一匹のスズメが誰とも仲間になれなくて独りになった。群れはすでに過ぎ去った。
仲間の温もりのない夜、スズメは道端で凍えていた。スズメは仲間同士寄り添って暖を取るのだ。
呆然と美しい星々を見つめる。そこで二つの黄色い光が見えた。ネコの瞳である。ネコはスズメの天敵だ。ネコの視線はは独りの鳥に注がれていた。
スズメに飛ぶ体力はもうない。だがネコ、いや野良ネコも飛びつく体力はない。ネコは捨てられからずっと何も口にしていない。
早朝、スズメとネコ、共に温もりを失った。
美しい夜の空に星明り存在しなかった。深夜の信号機に照らされて、交差点を渡る。辺りに人はいない。
ビルに寄りかかり、私の口に含んだタバコの煙が空を舞う。信号機の明かりは赤く光っていた。
癒やしは夜の街にはなかった。酒飲んで寝る。酒は私にとって娯楽ではなく、気を紛らわせるものだ。タバコもそうだ。
決して綺麗とは言えない信号機の光源が星の代わりとなり夜空を飾る。変わり映えしない景色が少し鮮やかになった。
言い出せなかった「 」は僕の中で溶けていく。それは僕にとって最大の後悔となった。
後悔は夕暮れになっても消えず、セミの声がうるさい。カラスの「カー」という、つぶやきも耳障りで仕方なかった。
あれから何年もたった。
「 」なんてどうでもいいではないか。だって「 」の中身はもう忘れたのだ。後悔が原型を留めなくとも、理由や償えるものがなくとも、「 」という枠組みだけがのかされていた。
そして「僕」はそこに囚われた。
ページをめくる。
図書館の中では静けさが保たれていた。誰もが声を発さずに黙々と本を読む。私もその一員だ。
私は少し薄めの本(決して卑猥ではない)を読み進める。ここでは、あまり多くの時間を費やし本を読まない。長時間に渡って本を読むのもいいのだが、家で読むほうが集中できる、いや自分の世界に没頭できるのだ。
では何故ここで本を読むのか。そうだな·········耳を澄ませてみよう。静かな図書館にも音が潜んでいる。足音、本をめくる音、壁に遮断されているが貫通する雑音。それは不協和音ではなく、自然の中のある───水のせせらぎや木々の揺れ擦れるような───心地の良い音だ。つまりは私にとってこの図書館は大自然そのものでありその環境音を聞きにわざわざここに来るのだ。
ページをめくる。
そして私もその一人となり、沈黙の中、不意にそれらと一緒に音を奏でるのである。
夏休みが終わり学校へ通う日常が戻った。
夏の季節の残り香は漂い、後悔の思いを呼び起こす。
眠れない。
満足のいかないが毎日、このままでいいのか?
空が星を持ち去った。
午後にセミは鳴く。
帰り道で思う。
帰った後、何を目標にするか。
快晴。
まだ未来の幅は広いのに、いやだからこそ無気力になる。
夏の猶予は通り過ぎた。
首元を掴まれ前に投げ出されたような気持ち。
痛い、なんで、という後悔が堂々巡りする。
夏には戻れない。
が、終わりない夏を夢見る。
快晴の先には何が見えるのだろう?