語り部シルヴァ

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7/18/2025, 11:03:26 AM

『special day』

音楽を流しながら衣をつけた鶏肉を油に落とす。
揚げる音が食欲をそそる。
あぁ...お腹がすいてきた...

5つ、10つとどんどん揚げていく。
今食べたら美味しい...絶対に美味しい。
唐揚げに伸ばす手は止めて作業する手を止めずに揚げる。

今日は特別な日。
そんな日は盛大に好きなものを作って好きなだけ食べる。
カロリーだとか栄養バランスだとか明日のこととか気にしない。

明日は休みだからいっぱい食べていっぱい寝るんだ。
そして何より今日は...給料日だ。

全部揚げ終えてご飯とお茶を用意する。
「よし、じゃあいただきます!」

これが私の特別な日の過ごし方。

語り部シルヴァ

7/17/2025, 10:39:06 AM

『揺れる木陰』

大木に背を預けてズルズルと座り込む。
近くの駄菓子屋で買ったアイスを食べる。
既に少し溶け始めて慌てて口に運ぶ。

ひんやりした口あたりにふぅとひと息漏れる。
なんもない田舎の景色。
所々に田んぼがあって、うるさい蝉時雨と太陽。
もう何度も見ては飽きている景色。

そんな景色を一望できるここは近くに駄菓子屋もあって
休憩するにはうってつけ。
駄菓子屋でアイスを買って、この大木で休む。
俺の夏のルーティン。
避暑地の大木はとても高く、
風を受けて綺麗な青い葉っぱを揺らす。

陰は踊り夏を楽しんでいるようだ。
俺も、同じ気持ちだ。

語り部シルヴァ

7/16/2025, 11:11:28 AM

『真昼の夢』

目を覚ますとやけに冷房の効いている教室だった。
移動教室だったのか教室内には誰一人とおらず、
俺は完全にサボり扱いだろう。
だが焦りも後悔も無かった。
別にこのままもう一度寝てやろうとまで思っている。

机が冷房によってひんやりとしている。
机に触れている部分が冷たくて心地よい。
冷たい...外の暑いはずの日差しが教室の冷たさによって
緩和されて暖かく感じる。
うとうとしてきた...このままもう一度...

目を瞑ると意識ごと体が引っ張られるような感覚に
意識は戻される。
目が覚めたのは見慣れたベッド、乾いた喉。
仮眠のはずが思い切り寝てしまったようだ。

エアコンも扇風機も自動運転が切れて外からの熱で
部屋が蒸し暑くなっていた。
「あっづ...」
懐かしいような記憶に無いような夢を見た気がする。
どんな夢かを思い出すよりも今は
重い体を動かして水分補給しなければと冷蔵庫へ向かった。

語り部シルヴァ

7/15/2025, 10:19:12 AM

『2人だけの。』

"今日は部活早めに終わりそう"
"それじゃあいつもの場所で待ってるね。"

部活が終わり待ち合わせ場所に向かう。
視聴覚室や家庭科室とか
普段授業あまり使わない教室が集まった第2棟。
そこの最上階の視聴覚室前は特に人が来ない。
簡単な秘密基地のようで集まるにはうってつけだ。

四階もあって階段を登るのはすごく大変だけど...
登りきった景色はすごく綺麗で夕焼けの下走る車や
夕日を反射するビルのガラスがキラキラしている。

息を整えてる間に見るには絶景だ。
こんな素敵な景色をふたりじめなんて贅沢な話だろう。
だけど...

「ごめん、待った?」
振り返るとさっきの僕と同じように息が上がった君がいた。
君とふたりじめできるなら悪くない。
僕と君と、2人だけの秘密の場所。

語り部シルヴァ

7/14/2025, 10:31:44 AM

『夏』

照りつける太陽に焼かれた
アスファルトの上を歩いて三十分ほど。
大人しく電車を使えば良かったと後悔している。
目的地まであと一駅のところを何を思ったか
歩けばいいと考え今に至る。
その一駅がかなり遠く地図アプリで確認してみると、
なんと歩いて50分ほどだった。

先に確認すればよかったと後悔しつつも
足を進めないとこの灼熱地獄から
抜け出せないから歩き続ける。
ここら辺はなぜか自販機が全く見当たらず、
ここまで飲み物の補充はできていない。
唯一所持していた駅を出る前に買った
ペットボトルのコーラを口に運ぶ。

...ぬるい。三十分も日に当てられたらぬるくなってしまうか。
ため息をついて地図アプリでルートを再確認する。
目的地まであと25分。

流れる汗がジリジリと太陽に焼かれる感じがした。

語り部シルヴァ

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