10.終わらせないで
視界は真っ暗。僕は目が見えない。
いつも見えない敵と戦っているみたいだ。
前が見えない僕は苦しかった。
目が見えなくても何かできるようにしないとって
思って毎日公園に通っている。
目が見えないと音に敏感になる。風の音、用具で遊ぶ子供達の声。とても楽しそうだなって思いながら、
椅子に座った。
すると、誰かが隣に座ってきたことがわかった。
だから「いい天気ですね。」と言った。
「くもってますよ笑」笑いながら話しかけてくれた。
その方は、女性のようだった。
僕達は暗くなるまで話した。目が見えないこと、好きなこと、いつも何をやっているのか、
話が止まらなかった。
この時間が終わらないでほしい、そう思った。
この日常が夏ごろまで続いた。
その日、大事なことを話した。
それは、「俺、手術するんだ。ドナーが見つかったんだよ!君の顔を見られるようになる」嬉しくてすぐに伝えにいったが、君は嬉しくないような声で
「良かったね」っと言っていた。
その一カ月後に手術をした。
目が見えることに感動し、涙した。
君に話したくて公園に行ったがいつまでたっても現れない。探してもいない。その日からずっと訪れているが君はいない。ある日、君を見かけた。
だが、君は目が見えなくなっていた。
もしかしたら、君は僕のドナーだったのだろうか。
申し訳なくて声をかけられなかった。
僕の目が見えていたらこんなことにならなかったのにと涙した。
君と話すその時間が続いて欲しかったのに。
11/28/2023, 4:59:06 PM