周りにとけ込めない女の子

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12/3/2023, 12:22:51 PM

14.さよならは言わないで


僕は君が好きだった。
高校生の時、君と僕はずっと一緒だった。
何をしようとも必ず隣には君がいた。
僕達は2人だけの約束をしていた。
『何があってもさよならは言わない。』
いつか僕たちが離れ離れになるかもしれない。
そうだとしても絶対「さよなら」じゃなくて
「またね。」って言おうって。そう約束したけど…
君は僕の前から消えた。
君は亡くなったんだって後から知った。
葬式の時、みんな泣いていたが僕は泣かなかった。
実感がなかった。
君の顔はすごく穏やかに笑っていた。
でも触ると冷たい。
君が亡くなってしまったことを実感する。
涙がでてきた。
「またね。何があってもさよならは言わないよ」
2人だけの約束をまた君と約束をした。

12/1/2023, 6:25:21 PM

13.距離


いつも吐きそうになるほど満員な電車。
身長が低いせいかいつも埋もれてしまう。
とても苦しい。だけどいつもあなたが私を見つけて
苦しくないように隙間を空けてくれる。
制服を着ているから学生なのだろう。
あなたと僕は話したこともない。
それでも私を気にかけてくれるあなた。
この1cmしかない距離…
とても近くて心臓の音が聞こえてしまいそう。
電車が揺れるたび、縮まる距離。
私じゃない心臓の音が聞こえてくる。
上を見るとあなたの顔は赤くなっていた。
あなたと目が合う。鼓動が早くなる。この時間がずっと続いてほしいと思った。
降りる駅になり降り、トイレへ向かった。
鏡を見ると顔が赤く熱い。
あなたはどう思ったのだろう…
私と同じ気持ちなのだろうか。
同じならいいなと思いながら学校に行った。
この出来事は忘れたくない。
覚えておきたいと思った。

11/30/2023, 11:42:01 PM

12.泣かないで


僕には小さい頃、大人に見えない友達がいた。
その子の名前は分からない。
女の子で僕と同い年ってことしか…
大人が帰ってくると君はすぐ消えてしまう。
僕はひとりぼっち。とても悲しかった。
寂しくて見られないように泣いていた。
そうすると君が耳元で『泣かないで』っと後ろから
抱きしめてくれた。泣いてるのを見破るように。
僕の好きな時間だった。その時間が暖かくて切ない。
僕が大人になったら消えてしまうのだろう。
いつからか僕はそう思っていた。
大人になって思っていたことが現実になった。
君が見えなくなったんだ。というか見なくなった。
今考えると空想の友達だったのかもしれない。
君に会いたくて寂しくて
家で泣いていたこともあった。
すると君が耳元で『泣かないで』
って言ってくれるような気がしたからだ。
「君に会いたいよ。泣かないでって抱きしめてよ。」
そう君を思い出しながら眠りについた。

11/29/2023, 11:29:05 PM

11.冬のはじまり


僕は熱がでてしまった。高熱だった。視界がグラグラ揺れていて気持ちが悪い。学校なんかとても行けない。
親も仕事に行っているため部屋に1人。
何もできないからベットで寝ようと寝転がった。
しばらくするといつのまにか寝てしまった。
熱のせいか夢を見ていた。いつも見る夢だ。
小学生の頃の僕と同じくらいの女の子。
女の子は白いワンピースを着ていて、太陽の光で
とても眩しかった。
2人は手を繋いで走っている。周りにはお花がたくさん咲いている。その時間がとても楽しかった。
夢でも目が覚めないで欲しかった。女の子が振り向いて僕の方を見た。
「そろそろ目を覚まさなきゃだよ。」
そう言われて僕は「覚ましたくない!」
っと泣いて言っていた。
女の子は微笑みながら「また冬に会おうね!」
僕が返事をする前に目を覚ましてしまった。
体を起こすと目から水が溢れてきた。涙だった。
夢でも現実でも泣いているなんて情けないと思いながら笑っていた。
外は雪が降っていた。「もう冬か〜早いなぁ」
君と雪の中を楽しそうに走っているのを想像していた。「君に現実でも会いたいよ。」そう叶わない願いを口にしていた。

11/28/2023, 4:59:06 PM

10.終わらせないで


視界は真っ暗。僕は目が見えない。
いつも見えない敵と戦っているみたいだ。
前が見えない僕は苦しかった。
目が見えなくても何かできるようにしないとって
思って毎日公園に通っている。
目が見えないと音に敏感になる。風の音、用具で遊ぶ子供達の声。とても楽しそうだなって思いながら、
椅子に座った。
すると、誰かが隣に座ってきたことがわかった。
だから「いい天気ですね。」と言った。
「くもってますよ笑」笑いながら話しかけてくれた。
その方は、女性のようだった。
僕達は暗くなるまで話した。目が見えないこと、好きなこと、いつも何をやっているのか、
話が止まらなかった。
この時間が終わらないでほしい、そう思った。
この日常が夏ごろまで続いた。
その日、大事なことを話した。
それは、「俺、手術するんだ。ドナーが見つかったんだよ!君の顔を見られるようになる」嬉しくてすぐに伝えにいったが、君は嬉しくないような声で
「良かったね」っと言っていた。
その一カ月後に手術をした。
目が見えることに感動し、涙した。
君に話したくて公園に行ったがいつまでたっても現れない。探してもいない。その日からずっと訪れているが君はいない。ある日、君を見かけた。
だが、君は目が見えなくなっていた。
もしかしたら、君は僕のドナーだったのだろうか。
申し訳なくて声をかけられなかった。
僕の目が見えていたらこんなことにならなかったのにと涙した。
君と話すその時間が続いて欲しかったのに。

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