『真夏の記憶』
いつもの通学路に屋台が並ぶ。
制服姿の友達はみんな私服や浴衣を着ている。
空は屋台の煙が薄く伸ばされ提灯がぼんやりと照らし、
雲が近くまで降りてきているようだ。
カステラ、焼けた鉄板に引かれた油、
虫除けの匂いがどこかしらから匂う気がする。
...昔の夏の思い出。
それだけで早く覚めたい気分だった。
「やっぱり人がいっぱいだよね。」
限りなく再現された声が聞こえて振り向く。
鮮やかな紅色の浴衣を着た君が隣に立っていた。
隣に映える赤い華。
この夢に咲く自分の罪。
語り部シルヴァ
8/12/2025, 10:56:51 AM