『ページをめくる』
最近話題の小説を買ってみた。
その文章はとても不思議で読むと
頭に想像するのが容易になる。
人の会話のシーンが、殺人を起こすシーンが、
物語の結末を決めるシーンが、簡単に想像できる。
頭の中で映像を流してるようだ。
ページが気になるところで区切れていた時の
ドキドキが今までにないくらい感じる。
そしてそれと同じくらいに続きが気になって
右から左に並ぶ文字を見て
ページをめくる手が止まらなくなる。
その手が止まったのは日がどっぷり沈んだときだった。
次をめくっても暗くて見えずに
当たりを見回した時にはその暗さに驚いた。
その手は部屋の明かりをつけるとすぐに動き出した。
体が物語の展開を欲していたんだ。
語り部シルヴァ
『夏の忘れ物を探しに』
暑い...もう9月に入ったにも関わらず気温は37度を超えている。
昔からこんなに暑いものだったかな...?
8月の終わりには涼しくなって9月に入る頃には涼しい...
みたいなイメージだったんだけどなあ...
昔の話だからで括られてしまえば
それまでだけどもっと涼しくあってもいいと思う。
早く秋が来て、涼しい風と気温の下のんびり散歩でもしたい。
暑さに負けてコンビニへ避難する。
涼みながら陳列された商品を眺めて
目に入ったアイスを掴み買う。
コンビニを出て屋根の下でアイスを食べる。
夏が忘れた暑さは別の方法で楽しもう。
ただ...やはり毎日は勘弁して欲しいな。
語り部シルヴァ
『8月31日、午後5時』
忘れられない夏休みだった。
思い返せば今年の夏休みはそう感じた。
テストが終わって部活だけのために学校に行って
部活が休みで予定が合えば君に会いに行った。
二人で食べたアイスとか
夏にピッタリなホラー映画を見たりとか
夏祭りにも行った。
沢山の思い出を君と作った。
そして夏が終わるのと一緒に君との物語も終わった。
君のことだ。復縁したいなんて言うことは絶対無いし
僕も言う勇気は持ち合わせてない。
僕たちの...いや僕の思い出は人からすれば
青春という二文字で纏めてしまうようなものかもしれない。
僕にとっちゃ二文字じゃ...言い表せれないけどね。
明日からまた学校が始まる。
君が隣のクラスで良かったと思う日が来てしまうとはね。
夏休み最後の夕陽が沈む。
それでもなお火照りが残る世界も明日には冷めてるといいな。
語り部シルヴァ
『ふたり』
ふたり、同じ日に生まれた。
ふたり、家が隣だった。
ふたり、家族のように仲が良かった。
ふたり、どんなときも一緒だった。
ふたり、大きくなっても一緒だった。
ふたり、時には大喧嘩をした。
ふたり、そのあと泣きながら仲直りもした。
ふたり、固く結ばれた。
ふたり、他人には無い絆があった。
ふたり、片方の気持ちがわからなくなった。
ふたり、それでも片方を信じた。
ふたり、心にもやがかかった。
ふたり、また喧嘩をした。
ふたり、見ているものが違った。
ふたり、ずっと迷っていた。
ふたり、どうすればいいかわからなかった。
ふたり、距離を置いた。
ふたり、それでも片方が頭に残った。
ふたり、分かり合うまで話し合った。
ふたり、またお互い泣きながら仲直りした。
ふたり、どんなときも一緒だった。
ふたり、これからも一緒だ。
語り部シルヴァ
『心の中の風景は』
学校の屋上から見る景色はとても鮮明に覚えている。
夕焼け空を視界いっぱいに堪能できて放課後は
こっそり鍵を開けてひとり空を見ていた。
ひとりだったけど、とても素敵な時間だった。
友達と呼べるような人はいなかったから仕方ない。
おそらく私の青春時代で一番綺麗だった景色だと思う。
今でもその記録は塗り替えられないほどだ。
今は...
空よりもパソコンの画面を見ることが増えたし、
夕焼けよりもブルースクリーンの方がよく見る。
ずっとしんどいし辛い。
けど...あの景色を思い出す度に
あと少しだけ頑張ろうって思える。
また...あの景色を見れたらなあ。
そんなことしてしまえば不法侵入罪で
うんたらかんたらと突っ込むのは野暮ってものだよ。
語り部シルヴァ