9.愛情
愛情とはなんだろう。子供の頃はわからず、先生に聞いてみたこともあった。
先生はいつも「家族はあなたを愛しているのよ」って説明してくれたが、いつも僕は納得いかなかった。
先生には言ってないが、僕に家族はいない。
小さい頃に捨てられたんだ。
僕の心はポッカリ空いていた。
多分、愛が欲しかったんだ。
誰でもいいから僕を愛して、
僕の心を愛でうめてほしかった。
でも、家に帰っても誰もいないひとりぼっち。
いつも寝る時は寂しくて泣いていた。
ある日、先生が家庭訪問で家に来た。
僕の家を見て、全てを悟ったのか僕に
「ねえ、私と一緒に住まない?私があなたのお母さんになるの!」と言ってハグしてくれた。
こんなに暖かいハグをしてもらったのははじめてだ。
暖かくて僕の心が暖かくなっていくのを感じた。
とても嬉しくなった。これが愛情なのだと…
そう思った。
「いいの?僕は先生の子供になってもいいの?」
泣きながら聞いていた。
愛情とは、家族関係なくあるんだなとそう思った。
8.太陽の下で
「君は太陽の下に行くと体が焼けるように痛くなるとしたらどうする?」僕は体が弱かった。
まるで吸血鬼のように肌は白くて
太陽に当たってはいけなかった。 なぜかって?
僕は太陽の光を浴びると体が焼けるように痛くて
死んでしまうからだ。
だから僕は、ずっと部屋に引きこもっている。
孤独で真っ暗な部屋。とても寂しい。
こんな生活に耐えられなくて、
死にたいと思ったこともある。
でも最近は、窓から君を見ることが楽しみになった。
君は太陽の下で輝いている。
そんな君に一目惚れをしてしまった。
「美しいなぁ」とそんな一言を毎日呟いていた。
だが、なぜこんなに好きなのに胸が苦しんだろう…
君に触れたい…君と話したい…君と太陽の下でデートがしたい…その笑顔を僕に向けて欲しい…
そんな願いは全て叶うことが出来ない。
僕は外に出られない。夜出れたとしても君はいない。
こんな世界に生きていても仕方がないと思った。
だから僕はひとつの願いを叶えるために外へ出た。
太陽の下で死のうと思った。
死んでまた君に会おうと思った。
体が焼けるように痛い。でも仕方がない。
「君のことを思ってるよ。」
僕は君のことを思いながら死んだ。
7.セーター
寒いな。白い息がでるくらい寒い季節になってきた。
いつもパーカーしか着ない僕に
君はセーターをくれた。お揃いのパーカーらしい。
すごく嬉しかった。
だから僕は毎日そのセーターを着た。
クリスマスの日。
僕は君とデートをすることになっていた。
集合場所10分前に来て君を待っていた。寒いと身体を震わせながら君の姿が見えるまで胸を弾ませていた。
君が遠くから走ってくる姿が見えた。
僕は「可愛いなぁ」って思いながら君が来るまで待っていた。だが君は、僕のところまで来なかった。
交通事故だった。僕は涙が止まらなった。
セーターを見る度に君を思い出す。
君のすぐ顔にでてしまう可愛いところ、少し低いけど優しい声。全部愛おしかった。
「君とずっと一緒にいたかったなぁ…」
今でも冬になったら
君からもらったセーターを着ている。
君を思い出すように。
6.落ちていく
最初は変なやつだと思ってた。
陰キャでキモい。
でもこいつの目を見てると目が離せなくなる。
なぜなんだ。分からない。
「ムカつく…」
こいつを知る度にむかついてくる。
声も顔も性格もキモイのに何故かそばにいたくなる。
こんなのおかしいのに…
お前は俺に「永遠を捧げるよ」とか言っててすっごい
キモい。でも俺は少し嬉しかった。
これが好きということなのだろうか?
いつの間にか俺はこいつ中心の生活になっている。
キモいし俺のことしか眼中にないけど、逆に俺しか
考えてなくて俺の事になると目がキラキラになる。
こいつに俺は恋に落ちてしまったんだな。
5.どうすればいいの?
僕は、君が好き。でも僕は女の子で、君は僕のこと
親友だと思っている。つまり友達として好きということだろう。それでよかった。
君のそばにいれるのなら…
でも君に好きになって欲しくて、長かった髪を
バッサリ切った。君に振り向いてほしくて、
制服もスカートじゃなくズボンにした。
それでも君は僕を好きにはなってくれなかった。
いつの間にか、君には彼氏が出来ていた。
僕は悔しくて胸が苦しくてどうしようもなかった。「君が好きなんだよ!僕は、君に
振り向いてもらうために髪を切ってズボンも履いて…
君が好きだから!それなのにどうしてだよ!」
と今まで我慢していたものが出てきて君に押し付けるように叫んでいた。
その日から、君と一言も喋れていない。
君といた時間が何よりも幸せだったのに…
自分のせいで壊れてしまった。
これからどうすればいいのだろう…
君がいないこの生活にどう耐えていけばいいの?