題:涙
ーー『感傷旅行』。それは、過去の思い出の場所を訪れたり、感情を整理するために訪れたりすること。
今私は、その感傷旅行というものをしている。
場所はただ一つ。
星見のテラス。
そこが、私の思い出の場所。そこには、たくさんの思い出が詰まっている。
パパとの思い出、弟との思い出、ママとの思い出ーー。
私にとってはほんの一瞬の出来事が、今でも鮮明に思い出せる。それほどに大切な思い出。
小高い丘を上りきり、大きな木に黄色い花が咲いた綺麗な場所へと出る。
木の根元まで行き、地面に膝をつける。
「……ただいま、ママ」
百年。たった百年経ってから来ただけなのに、ここに来るといつも百年が途方もなく長い時間に思える。
木の根元に、ピンクの薔薇を供えた。
お題『センチメンタル・ジャーニー』
題:白の未来
大好きなママが死んでから、私の人生は変わってしまった。
何も感じなくなった。笑わなくなった。楽しいとも、つまらないとも思わなくなった。
ただ、全てがどうでもいい。
まるで心にぽっかり穴が開いてしまったかのように。
……あの子達に出会うまでは。
あの子達が、私の人生を幸せなものに変えてくれた。
幸せだと感じるようになった。笑うようになった。快楽も、退屈も、感じるようになった。
……人の温かさも、悲しみも、運命も。
まるで心と未来の空白が埋まったかのように。
私はマリオさん達と出会って、マリオファミリーとして迎えられ、リンクさん達とも出会った。
あのチコのことは、決して忘れないわ。
だって、心と未来の空白を埋めてくれたんですものーー。
皆さんお久しぶりです、彗星です。
実は来年の春の4月24日(金)に、【ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー】が全国ロードショーで公開されるみたいです!(拍手)
それに、Switch(2ではないです)でスーパーマリオギャラクシーとスーパーマリオギャラクシー2が1本のソフトになって今年の10月2日に発売決定!
更に!作中に出てくる【ロゼッタの絵本】がで追加ストーリーされる他、【ロゼッタの絵本】が同じく今年の10月2日に書籍化!これはたまらない!ちなみに書籍化された絵本では追加ストーリーの所は無いらしいです。これは実際にプレイして見てくれと。
もしロゼッタファン、またはスーパーマリオギャラクシー持ってて絵本読んだことあるよって人はソフトを買ってみて、ぜひ追加ストーリーを読んでみてください!
【ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー】の紹介映像はもう出てますのでそちらもぜひご覧ください!(タイトルは英語なので、英語だと【THE SUPER MARIO GALAXY MOVIE】です)
お題『空白』
題:悲しげな空
台風が過ぎ去った後は空が綺麗に見えるらしい。それは台風が大気中の塵や砂を持っていくからだそうな。
午前中に台風が去ったため、外に出たら案の定、空はこの上ないほどの快晴でした。
他にも空を見上げている人がいて、あちこちから声が上がっています。
「ピーチさん!」
「あ、リンク!ど、どうしたのかしら」
「足の調子はどうですか?」
「ええ、だいぶ良くなったわ。あ、ありがとう」
リンクさんとピーチさんが話しているようです。ピーチさんは四日前、足を捻挫してしまったのです。人一倍優しい彼は、皆さんを大切に思っているのです。
……何でしょうか、このモヤッとしたような、ピーチさんに対して軽い苛立ちを覚える感じは。
これは……“嫉妬”?
リンクさんと楽しそうに話すピーチさんに羨ましいと感じています。こんなことは、今まで初めてのことです。
私はリンクさんのことが大好きなのに……。
台風が過ぎ去った後の空は、少し悲しげに見えました。
お題『台風が過ぎ去って』
題:髪を靡かせて
下校時刻の過ぎた学園は、校庭で遊んでいる人と、まだ仕事がある教師だけ。寮に向かう途中に机の中に筆箱を忘れたことに気が付いた俺は、筆箱を取りに戻った。
俺のクラスーー1ーSの教室のドアを開ける。と。
誰もいないばすの教室には、窓の枠に頬杖をついて、腰までの金髪を風に靡かせて校庭を眺める女生徒が居た。
ゼルダさん。
その人の名前を、俺は知っていた。校内では有名人だ。学年テスト1位、成績はもちろんオール5……。
そんな“完璧な”人。
その人の後ろ姿を眺めながらどんな人か思い出していると、自分は筆箱を取りに来たのだということを思い出した。
(あれ?)
机の中を漁っていると、筆箱が無いことに気付いた。
(授業出来ないじゃん……)
と思っていると……。
「貴方が探しているのはこれですか?」
突然声が聞こえ、声がした方に目をやると、ゼルダさんが左手の筆箱を振っていた。それは間違いなく俺の筆箱だった。
……来た時は無かった気がするが……、見えなかっただけだろうか。
「あ、ああ、ありがとうございます」
礼を述べながら筆箱を受け取る。校庭を眺めたままの横顔は大変美しく、その翡翠の瞳は暮れゆく日の光を映して、宝石よりも輝いていた。
綺麗な人だと聞いていたが、まさかこれほどまでに美しいとは。
「別に。ただ、誰も来ないと思っていたので少し驚きました」
「確かに。……いつもこの時間帯に?」
「ええ。誰にも邪魔されずに思いに浸れますし、こうして生徒が遊ぶ姿を見るのも飽きませんし」
「……なんかすみません」
「いいえ、私はなんだか友達が出来たようで嬉しいです」
そう言ってこちらを向いた彼女の顔は、横顔に負けず劣らず。まるで神話の時代に出てくる姫のような顔をしている。
これ以上見ていると吸い込まれてしまいそうだ。それに、ミファーを待たせているから、そろそろ行かないと。
「では、俺はここら辺で」
「分かりました」
短く答えた彼女は、また校庭へと視線を戻す。
……以前見かけた、神話の時代の姫が愛したとされる、姫しずかのような顔をしていた。
このお話は、リンク達が厄災を討ってから何千、何万も経った世界です。舞台はハテノ地方にある学校をイメージ(このお話の学園はもっと大きいです)。
クラスは成績の良さで決まります。上から順に、S、A、B、Cとあります。リンクは学年テストは2位だけど成績はオール5です。
これから二人はどうなるのか……。それは皆さんのご想像におまかせします。
お題『誰もいない教室』
題:信号の先の一瞬
ピーチさんとデイジーさんと都会に遊びに来た私、ロゼッタ。
まず何をするか話し合うべく(何も決めてなかった)、カフェに行くことにしました。
そこでピーチさんはカプチーノを、デイジーさんはカフェラテを、そして私は、フラペチーノを頼みました。
少しして運ばれてきた飲み物を飲みながら、話し合いました。
行き先が決まりカフェを出て目的地に向かっていると、信号につかまってしまいました。
「今日はツイてないわね~」
「そうよね、全部つかまってる」
「……」
ピーチさんとデイジーさんが不満を漏らしている中、私は信号の先のある人をじっと見ていました。あっ、決して変態が見るような目ではありませんのでご安心を。
その人は、なんだかたくさんの女性に囲まれている(絡まれている?)ようでした。
その人は嫌そうな顔というか、苦笑いというか……。とにかく、困っているようでした。
だから信号が青に変わった途端、私はその人に素早く近づき、前に出ました。
「!?」
「ちょっ、ちょっと、何なのアンタ!」
「何なのアンタはこっちのセリフ」
私は女性達と真っ向から向き合いました。(こういう時に無表情は強いです)
急に走り出した私に驚いたピーチさん達も、走って追いついてきました。
「ロゼッタ貴方、何やってるの!?」
「何って、この人が困っていたから」
私のすぐ横に来たピーチさんが小声で問うてきました。私はチラッと後ろの方を見て簡潔に言いました。
「……なるほどね」
「で、貴方達は何をしていたのですか」
「何って、その方とお茶しようとしてたのよ!それをアンタが邪魔するから!」
「ふーん、だとしたら、お茶の誘い方が馬鹿ですね。もっといいお茶の誘い方ってものがあるでしょうが」
「なっ……!」
話していて分かったのは、この女性達は学生だということ。学生時代から人気者なんて、羨ましい。
「この方は私の彼氏です。か・れ・し」
「っ………!!」
言い終えた途端、学生達の顔が驚愕に変わりました。その後、あっさりと学生達は去っていきました。
「すみません、勝手に彼氏と言ってしまいまして。ただ、これしか手立てが無かったので」
「え、いえいえ、こちらこそすみません、助けていただいて」
「では、こちらは用があります故、おいとまさせていただきます」
そう言って立ち去った私。ピーチさん達も傍観しているだけでしたが、慌ててついてきました。
助けた方の顔が一瞬紅く見えたのは気のせいでしょうか。
突然ですが、皆さんに問題です。ロゼッタが助けた相手は誰でしょう?
ちなみに学生達は、彼の名を出すのは彼に見合う者だけだと思っているので言っていません。
ロゼッタ「ぜひやってみてください。あ、心の中で答えを言っても良いです」
お題『信号』