語り部シルヴァ

Open App
1/24/2026, 12:41:11 PM

『逆光』

私の国の王は常に明るい。
言動や国の動かし方、何もかもが自分たちの道を
照らし示してくれる。そんな存在。

ある日そんな王がひとりでのんびり散歩していた。
挨拶をしてみるとどこか違和感があった。
なよなよしいというか...どこか頼りない。
具合でも悪いんだろうか...心配です尋ねてみた。

王はしまったという表情をしたあと
すぐに諦めたのか口を開いた。

常にスピーチを考えてくれる存在がいる。
常に練習相手になってくれている。
自分が輝いているんじゃない。
輝かせてくれた挙句逆光で隠れている存在が私にはいるんだ。

そう言って王はそんな存在を思い出したのか、
いつもの明るい雰囲気に戻った。

眩しさに隠れた影が文字通り縁の下の力持ちなんですね。
そんなコメントを聞いて笑う王は
スピーチの時より自然な眩しさをしていた。

語り部シルヴァ

1/23/2026, 2:19:22 PM

『こんな夢を見た』

目を覚ませば少し大人びた君が隣で寝ていた。
目を覚ました君がおはよと微笑んでくれた。
そしてふたりはまた眠りについた。

目を覚ました時にはベッドに1人。
あぁ、またか。
そう思い体を起こし仏壇に向かう。

鐘を鳴らし両手を合わせる。
おはよう。今日も来てくれたんだね。ありがとう。
お陰で頑張れるよ。

写真の君は照れくさそうに笑っていた。

語り部シルヴァ

1/22/2026, 10:53:28 AM

『タイムマシーン』

ふぅ...やっとできた。
苦節20年。無理だと言われてきた
タイムマシーンをついに完成させた。
これを発表...してもいいのか。
悪党の手に渡ったら...

悩んでいると突如空間の一部が歪み、全く同じものが出てきた。ただ。ホコリや傷が随所に見られた。
中から人が飛び出て手榴弾を4、5個
タイムマシーンに投げつける。

「ちょっ...!!」
手榴弾をどうにかする前に投げた人に
後ろ襟を掴まれ連れていかれる。

手榴弾は爆破し、タイムマシーンを作っていた研究所は
跡形もなく吹きとんだ。他の部屋が無事なだけマシだろう。

「おい!なんだあんたは!」
振り向くと投げた人はいない。
辺りにあの一瞬で隠れる場所もない。

...いや、まさかな。
また一から作ろう。一回作れたなら、また作れるはずだ。

語り部シルヴァ

1/20/2026, 10:29:18 AM

『海の底』

海から出た景色は緑がいっぱいで、
鉄の塊が水の無い道を進む。
外の世界はそんな世界だと教わったことがある。

海も似たようなもんだ。
海藻の緑は太陽の光で透けて輝いている、
鉄の塊だってたまに私たちの頭の上を進んでるいる。
...音が大きくてうるさいけど。

私は人魚だから外の景色に興味はあるが
半分以上は諦めている。
もし...もし外の世界で生きることができたなら...
あの海藻のように輝けるのかな。

ため息は泡になり水面まで浮かんではぷかぷかと
可愛い音を立てて消えていった。

語り部シルヴァ

1/19/2026, 10:32:06 AM

『君に会いたくて』


"ねえ、今何してる?"
唐突に来たLINEに跳ね上がる。
最近仲の良い友人からだ。

"特に何もしてないよ〜"
"じゃ、公園に集合ね"
意見を聞く耳も持たず
友人からのメッセージはピタリと止まった。

偶然近場に住んでいたこともあって、
こうやって会えるだろうなあなんていつかは思っていたが
唐突に来ると不安というかモヤモヤが出るもんなんだな。
なんて思いながら普段見ない
街並みの顔を見ながら公園に着く。

すでにブランコで遊ぶ友人。
普段と違う服装だと別人みたいだ。

「よ。」
「おそーい。」
「悪かったよ。で、どうしたの?」
「...この状況でわかんない?鈍感。」

ブランコを飛び降り綺麗に着地した友人は
「寒いから飲み物奢って」と自販機に指をさした。

語り部シルヴァ

Next