題:決して変わることのない恋
ーーもしも君が僕と同じ身分だったとしても、僕は君を愛しただろうか。
ピーチ城のテラスでの午後のティータイム。マリオは甘く華やかな香りのフレーバーティーを口に含みながら考えていた。
マリオはただのブルックリンの住人で、ピーチはキノコ王国のプリンセス。そんな一般人のマリオを彼女は愛したし、高貴な彼女を彼も愛した。
でも、もし、ピーチ姫も僕と同じ一般人だったら……?
そんな妄想がさっきから絶えない。別にどっちでも良いとも思う。けれど。
ーー何か気になる。
もしも君が僕と同じ身分だったとしても、君は僕を愛した……?
失礼な奴だと自分でも思う。でも君が僕と同じ身分だったとしても、決して変わることのない恋になるのかな。
そんな事を考えながらピーチの顔を見ていたマリオにピーチが気付いた。
「あら、どうしたの?マリオ」
「いや、君がもし僕と同じ身分でも、君は僕を愛してくれるのかなと思って」
「……?当たり前じゃない。もしも私がただの一般人だったとしても、必ず貴方を愛していたわ。だって、今でこんなにも貴方を愛しているんですもの」
ピーチはさも当然といった様に言った。
マリオはその様子につい吹き出してしまった。
「何よ」
「いいや。君らしいなと思って。愛してるよ、ピーチ姫」
「私も愛しているわ」
今日のティータイムは、いつもより幸せだったそうな。
お題『もしも君が』
題:ギャラクシー
星、故郷の蒼い星、銀河。この全てをいつも見てきて。
新しい家族、新しい友達の大切さや儚さを知った。
あの時、全てが変わった。もしあの時、チコに会わなかったら、私は一生孤独だっただろう。
この世界は、私の思っていた以上に広く、美しくあった。
上も下も全方位星に包まれた天文台に毎日居れば、奇跡や運命というものも分かってくる気がする。
本を読み聞かせ、星を眺め、亡くなった母を想うーー。
そんな毎日は、いつも輝きに満ちていた。
もう誰も悲しむことも、孤独に思うこともない。
「ママーー!」
「はーい!」
今日も私は、あの子達のもとへ駆けていく。
そしてあの子達に出逢わせてくれたことを、神に祈る。
ーーこの広いギャラクシー(銀河)であの子達に出逢わせてくれてありがとうございます。今の私はとても幸せです。
ギャラクシーという世界の中で、私は幸せに包まれる。
皆さんこんばんは、あるいはこんにちは、彗星です。
なんと、「もっと読みたい」と言われた数が、100を超えました!ありがとうございます!
今日はその記念にこの作品を書かせていただきました。
このアプリでの執筆を始めてから2週間と5日の新人ですが、これからもよろしくお願いいたします。
(ちなみに今日のお題は『君だけのメロディ』でした。)
題:「大好き」で満足する私じゃないの
ママの口癖は「ロゼッタ、大好きよ」だ。
嬉しいんだけど、それを不満に思う自分もいた。そんな事は、前は思わなかった。
……何かが足りない、その何かを足して。
そう心の中でママに投げかけるけれど、当然ママは気づかない。
その「何か」を見つけるために、私はママの様子を観察してみた。
それで気付いた、その何か。それは、
“愛してる”という言葉。
ママはいつもパパに、「貴方を愛してるわ」と言う。その”愛してる“を、私にも言ってほしい。
ーーもう「大好き」で満足する私じゃない。
そう思った。
次の日の朝、私の額にキスをしてから、ママはいつもの言葉を放った。
「ロゼッタ、大好きよ」
ああ、まただ。また、“大好き”という言葉に不満を持っている。
「ねぇママ」
私は言うことを決めた。
「何かしら?ロゼッタ」
ママは優しく問いかける。
「もう“大好き”で満足する私じゃないの。だからーー」
ーー”愛してる“にしてくれない?
「ーー”愛してる“にしてくれない?」
すこし間を開けてから、ずっと言いたかったことを言った。言えた。
ママは目を瞬かせた後、ニコリと笑った。
「分かったわ。……愛してるわ、ロゼッタ」
お題『I love』
題:ただ一言、美しい
貴方は美しい。星を観る者として一生懸命で、チコ達に注ぐ愛情が。
貴方は美しい。優しく儚げで、ガラスのように繊細で。
貴方は美しい。いつもはクールだけど、褒められた時の赤らめたその顔が。
貴方は美しい。無限の宇宙にも負けず劣らずのその顔が。
貴方は美しい。全てを魅了するその瞳が。
貴方は美しい。ミステリアスなその横顔が。
貴方は美しい。底辺の俺には決して届かぬその存在が。
貴方は全てが美しいーー。
そんな想いを言葉にして、ワルイージーー彼にしては珍しいーー赤い薔薇を、ロゼッタに差し出した。
これからは何のお題だったか書きます!
赤い薔薇はどんな花言葉か当ててみてください!
お題『美しい』
題:いつかの姫に想いを馳せて
キノコ王国のある華族学校。
その学校の一生徒であるロゼッタは、現王女の娘だった。
華族学校とは、元々高貴な人達が通う学校だが、ロゼッタはその生徒の中で最も位が高かった。
もちろん、友達も多く、成績もトップクラスに優秀。
そして彼女は、空想が大好きだった。
「十年後の私はきっと、純白の美しいウェディングドレスを着て、美しい殿方と結婚しているんだわ」
今日もロゼッタは頬に手を当て、空想に浸りながらニヤついている。
と、ロゼッタの友達が声をかけた。
「ロゼッタ、ちょっとこっち来て!」
「あ、はーい!」
気付いたロゼッタは、友達の後を追う。
友達がふと足を止め振り返ると、顔の前でパンッと手を合わせて懇願した。
「お願い!今年の劇でやる『星を観る者』の天文台の主兼王女役をしてほしいの!」
ロゼッタ達中等部は、今年の文化祭で劇をする事になったのだ。
そしてロゼッタは中等部一年にもかかわらず、中等部三年の人に、是非天文台の主兼王女役のホウア役をしてほしいのだとか。
「え、ホウアって……劇に出てくるあの長身の!?」
「そう!だってロゼッタ、長身だし綺麗だし、頼んできた人、別名ほうき星のホウキギと、もう一つのホウキギの呼び方のコキアを合わせた名前にしたって言ってたし。それくらい劇に熱が入ってる
のよ!だからお願い!これはロゼッタにしか出来ない役なの!」
「……私が、ホウア姫役……」
ロゼッタはこの状況を中々理解出来なかった。自分が劇のヒロイン役なんて……。
ロゼッタ数秒悩んだ末、こう言った。
「分かったわ。その役、引き受けるわ」
「わぁ……!ありがとう、ロゼッタ!恩に着るわ!」
抱きついてきた友人を見ながら、ロゼッタは練習を頑張ろうと決意した。
〜文化祭当日〜
「最後は、中等部一年による劇です!」
司会の声が広い会場に響き渡る。会場から拍手がわく。
ロゼッタは緊張しながらも、舞台に立った。
ーー私は星を観る者。此処に来たということは、何かあるのでしょう?
ーーああ。実は、攫われてしまった姫を助けるために力を貸してほしいんだ。
ーー分かりました。では、このチコを貸しましょう。
ーーありがとう。助かるよ。貴方の名前は?
ーーホウア。このほうき星の天文台から、宇宙を見守っています。……ご武運を。
ーーうん。事が片付いたら、また来るよ。
ーーええ、その時を心待ちにしていますよーー
暫くして劇は終わった。会場からは割れんばかりの拍手が鳴り響く。
ロゼッタは微かな達成感を感じていた。
その後、ロゼッタはその劇のヒロインと自分を重ねて空想をする事が多くなった。
夢みる少女のようにーー。