい、リンク。あんたを『好き』から『愛してる』にしてやるんだから)
ピーチは誰もいない平原で、拳を突き上げた。
お題『青く深く』