題:私の太陽
今日の天気は曇り。暑くもなく寒くもない、丁度いい気候。そして、相変わらず女生徒達がうるさい。
「キャー!リンク様〜!」
「いつまでも私達の太陽でいてください!」
「……すみません、どいてくれますか?」
「「「キャ〜♡♡!!」
すごい人気ですよね、リンクさん。私は様付けなんてしませんが。
「どいてくれますか?」って言っただけでキャーキャー言われて……。なんかちょっとムッとする……。ちなみに私はリンクさんと同じ委員会なんですよね。
この前とか……。
❁ ❁ ❁
私とリンクさんは同じ保健委員。仕事は主に学園の水道の水質検査や、気温・湿度・天気の記録、石鹸の補充……などなど。あとたまに怪我人などの手当てをします。
私は休み時間、常に暇なので(暇じゃない時もあります)、怪我人がいないか学園の見回りや校庭の見回りをしています。
リンクさんはサッカー部で、サッカーコートが使える時は練習しているそうです。本当はバスケ部に入りたかったみたいですが、本人曰く、「ほら、バスケって背が低い俺には向いてませんし、それに女子が多いので……」という理由で、女子がバスケより少ないサッカー部にしたそうです。私は吹奏楽部のフルート担当です。あとこの学園、サッカー部男女混合なんですよね。
それで、保健委員の仕事が終わったので見回りに行こうとしたら、校庭側のドアが開きまして。その女生徒膝から血がまあ出てまして……。中に入らせて椅子に座るよう促して、ガーゼで血を拭いていたらリンクさんが入ってきて、一緒に手当てして……。
で、その女生徒を教室に帰したあとに、リンクさんに言われたんですよ。
「ゼルダさんって、仕事熱心なんですね」
「そうでもありません。ただ暇なだけです」
「そうとは見えませんでしたが……」
「ただ暇なだけ。本当に、ただ暇なだけです」
「……なら、暇なゼルダさんにお誘いです。今日の放課後、一緒にカフェ寄りません?」
❁ ❁ ❁
……で、付き合うことになりました〜!
リンクさんと付き合うようになってから、色んなことがガラッと変わりました。まるで曇った私の世界に、光が宿ったような……。
リンクさんは私にとって、光り輝く太陽のような存在なのです。
お題『cloudy』
題:レインボーロード
『レインボーロード』。それは幻のコースで、見たものは誰もいない。
……そして私は今、レインボーロードを目の当たりにした。
7つのトロフィーを集め、7つ目のトロフィーを持ち上げた時、突然私の目の前に、今まで私が取ってきた6つのトロフィーが現れました。
驚きで静寂に包まれる会場で、私の持っていたトロフィーと6つのトロフィーが輝き始め、やがて一つになりました。
王冠の形の、神々しいトロフィーが。
それは街の上を滑り、『MARIOKART』と書かれた橋をくぐり、天へと昇りーー。
そのトロフィーが通ったところが徐々に虹色に染まり、レインボーロードを造り上げた。
「ロゼッタ、一体これは……」
「恐らくこれが、『レインボーロード』なのでしょう」
マリオさんがレインボーロードをあ然と見上げて、私に聞きました。私は、何故か冷静でした。
『ピーチスタジアム』のゴールの後の道が光っています。私は直感的に、あの光がレインボーロードへ行くためのものなのだと思いました。
私はバイクに跨り、発進させる。後方でマリオさんが何か叫んでいますが、今の私にはどうでも良かった。
光の中に入った途端、私の体はふわりと浮き上がりーー。
光が見えなくなると、そこには夢のように美しい場所がありました。
まさに、天上の国といって間違いない場所。
虹の道を走ればキラキラと音が鳴り、眩く輝き、アクアマリンのように淡く光る水の道を走れば、その度に宝石のような水の欠片が散る。そしてまた虹の道に戻り、銀河鉄道の夜のように私の隣を列車が走る。星が流れ、瞬き、美しく。今度は虹の星が渦を巻き、機械工場のような場所へ連れて行かれる。そこはこの世の理を知らないかのように、自由だった。そして星の星のゲートをくぐり、またもや虹の星が渦を巻き、私を出迎える。そしてまた虹の道に戻り、列車が走りーー。
大きな星のゲートのゴールテープを、私は切った。
夢のような世界で、私は列車の車両の中の人物を確かに見ました。
車両の中には、幼い頃病死した、こちらに手を振るママの姿があったーー。
しばらくして帰ってきた私を見て、皆さんは驚いていました。
私はママを亡くしてから、一度も泣いたことはありませんでしたが、帰ってきた時、私は両目から涙を流して泣いていたそうです。
お題『虹の架け橋🌈』
題:魔女狩り
「魔女ロゼッタに裁きを!」
「「「魔女ロゼッタに裁きを!」」」
ーーああ、うるさい。
私は、そう思った。
✧ ✧ ✧
私の暮らしている国で、『魔女狩り』が始まった。
多くの人が犠牲になった。私の唯一の友達のピーチも、魔女なんかでは無いのに殺された。
全てはあの賢者ーーケエスのせいだ。あいつは賢者の中でも最高クラスに強い。
青髪の者は神の子として賢者になることを義務付けられ、人々を正しい道へと導く。
だがあいつはどうだ。
人々のためと言い、国中の娘を皆殺しにし、また殺す。あいつは神の子なんかじゃない。
ただ殺戮を繰り返すだけの、薄っぺらい笑みを張り付けた魔神の子だ。
当然、私も殺される。
今ここであいつを殺してやってもいい。弱い魔法から使って、散々苦しめさせてから原形が分からなくなるくらい魔法を叩き込む。私は本当の魔女だから。
でもさ、あいつを殺したところで、ピーチは戻ってこないんだよ。そう、戻ってこないんだよ。
✧ ✧ ✧
ピーチとは、文通をしていた。
いつも返事を貰っていたし、していた。既読がついた、つけた。
でも、そんな手紙のやりとりも、呆気なく終わる。
私は、既読のつかない手紙を、ピーチが死んで尚、書き続けた。きっと、その事実を受け入れられなかったのね。
人の寿命は魔女よりもずっと短い。人にとっての百年は、魔女にとっての一年程度。それくらい、魔女の寿命は人と掛け離れている。
あいつを殺したいところだけど、死ねばピーチと同じ場所に行けるのよね。なら……。
ずっと既読のつかないメッセージも、あっちに行けばつく。また、文通ができる。返事が貰える。
✧ ✧ ✧
「……待っててね」
満点の星空に向かって囁き、私は心臓を貫かれた。
お題『既読のつかないメッセージ』
題:恋は秋とともに
紅葉が美しい季節。
私は窓の外を見て、心が……
「アンタってリンク様と付き合ってるってほんと?」
……心が落ち着きそうだったところをぶち壊されました。
私が生徒会長になってからいっつもこう。私が副会長でリンクさんが会長で仕事の関係でよく一緒にいるだけで!ほんっと何なの!?
「はぁ……付き合ってません」
「ほんとに?学園中で噂になってるんだけど」
「噂を信じるのは馬鹿でしょ(小声)」
「ちょっとアンタ、何処行くのよ」
「弁当食べに行きます。弁当は食べていいですよね」
質問し足りない感じの女生徒を無視して、教室のドアを開けて屋上に行こうt……
「ロゼッタさん、一緒に食べません?」
さっきの質問に出て来た人物、リンクさんがドアにもたれて手を振ってきました。
教室内はおろか、廊下にいる生徒も近くの教室の生徒も黄色い声をあげています。美青年恐るべし。
「あー……、はい……」
「じゃあ行きましょうか」
私はリンクさんと一緒に屋上でお弁当を食べることになってしまいました(自分で了承したのに嫌そう)。
✧ ✧ ✧
風が心地よい屋上。
いつもの風景なのに、いつもとはまるで違う。きっと隣にこの人がいるからでしょう。
肩までの金髪を後ろで束ねて、ハイリア人特有のエルフのような耳。そして何より、端正な顔立ちと美しい碧の瞳……。
私にとっては子供のような子が、私に積極的に話し掛けてくれるのは、嬉しいです。魔女であるが故、自分のことを隠していますので。
「風が気持ちいいですね」
「ええ、この時期は校庭のもみじも眺めることが出来ますし」
屋上の良いところを紹介してしまった……。これもこの子の影響なのでしょうか。
すると、リンクさんがこちらを向き、碧の瞳を私に合わせ、くふりと柔らかく微笑みました。
その瞬間。
私の心臓が、トクンと高鳴りました。
それからは、心臓が煩いくらいに暴走を始め、体の体温が上がってきました。
ーーこれは……恋……?
私は人生で初めて、この青年によって、恋に堕ちたのです。
お題『秋色』
題:解けた靴紐、結ばれた恋
「ど、どうでしょうか……」
「あらぁ、似合ってるじゃない!ねえ、二人とも」
「はい、すごく似合ってます!」
「やっぱ美人って何でも着こなしちゃうんですね……羨ましい」
今日、私含めた四人はトーキョー巡りをするの!
といっても、ロゼッタ達は有名人だから、多少の変装はするわよね……(多少というよりは服装変えるくらいで、三人はバレても問題ないそう)。
今日のロゼッタの服装は紺のスニーカーにこれまた紺のジーパン、黒い長袖服に青の上着、そしてまたまた紺の帽子。
「紺色系なのね」
「はい、私には一番紺が合うと思ったので……」
さすが。自分の似合う色をよく知ってる。ちなみに私は黒系で揃えてるわ。黒のキャビネットに黒のロングコート、黒いタイツに黒のパンプス。
結構似合ってると思うんだけど……。あ、このコーデはオデッセイであるわよ。
「それじゃ、トーキョー巡り、始めますかー」
「そうね」
「おー!」
「元気ですね……」
リンクの掛け声で出発。元気な私達とは裏腹に、ロゼッタはげんなりしている。そんなにあの服装が嫌なのかしら。
♡ ♡ ♡
色々なところを巡って、旅館への道についている時。ふと、ロゼッタのスニーカーの靴紐が解けていることに気が付いたの。
「ロ……」
「ロゼッタさん、靴紐が解けていますよ」
教えてあげようと思って言葉を発した瞬間、リンクが先に答えてしまったの。ちょっとムッとしちゃったわ。
「え?…あら本当。結び直さなくては」
「俺がやります」
おお。今リンクに片思い中のロゼッタにいきなりそれはいけるのか?大丈夫?
「ありがとうございます……」
「いえいえこれくらい、どうってことないです」
そう言うとリンクは、ロゼッタに優しく微笑んだの!王子様か神が降臨したのかと思ったわ。
「っ……!」
ほらほら、ロゼッタの顔がどんどん紅くなってきたじゃない。それくらいの破壊力よ。ロゼッタみたいな恋愛未経験者が喰らったら、たまったもんじゃないわ。
「え、どうしたんですか、ロゼッタさん」
「い、いえ、これくらい、どうってことないです……」
「それ俺がさっき言ったセリフですね」
「!……」
あーあーあーあー、もう限界よね、ロゼッタは耐えられないわ。私が止めさせないと。
「靴紐は結べたみたいだし、早く行きましょう。待たせてはいけませんわ」
そう促してリンクを前に出し、私はロゼッタの隣に並んだの。それでね。
「どうやらむすばれたみたいね、恋」
「っ!ちょっと、ピーチさん……!」
「ふふっ」
ロゼッタとリンクの恋が無事結ばれたことを、私はロゼッタに小声で伝え、心の中で密かに祝っているのでした。
お題『靴紐』