波音に耳を澄ませてあれはいつの頃の記憶だろう。永遠に続くような波の音と、それを楽しそうに追いかける水を跳ねる足音がふたつと笑い声。無邪気な声が響くのに、その人の顔だけがまるで落書きを塗り潰したように消されていて、全く思い出せないのだ。笑い合いながら伸ばされたその手を握って、パシャパシャと海辺を走る。私は誰と遊んでいるのだろう。
7/5/2025, 3:50:43 PM