空恋
よく話をするクラスメイトの、その笑った時に見える八重歯が可愛いな、なんて。思った時にはもうすでに遅くって。どこにいても目で追いかけてしまってることに気付いたのは、梅雨も明けてもう夏本番と言われるほどに暑くなったある日のことだった。
暑い教室の中で、前後の席の私たちは毎日毎日飽きもせずに何かを話しては笑っていた。もう話の内容なんて少しも覚えていないほど、ありふれた話を擦り切れるほど話していた。それでもそんな日常が楽しく仕方がなかったのだ。
波音に耳を澄ませて
あれはいつの頃の記憶だろう。
永遠に続くような波の音と、それを楽しそうに追いかける水を跳ねる足音がふたつと笑い声。無邪気な声が響くのに、その人の顔だけがまるで落書きを塗り潰したように消されていて、全く思い出せないのだ。笑い合いながら伸ばされたその手を握って、パシャパシャと海辺を走る。
私は誰と遊んでいるのだろう。
青い風
窓を開けると風が吹いた。夜になっても生温く湿った風は、頬を撫ぜてカーテンを揺らした。夜の街はどこかしこに灯りがついていて綺麗なのに、どこか寂しいような、そんな気配を感じさせる。
今日も1人、またこのベッドで眠りにつく。1人で眠ることにはもうすっかり慣れてしまったのに、それでも心の片隅で1人は嫌だと思ってしまうのだ。あぁ、なんで隣に君がいないんだろう。
クリスタル
みんな映画館に行って、
KING OF PRISM-Your Endless Call-み~んなきらめけ!プリズム☆ツアーズ を見るんだ!!!!
クリスタルなんかより輝く、愛と青春の物語が観れるぞ!!!!!!!!
また文章書けない期に突入したのか、全く筆が乗らないね〜毎日夜勤して、映画館通って、本読んでって感じです。
映画 国宝見てから今原作読んでるけど、少しずつ内容違って読んでて楽しい。ほんと我ながら毎日忙しいなって思うよ。
カーテン
ふと夜中に目が覚める。ベッドの隣にいたはずの温もりはなくなっていて、あるのはぽっかりと空いた空間だけ。トイレにでも起きたのだろうかと、微睡の中ぼんやりと考えた。
夏の夜、冷房の効いた部屋は涼しく管理されていて、寝苦しいなんてことはない。寝室の横、リビングからカタリと音がして、気になった末だるい体を起こしてリビングへと続く扉を開けた。
ベランダへの窓が開く音だったのかと、ぬるい風にレースカーテンがはためく姿を見て思った。ベランダには夜空を背景にタバコを吸う男が1人。ぷかぷかと煙を吐き出しては輝く星を眺めていた。数歩近づくと、ペタペタという足音で気付いたのかこちらを振り向いては「来ちゃダメ」と吸いかけだろうタバコを消す。
「…子供扱いしないで」
「タバコなんていいことないんだから」
そういう彼はタバコを辞めない。でも私の前でも吸わなかった。
ベランダへと並ぶと、少しだけタバコの残り香を感じた。