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カーテン




ふと夜中に目が覚める。ベッドの隣にいたはずの温もりはなくなっていて、あるのはぽっかりと空いた空間だけ。トイレにでも起きたのだろうかと、微睡の中ぼんやりと考えた。

夏の夜、冷房の効いた部屋は涼しく管理されていて、寝苦しいなんてことはない。寝室の横、リビングからカタリと音がして、気になった末だるい体を起こしてリビングへと続く扉を開けた。

ベランダへの窓が開く音だったのかと、ぬるい風にレースカーテンがはためく姿を見て思った。ベランダには夜空を背景にタバコを吸う男が1人。ぷかぷかと煙を吐き出しては輝く星を眺めていた。数歩近づくと、ペタペタという足音で気付いたのかこちらを振り向いては「来ちゃダメ」と吸いかけだろうタバコを消す。

「…子供扱いしないで」
「タバコなんていいことないんだから」

そういう彼はタバコを辞めない。でも私の前でも吸わなかった。
ベランダへと並ぶと、少しだけタバコの残り香を感じた。

7/1/2025, 1:15:18 AM