題:図書室という静寂の中で
教室はいつもうるさい。教室というのは喧騒そのものを表していると、つくづく思う。
だから私は、図書室という静寂の場所に避難する。
図書室は教室と違って静寂そのものを表している。それに、教室とはまた違う発見があるのも面白い。
勉強をしている人、ただ読書をしている人、寝ている人、私と同じように喧騒から逃げてきた人……。
これらを私の妄想の中で勝手にストーリーを組み立てていく。
まず勉強をしている人は隣でただ読書している人の本の内容に興味があり、ただ読書している人にどんな本なのか聞く。それから聞かれたただ読書している人は勉強をしている人にどんな本かを教える。勉強をしている人は満足したようで、また勉強に戻る。そして寝ている人が目を覚まし、前方で距離の近い二人を見てニヤつく。そして私と同じように喧騒から逃げてきた人がそんな二人の様子を見て、また新たに二人のストーリーを勝手に組み立てていくーー。
静かな場所だからこそ、妄想に耽る事が出来るのだ。この妄想の時間は、とても短く感じる。
3限目が始まってしまう。次は移動教室だから急ぎめで。
こんな学校生活を、私はとても気に入っています。喧騒があるからこその静寂なのだと、実感するのです。
この学校生活はどこか不安定で、どこか寂しげで……。
明日もきっと、図書室に来て、妄想に耽るのだろう。
この、図書室という静寂の中で。
お題『静寂の中心で』
10/7/2025, 11:35:48 AM