題:魔女狩り
「魔女ロゼッタに裁きを!」
「「「魔女ロゼッタに裁きを!」」」
ーーああ、うるさい。
私は、そう思った。
✧ ✧ ✧
私の暮らしている国で、『魔女狩り』が始まった。
多くの人が犠牲になった。私の唯一の友達のピーチも、魔女なんかでは無いのに殺された。
全てはあの賢者ーーケエスのせいだ。あいつは賢者の中でも最高クラスに強い。
青髪の者は神の子として賢者になることを義務付けられ、人々を正しい道へと導く。
だがあいつはどうだ。
人々のためと言い、国中の娘を皆殺しにし、また殺す。あいつは神の子なんかじゃない。
ただ殺戮を繰り返すだけの、薄っぺらい笑みを張り付けた魔神の子だ。
当然、私も殺される。
今ここであいつを殺してやってもいい。弱い魔法から使って、散々苦しめさせてから原形が分からなくなるくらい魔法を叩き込む。私は本当の魔女だから。
でもさ、あいつを殺したところで、ピーチは戻ってこないんだよ。そう、戻ってこないんだよ。
✧ ✧ ✧
ピーチとは、文通をしていた。
いつも返事を貰っていたし、していた。既読がついた、つけた。
でも、そんな手紙のやりとりも、呆気なく終わる。
私は、既読のつかない手紙を、ピーチが死んで尚、書き続けた。きっと、その事実を受け入れられなかったのね。
人の寿命は魔女よりもずっと短い。人にとっての百年は、魔女にとっての一年程度。それくらい、魔女の寿命は人と掛け離れている。
あいつを殺したいところだけど、死ねばピーチと同じ場所に行けるのよね。なら……。
ずっと既読のつかないメッセージも、あっちに行けばつく。また、文通ができる。返事が貰える。
✧ ✧ ✧
「……待っててね」
満点の星空に向かって囁き、私は心臓を貫かれた。
お題『既読のつかないメッセージ』
9/21/2025, 9:52:43 AM