ゆめ。

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10/19/2025, 1:42:05 PM

#⚡ #歌声

 子の刻。日を跨ぎ、時が裏返った真夜中。ほのかに浮上する意識の中、薄らと寒さを感じる我が身を抱きしめ、眠気まなこを擦る。寝る前に置いた羽織、どこだっけ。ふわふわとした思考、少し重たい身体。秋の涼しさを帯びた床によって心地よかった体温はじわじわと奪われていく。

「あ、あった」

隣のベットの横に置かれた椅子の上、見つけた己の羽織は月の光を静かに浴びていた。昼間、炭治郎たちが来ていた時に脱いだままにしてしまったのだろう薄い桃色のそれが、何だか特別になったような気がして、ついニヤけてしまう。月明かりに照らされた程度で特別になりはしないのだけれど。羽織を広げ、袖を通すと求めていた温もりを僅かに感じた。

「………あ。この歌、」

まだ夜は明けないだろうから二度寝をしようかと踏み出した時、聞き慣れた歌声が耳に入った。包み込むような優しい歌声はどこか儚げで、迂闊に触れると壊してしまいそうである。

今日は傍に行かない方がいいかな。

私は病室の窓に足をかけ、引き上げた体を外へと連れ出した。素足にひんやりと感じる地面。こうして目を覚ますのは一度や二度のことではなかった。幾度も意識を浮上させ、眠気を誘うその声。起こしたいのか眠らせたいのかどっちなのよ全く。悪態をつきながらも、起こされるのが実はそんなに嫌いじゃないことは黙っておくとして。私も集中せねば。

手足に伸ばした意識を閉じ、耳や口だけに集中する。視界は不要だと言わんばかりに目を閉じた。彼の歌声にふわりと私の声を乗せて。遮らず、邪魔をせず。ただそっと寄り添う。重なる音が心地よくてもっと歌いたくなるけれど。今夜の主役は彼なのだ。私はただそっと、彼に寄り添うだけ。

そうして気付かぬ間に歌が終わり、夜が明けているのがお決まりだ。閉じていた手足への意識を戻し、目を開けるといつも彼は。困ったような、申し訳なさそうな、顔をしてでもどこか満足気に笑ってくれる。


【君が紡ぐ夜明けの歌に、寄り添いたい私】

10/16/2025, 1:16:54 PM

【お題、消えた星図】

 まだ外を無邪気に駆け回っていた頃。曇りなき眼で星空を見上げ、その姿に映していた。無数の星、どこまでも広がる空。規則や限界なんてものはなく、自分の見たこと感じたことが全てで、それが正しかった世界。自分は何でもできる、何にでもなれると思っていた、あの頃。今やこの瞳に映る星々は遠く霞んでいる。

『弥月(みつき)ちゃん』

落ち着きを含んだ声に意識が輪郭をもち始める。名を呼びれたので見上げていた視線を月へと向けた。瞳に映ったのは夜風に吹かれ、さらりと揺れる金色の髪。淡い月の光を浴びて煌々と輝いているそれはいつ見ても綺麗だ。蜂蜜を溶かしたような琥珀色の瞳にとても映える。

9/28/2025, 10:44:34 PM

#⚡#瞳愛してる系主人公【お題、永遠なんて、ないけれど】

 煌々と輝く月。背にはどこまでも広がる暗闇がある。辺りは静寂が漂う。鬼ならば良い夜、とでも言うのだろうか。人には理解し難い感覚である。上げていた視線を落とし、目を伏せって考える。鬼殺隊のこと、自分のこと。鬼となった者は元々人だったもので。それを殺す私たちは人殺しなのだろうか?否、それでも殺戮を繰り返す鬼たちを許すことはできない。故に私たちは鬼殺隊で在るのだ。

──だけれど。

時折ふと思うことがある。非公認組織である私たちの活動は、ただのエゴなのではないのかと。悪鬼滅殺という正義を掲げ、善人ぶっているだけで、本当は世の中に存在する人殺しと何ら変わらないのではないかと。そう思ってしまう。

無論、散っていった仲間の命を踏みつけにするつもりはない。彼らの持つ志は、紛うことなき正義だ。大切な誰かを失った悲しみも、人を食らう鬼に対する怒りも、刀を取ることへの決意も、鍛錬のために捧げた時間も、全てそこに帰結する。



( 📍 )

9/18/2025, 10:33:39 PM

#⚡  【お題、もしも世界が終わるなら】

「ねぇ、もしも世界が終わるなら何する?」

 任務終わり。黄昏の光に照らされた団子屋で、団子を頬張る。一際光を放つ彼──我妻善逸に問うた。驚くか怖がるか。善逸はどっちかだろうなぁ、と予測を立てる。手にした団子を口にしながら、ちらりと隣の彼を見やった。

ぱちくり、ぱちぱち。

否、善逸はどちらでもなかった。口を開けて呆然としていた。ぽかーん、という擬音語が出ているじゃないかと思うくらいに。

9/4/2025, 10:08:04 PM

( 📍 ) 【お題、言い出せなかった「」】

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