彗星

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題:恋は秋とともに

 紅葉が美しい季節。
 私は窓の外を見て、心が……
「アンタってリンク様と付き合ってるってほんと?」
 ……心が落ち着きそうだったところをぶち壊されました。
 私が生徒会長になってからいっつもこう。私が副会長でリンクさんが会長で仕事の関係でよく一緒にいるだけで!ほんっと何なの!?
「はぁ……付き合ってません」
「ほんとに?学園中で噂になってるんだけど」
「噂を信じるのは馬鹿でしょ(小声)」
「ちょっとアンタ、何処行くのよ」
「弁当食べに行きます。弁当は食べていいですよね」
 質問し足りない感じの女生徒を無視して、教室のドアを開けて屋上に行こうt……
「ロゼッタさん、一緒に食べません?」
 さっきの質問に出て来た人物、リンクさんがドアにもたれて手を振ってきました。
 教室内はおろか、廊下にいる生徒も近くの教室の生徒も黄色い声をあげています。美青年恐るべし。
「あー……、はい……」
「じゃあ行きましょうか」
 私はリンクさんと一緒に屋上でお弁当を食べることになってしまいました(自分で了承したのに嫌そう)。

✧ ✧ ✧

 風が心地よい屋上。
 いつもの風景なのに、いつもとはまるで違う。きっと隣にこの人がいるからでしょう。
 肩までの金髪を後ろで束ねて、ハイリア人特有のエルフのような耳。そして何より、端正な顔立ちと美しい碧の瞳……。
 私にとっては子供のような子が、私に積極的に話し掛けてくれるのは、嬉しいです。魔女であるが故、自分のことを隠していますので。
「風が気持ちいいですね」
「ええ、この時期は校庭のもみじも眺めることが出来ますし」
 屋上の良いところを紹介してしまった……。これもこの子の影響なのでしょうか。
 すると、リンクさんがこちらを向き、碧の瞳を私に合わせ、くふりと柔らかく微笑みました。
 その瞬間。
 私の心臓が、トクンと高鳴りました。
 それからは、心臓が煩いくらいに暴走を始め、体の体温が上がってきました。
 ーーこれは……恋……?
 私は人生で初めて、この青年によって、恋に堕ちたのです。

お題『秋色』

9/20/2025, 7:38:34 AM