語り部シルヴァ

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5/12/2025, 10:17:52 AM

『ただ君だけ』

君と話すと世界が明るく感じる。
君が笑うと体温が二、三度上がる気がする。
君が他の人と心が痛む。

君に振り回されてばかりだ。
...まぁ、私が勝手に一喜一憂してるだけだけど...
それでも責任取って欲しいくらい。

何回か君を忘れようと色んなことを試してみた。
マッチングアプリだったり恋愛から離れてみたり...
そしたら世界は色を失ったみたいに面白くなくなった。

君が、ただ君だけが私の世界を鮮やかに変えてくれた存在だ。
今日も君を一日中見ていた感想を手紙にして送るね。

語り部シルヴァ

5/11/2025, 10:33:22 AM

『未来への船』

出航の汽笛がまた鳴る。
また誰かの未来が決まったようだ。
ここは未来への行き先を決める港。
夢を見つけた人を見送る場所。

ここを旅立つ人はみんな希望に満ち溢れた顔で船に乗り、
その人を港にいる人たちが声援を送ったり
クラッカーを鳴らしたりなど色んな方法で見送る。

人は"希望の港"なんていつしか呼ぶようになっていった。
それを皮肉だと言う人も一部居た。
やりたいことが見つかっていない、見つけたけど
技量不足で船に乗れなかったなど理由は様々あった。

僕もその一人だ。
やりたいことを小さい頃から探したがここに来るまで
結局見つからなかった。
だから僕はここで受付をして夢を見つけた人を見送っている。
僕の分まで頑張れと勝手に期待しながら...

「...では、夢に向かって頑張ってください。」
笑顔で見送り、少し経った後で船の汽笛が鳴る。
頑張れ。夢を見つけた貴方ならきっと素敵な未来になる。

そう思うとなんだか自分が余計に惨めに感じるだけだった。

語り部シルヴァ

5/10/2025, 10:25:59 AM

『静かなる森へ』

今日の天気は大雨だ。
風も拭いて嵐のような天気。
それなのにここの空間は静かすぎる。

ここは少し暗めの森。
子供たちが度胸試しで夜に来たり幽霊が出ると噂されたり
化け物が住んでると言い伝えがあったり...
少し暗めな雰囲気が外観から溢れてるような森。

思わず雨宿りのために入ってしまったが、すごく静かだ。
走ってきた僕の荒い息だけしか音がない。
雨の音は聞こえるが遠くからしか聞こえない。
僕が濡れているのがおかしいくらいだ。

けもの道をまっすぐ歩くが獣がいる気配がない。
雨粒も空を隠すほどの葉が受け止め地面が乾いているほどに...

静かで不気味だ...
雨が止んだらさっさと帰ろう。
少し大きめの木にどかっと座り込み息を整える。
静かで恐怖を覚えるくらいの空間なはずなのに、
遠くから聞こえる雨音がどこか安心感を与えてくれる。

...当分雨が止まないで欲しいなと思う自分がいた。

語り部シルヴァ

5/9/2025, 11:01:40 AM

『夢を描け』

「んー...」
紙と睨み合いをしてどれだけ経っただろうか。
腕を組み続けて疲れているのに
気が付かなかったほど時間が過ぎていた。

進路希望調査。
誰もが一度はつまづくところだろう。
第一希望から第三希望まであるが...
どれが一番とかじゃなくてそもそも
どこへ行きたいかすら決まっていない。
それなのに進路希望を聞かれても答えれるわけがない。

これを渡された時の先生の言葉を思い出した。
「夢は自由に描けます。
好きなことが思わぬ進路になったり...」
残念だ。僕の夢のキャンパスは真っ白だ。
ここから筆が進む気がしない。

「考えるのやーめた。」
悩んでても仕方がない...
これについてはまた明日考えるとしよう。

語り部シルヴァ

5/8/2025, 10:41:08 AM

『届かない......』

「えいっ...」
投げたボールは相手の前で三回ほど跳ねて転がっていく。
ダメだ...上手くいかない。
球技は苦手だ...ボールが思った方向へ行かないことが多い。
しかも今日は一番嫌いなソフトボール。
キャッチボールですらこの有様だ。

「ごめーん。届かなかった〜。」
「大丈夫だよ。じゃいくよー」
相手の投げたボールは高く飛び
私が想像しているよりも頭上を行く。
頑張ってボールがグローブに着地するよう調整しても...

「あだっ」
「おーい。大丈夫?」
ボールが頭に着地した。硬くて痛い...

「お節介かもだけどー!もっとボールをよく見てみてー!
あと投げる時はボールと一緒に体を前にして
投げるんじゃなくてボールを腕をメインに
体全体で押すイメージでやってみて!」
遠くから相手の声が聞こえて腕で丸を作り
わかったのジェスチャーをした。
相手が構えたのでアドバイス通りにやってみる。

「投げる時に体を前にしてボールを...えいっ!」

さっきよりも大きく弧を描いて飛ぶ。
そしてゆっくりと落ちていって...
また相手の前で跳ねて転がった。

「いい感じ!ナイスボール!」
届かなかったけど相手がフォローしてくれる。
恥ずかしいような悔しいような感情が込上げる。

あぁ...早く終わって欲しい。
そう思いながらもまた相手からのボールを
キャッチするためにグローブを構えた。

語り部シルヴァ

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