題:碧色の記憶を地図に記して
懐かしいなぁ。皆で初めて外国に行ったのは。
最初に行ったのは程良く都会の『パリ』だったっけ。その次に、とても賑やかだった『トーキョー』。ビルがたくさん建っていた『ニューヨーク』。海が綺麗だった『シドニー』。静かな雰囲気と時計塔が素敵だった『ロンドン』。車がたくさん行き交う『ベルリン』。チューリップの咲き誇る庭が美しい『アムステルダム』。水上マーケットという珍しい市場があった『バンコク』。夜景とマーライオンが映える『シンガポール』。ギリシャ文明で造られたパルテノン神殿があった『アテネ』。大きな観覧車が印象的な『ロサンゼルス』。ライトアップされた吊り橋が目に焼き付いている『バンクーバー』。あちらの世界では見たことのなかったコロシアムがあった『ローマ』。だいぶ古い銅像が広場の中央に建っていた『マドリード』。
不安いっぱいだった私の手を握ってくれたピーチさんには、お世話になったと思う。こうして記憶を地図に記していくのも悪くない。
また皆で行けたらどんなに良いだろう。
次行くなら、ちゃんと計画立てていかないといけませんね。
お題『記憶の地図』
題:お揃いマグカップ
ほうき星の天文台の台所では、新しく食器棚に入ったマグカップをせっせと磨くロゼッタの姿があった。そのマグカップは、ロゼッタにとって最高級品と言っても過言ではない。その理由はただ一つ。
紫の彼とお揃いのマグカップだから。
それは、梅雨が始まったばかりの頃。テニスの終了後に傘を忘れてしまったロゼッタの為に、自分の傘に入れてくれた紫の彼ーーワルイージに、せめてものお礼にと、何かを買ってあげることにしたのだ。そこでワルイージは、「なら、マグカップを買ってくれねえか。つい昨日落として割っちまったんだ」と言った。
二人はココナッツモールの雑貨店に行き、ワルイージはマグカップを見つめながら、お揃いの物を買わないかと提案した。
もちろん最初、私も買うなんてとロゼッタは断った。でもワルイージは意地悪な性格故に、「何か買ってくれんだろ?」と言う。それなら仕方がないと思い、お揃いの物を選び始めた。
しばらく悩んだ末、ワルイージは青い薔薇のデザインのマグカップを選んだ。
「あんたのイメージカラーの青を選んだんだ」と、少し照れながら言っていた。
その様子が可愛らしくて、今も忘れられなくて、他のマグカップよりも大切に扱っているのだ。
マグカップを磨く際に見える彼女の目には、愛しの彼が映っていた。
お題『マグカップ』
題:決して変わることのない恋
ーーもしも君が僕と同じ身分だったとしても、僕は君を愛しただろうか。
ピーチ城のテラスでの午後のティータイム。マリオは甘く華やかな香りのフレーバーティーを口に含みながら考えていた。
マリオはただのブルックリンの住人で、ピーチはキノコ王国のプリンセス。そんな一般人のマリオを彼女は愛したし、高貴な彼女を彼も愛した。
でも、もし、ピーチ姫も僕と同じ一般人だったら……?
そんな妄想がさっきから絶えない。別にどっちでも良いとも思う。けれど。
ーー何か気になる。
もしも君が僕と同じ身分だったとしても、君は僕を愛した……?
失礼な奴だと自分でも思う。でも君が僕と同じ身分だったとしても、決して変わることのない恋になるのかな。
そんな事を考えながらピーチの顔を見ていたマリオにピーチが気付いた。
「あら、どうしたの?マリオ」
「いや、君がもし僕と同じ身分でも、君は僕を愛してくれるのかなと思って」
「……?当たり前じゃない。もしも私がただの一般人だったとしても、必ず貴方を愛していたわ。だって、今でこんなにも貴方を愛しているんですもの」
ピーチはさも当然といった様に言った。
マリオはその様子につい吹き出してしまった。
「何よ」
「いいや。君らしいなと思って。愛してるよ、ピーチ姫」
「私も愛しているわ」
今日のティータイムは、いつもより幸せだったそうな。
お題『もしも君が』
題:ギャラクシー
星、故郷の蒼い星、銀河。この全てをいつも見てきて。
新しい家族、新しい友達の大切さや儚さを知った。
あの時、全てが変わった。もしあの時、チコに会わなかったら、私は一生孤独だっただろう。
この世界は、私の思っていた以上に広く、美しくあった。
上も下も全方位星に包まれた天文台に毎日居れば、奇跡や運命というものも分かってくる気がする。
本を読み聞かせ、星を眺め、亡くなった母を想うーー。
そんな毎日は、いつも輝きに満ちていた。
もう誰も悲しむことも、孤独に思うこともない。
「ママーー!」
「はーい!」
今日も私は、あの子達のもとへ駆けていく。
そしてあの子達に出逢わせてくれたことを、神に祈る。
ーーこの広いギャラクシー(銀河)であの子達に出逢わせてくれてありがとうございます。今の私はとても幸せです。
ギャラクシーという世界の中で、私は幸せに包まれる。
皆さんこんばんは、あるいはこんにちは、彗星です。
なんと、「もっと読みたい」と言われた数が、100を超えました!ありがとうございます!
今日はその記念にこの作品を書かせていただきました。
このアプリでの執筆を始めてから2週間と5日の新人ですが、これからもよろしくお願いいたします。
(ちなみに今日のお題は『君だけのメロディ』でした。)
題:「大好き」で満足する私じゃないの
ママの口癖は「ロゼッタ、大好きよ」だ。
嬉しいんだけど、それを不満に思う自分もいた。そんな事は、前は思わなかった。
……何かが足りない、その何かを足して。
そう心の中でママに投げかけるけれど、当然ママは気づかない。
その「何か」を見つけるために、私はママの様子を観察してみた。
それで気付いた、その何か。それは、
“愛してる”という言葉。
ママはいつもパパに、「貴方を愛してるわ」と言う。その”愛してる“を、私にも言ってほしい。
ーーもう「大好き」で満足する私じゃない。
そう思った。
次の日の朝、私の額にキスをしてから、ママはいつもの言葉を放った。
「ロゼッタ、大好きよ」
ああ、まただ。また、“大好き”という言葉に不満を持っている。
「ねぇママ」
私は言うことを決めた。
「何かしら?ロゼッタ」
ママは優しく問いかける。
「もう“大好き”で満足する私じゃないの。だからーー」
ーー”愛してる“にしてくれない?
「ーー”愛してる“にしてくれない?」
すこし間を開けてから、ずっと言いたかったことを言った。言えた。
ママは目を瞬かせた後、ニコリと笑った。
「分かったわ。……愛してるわ、ロゼッタ」
お題『I love』