『こぼれたアイスクリーム』
「私...あと一ヶ月の命なんだ。』
唐突に彼女が告白する。
エイプリルフールにしては早いよ!?
とか
しっかりしろ!エアコンとアイスを食べた我々ならまだ...!
とかふざけた方がいい。
なのにいつも軽く弾む口は全く動かない。
おい、彼女が暗い話をしてるんだ。笑わせろ。
笑顔にさせるためにこのムードを...!
いや...無理だ。彼女の真剣な表情を俺には崩せない。
「ねえ、大丈夫?」
彼女の言葉にはっとする。
すごく、ものすごく時間が止まっていたようだった。
さっきまで手に持っていたターコイズグリーンに
茶色が混ざった宝玉はドロドロに溶けて俺の腕から滴る。
「どうやら...アイスにも刺激が強すぎたみたいだ。」
結局、君を困った顔にしか今の俺には出来なかった。
語り部シルヴァ
8/11/2025, 11:02:57 AM