1つだけ』の作文集

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1つだけ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

4/3/2024, 8:57:46 PM

1つだけ


「最後に1つだけ、願いを叶えてやろう」

病室のベッドで横たわる俺に死神がそう言った。

あぁもう歳かと目を閉じても、黒いローブに鎌を持ったまさにテンプレみたいな死神が、常にそこにいる。

「こんな幻覚が見えるようになるなんて」


今までつまらない人生を送ってきた。

リスクがあれば避けて、いつも楽な道を進む。

勉強も、就職も、恋人も何もかも。

けれど、人としては平凡で、特に大したこともない幸せな人生を送ってきたんだろう。

けれど、何もかも中途半端な俺は何一つ成し遂げることができず、一生を終える。

1人で歩けやしないほど歳を取り、誰も見舞いにこないその最後には虚しさと、悔しさだけが胸に残った。


「お前は、なんでも願いを叶えてくれるのか」

「1つだけだ」

死神が、俺を見下ろす。

頭の中で何度も想定を繰り返した。

けど、もう答えは決まっていた。

「俺を────」

4/3/2024, 8:41:03 PM

1つだけ願いが叶うとしたら、
あなたは何を願いますか
ここにいることですか?あそこにいることですか

さぁ私たちと共に来てください。
あなたに必要なものを差し上げましょう。

今すぐここで全てが手に入りますよ。
なんといってもあなたは既に可能性の中にいるのですから、
そこから欲しいものをとってください。
そこからオーダーするだけなんですよ。

そこから呼び寄せてください
すぐにやってきますよ。
宇宙に時間はないんです

4/3/2024, 8:36:20 PM

拝啓

神様へ。

 ご無沙汰しておりますが、ご機嫌いかがですか。
毎度、唐突ですが、1つだけ願いが叶うなら、私の人生は今すぐ終わらせてください。転生なんて面倒な事も望みません、もし転生しちゃうなら長生きしないヤツがいいです。それが無理なら、今世で彼と添い遂げて看取らせてください。

不躾で失礼な娘をお許しください。
 何卒よろしくお願いします。

                       かしこ。

4/3/2024, 8:14:01 PM

「ひとつだけ願いが叶うなら、どうする?」
唐突に言いだしたのは、君だった。
その日は朝から雨が降りそうで、降水確率は80パーセント。道行く人は、皆傘を持っていた。私だって例外ではない。いつかコンビニで買った無個性で汎用なビニール傘は、持ち手をデコった私仕様。柄のついたテープは、私の精一杯の個性だった。
「どうって、うーん」
願いなんてたくさんあるようで、こういう時にはなかなか思い浮かばない。「億万長者になりたい……とか?」悩んだ末に苦し紛れに答えた私を見て、君は呆れたような顔をして笑っていた。
「そんなに笑うなら、君は何を叶えてもらうのさ」
君は少しだけ目を細めて、おどけたように言う。
「自分なら、どうか傘を恵んでくださいってお願いするよ」
降水確率80パーセントなのに。傘を持っていない君のお願いに、思わず笑いが盛れた。ひとつだけのお願いは、傘には少し荷が重いと思わない?
「今の自分に一番必要なものは、傘だと思うんだよね」
ふざけているように見えたけれど、君は真剣なようだった。空はますます暗くなり、今にも降り出しそうだ。確かに君には、傘が必要かもしれない。私は肩をすくめて、すいとビニール傘を持ち上げた。
「はい、では君の願いは叶いました」
ぽつりぽつりと、雨が降ってきた。ばさりと開いたビニール傘を、君に傾けて一緒に収まった。透明なビニール傘から、空を見上げる。傘を叩く水の雫。小さな川になって落ちていく。
傘の持ち手に貼り付いた、私の精一杯の個性。気がついた君が笑う。
ひとつだけ願いが叶うなら。こんな日々がずっと続きますように。

4/3/2024, 6:46:47 PM

『1つだけ』


古い時計の振り子が揺れる
重くて鈍い音を刻む
数字の並んだ時計盤には
ひしゃげた針が一つだけ

忘れ去られた庭園が荒ぶ
哀愁と寂寥の風が吹く
朽ちゆく老木の枝の先には
散らぬわくら葉が一つだけ

黄ばんだ手紙が床へ散らばり
微かな追憶を部屋にもたらす

思い出すのは一つだけ
過去の約束を一つだけ
その恵まれた一つによって
私の世界が満たされたんだ

4/3/2024, 6:40:57 PM

その夏に骸としての質量をはじめてその蚊を食う者がない

4/3/2024, 6:19:49 PM

ひとつだけ、願いが叶うとしたら
私の寿命を、犬に分けたい

4/3/2024, 5:58:05 PM

最愛の君が死んだ
飲酒運転の轢き逃げだった

信じられない出来事とは案外起こるものだ
なにも考えられない
もう僕にはなにも残っていない
ただ茫然としていると神様が降りてきた
「不幸なお前の願いを一つだけ叶えてやろう」

僕はこの権利をなにに使うべきか思案する
君を生き返られせもらう?
僕を君のところに連れていってもらう?

いや、僕から君を奪った憎きアイツを……

              〈4月4日 一つだけ〉

4/3/2024, 5:48:29 PM

詩『プレゼント』


私の家は貧乏でした
だから、幼い頃は我慢しました
誕生日とクリスマス
一年に二回だけ
欲しいものを買ってもらえる

小学高学年になると
いつも母と交渉しました
1つだけ?

母も負けません
1つだけ!

ある年のクリスマス
姉が私に言ってきました
1つと1つ、足さない?
そして
何万もするゲーム機
買わない?

考えてみれば奇妙です
数千円と数千円
足して何万にはなりません
姉は、ずる賢いのです

それでも母は最後には
買ってくれました

私は見てました

それから夕食の時間は
母はいつもいろんな家事で忙しい
みんなと食べない
そう、母のおかずがないのです

ゲーム機
今でも私の宝もの

1つだけ…
約束破ってごめんね

そんな、亡き母が
大好きでした

4/3/2024, 5:36:10 PM

一つだけ光渦の好きなところを上げるとしたた、その形。

4/3/2024, 5:27:51 PM

( ̄~ ̄;)ナヤム
違うわ~ってかあε=(ノ・∀・)ツ
お題は👉️1つだけ👈️
じゃあ~ってかあε=(ノ・∀・)ツ

4/3/2024, 5:22:50 PM

1つだけ

溢れる 歌を 星空に
あなたの 憂鬱を 振り払う
あの 蒼空に 胸焦がしたことを
忘れ ないで いて

1つだけ 1つだけ
涙が 零れ
1つだけ 1つだけ 
おもい 出して

あのとき 君が 語った いつかの 夢は
まだ 心の なかに あるの?
ため息の 毎日に 忘れて しまう 事さえも
なくさ ないで いつか 叶えて


夕暮れ 涙 溢れたら
あなたの ほほえみを 流れてく
あの 蒼空に 願いをかけたこと
忘れ ないで いて

1つだけ 1つだけ
叶え たいもの
1つだけ 1つだけ
浮かんだ ものは

あのとき 君が 星空 えがいた 夢は
今 流れた 星が 祈る
ため息の 毎日に 失う 物が 多くても
きらり 光る 星を 数えて

1つだけ 1つだけ 
願いを 叶え
1つだけ 1つだけ
君の ために

生まれる 星は いつか
君の 前で 大きく かがやく
その時は 1つだけ 1つだけ
星空に 祈るよ

4/3/2024, 5:22:47 PM

人間は、命も心臓も、たったひとつしかないものだ、
重い病にかかったとしても代わりの命も心臓も存在しない、あなたも自分も、命は1つ

4/3/2024, 4:56:10 PM

優也の口癖は「ちょーだい」
ちっちゃい頃からずっと。
俺が何か持っているとすぐに「俺も!俺にもちょーだい」
幼なじみの優也は、他の人が持っているものはなんでも欲しがる。幼稚園でも小学校でも中学校でも、常になんでも欲しがる優也を周りはだんだん避けるようになった。そして優也の近くにいた俺も自ずと避けられるようになった。でも優也はそんなに悪い奴じゃない。俺は「ちょーだい」と言われることを想定して2個以上入っているものを買う癖がついたし、それで解決だった。

俺たちは友達というものは互いしか知らないまま高校生になった。高校2年生の春。やっぱり最初は仲の良かった男子達も、優也の「ちょーだい」が原因で2年に上がる頃には誰も俺たちに話しかけなくなった。俺はそれでもいいと思った。でも優也はああ見えて気にするタイプだから「俺、またやっちゃったかな、、」と呟いては毎日のように『反省会』をしていた。俺は隣で「ああ、それは相手も嫌かもね」とか「そんなに気にしなくたっていいじゃない」とか言っていた。そして優也は結局毎回「俺、お前がいればいいや」と吹っ切れたように言っていた。

俺たちは成長期が早めで、高校1年では既に成長は止まりかけていた。それでもクラスで1列に並べば優也と俺は順に後ろの方だった。高校は青春を謳歌したい若者たちの集まりだ。そして「顔がいい」とか「身長が高い」とかの理由だけで、女子は男子を見極めた。だからやっぱり俺たち、特に見た目が良くて色素が薄い、外国人風の優也は『「ちょーだい」問題』があっても女子にモテた。そのせいでさらに周りの男子との溝は深まった。1ヶ月に1、2回は学年問わず告られていた。そして俺たちは毎回「振られた報告」を互いにした。

そんな中優也がついに学年で1番可愛いと噂される「さゆりちゃん」を手に入れた。「さゆりちゃん」は小柄で小動物みたいだった。髪の毛は長くて真っ黒で少し天パが入ってふわふわ。色白でまつ毛は長い。「成績も良くて誰にでも優しい」と男女問わずみんなの噂だった。周りの人は優也が相手なんて、と「さゆりちゃん」を心配していたが、当の本人は幸せそうだった。それを見て周りの人も優也への見方を少し変えたらしかった。俺もよく話しかけられるようになったし、優也も目に見えて避けられることはなくなった。

俺は元々物欲は弱い方だった。それもあって幼稚園の時から物の取り合いみたいな形で優也とぶつかったことは無い。たぶんこれからもないと認識していた。だからこそ、優也と俺は凸凹コンビのように性格が合致していた。それに加えて俺は愛想が良い方でもなかったから、優也のせいで友達が消えて「ごめん!」と優也に謝られても特に気にすることもなかった。それこそ俺もきっと思っていたんだ。優也がいるから独りじゃないしいいやって。

だから初めてだった。「妬ましい」そう感じたのは。今まで俺は優也の「ちょーだい」に合わせて、優也以外の友人もいなかったし、元カノには「優也君のお世話係の方がいいんじゃない?」とか言われてきた。それなのに優也は学年1可愛い「さゆりちゃん」ときゃっきゃうふふ?おかしいだろ。優也を妬む周りのやつらの気持ちがわかった気がした。だって自分が欲しかったものをいとも簡単に持っていかれるんだ。そりゃ誰だって妬む。物欲の弱かった俺がついに明確に物欲を感じた。この1つは譲れない。

俺は少しの間優也と「さゆりちゃん」の別れた報告を待ち続けた。「手を離した瞬間俺が取る」そのつもりで、まるで獲物を狙う獣のように待ち続けた。でも高校3年になっても優也は一向に俺に別れた報告をしなかった。それどころか「今日さゆりちゃんと帰る」報告の方が多くなった。ふざけるな。早く離せ。俺はだんだんイラつく気持ちが抑えられなくなっていった。優也に「なんか、素っ気なくない?」と何度か言われるほどには我慢できなくなっていた。あーうぜえ。いいから早く離せよ。

「今日、さゆりちゃんと帰る」
「さゆりちゃんが帰り一緒にスタバ行こって」
「さゆりちゃんと、、、、、」
「さゆりちゃんが、、、、」
「さゆりちゃんに、、、」



俺にも1つだけでいいからちょーだい?







階段に立つ。

背中に手を伸ばす。

手に少し力を入れた。

少しずつ傾く身体。

黒い髪が揺れる。

ばいばい、ごめんね
「さゆりちゃん」







-------------俺に優也の隣、ちょーだい?

『1つだけ』

4/3/2024, 4:53:09 PM

何も変わらない日常の中ふと一つだけやたら存在感のあるアプリが目に付いた。そして今ここにいる!

4/3/2024, 4:49:31 PM

1つだけ

メレメレ、みんなに一つだけ言いたい

絶対にフルーチェを作る時、牛乳を少なめにするんじゃないよ

たとえ、牛乳が足りなかったとしても……

それを食べてはいけないよ……


メレメレ、味濃すぎて今めっちゃつらい(´༎ຶོρ༎ຶོ`)

4/3/2024, 4:39:35 PM

「1つだけ」

今の私に、1つだけ願いが叶えられるならなにがいいかと言われたら、それはもうこれに尽きる。

"生きたい"という意思がある全ての人が、平和に、そして健康に、幸福に生きられますように。

全ての命に感謝です。

4/3/2024, 4:37:41 PM

私の地元で行われる祭りの開催期間は4日間で、通常よりも少し長い。
そしてこの祭りには不思議な言い伝えがあった。
それはとある条件を満たすことによって“5分間だけ死者と会うことが出来る”というもの。

もはや都市伝説のようなこの言い伝えを実践する人はほとんどいないという。
それは、この条件の代償が《自分の命と引き換え》だからだ。

でも私にはこんな条件、大したことはない。
1度は投げ捨てようとしたこの命を“彼”に救われたあの日から、私は生きることの尊さをすっかり忘れてしまった。

「あなたに救われた命を、もう1度あなたの為に使わせて…」

部屋の窓から外に投げかけられた言葉は、降り続く雨によって遮断されてしまう。
祭り当日までには止むだろうか。
その方がきっと、彼も喜ぶだろうから。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「あーあ、また雨かぁ」

レインコートと長靴と傘…完全防備をまといながら彼が呟いた。

「わたしは雨、好きだよ」

「オレは嫌いだ。雨が降ってるってことは、どこかで誰かが泣いてる証拠なんだ…って母さん言ってた。だから早く晴れてほしいよ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
幼い頃の記憶。
ほんの少しだけだったけれど、夢の中でまた彼に会うことができた。

祭りは今日から4日間行われる。
あの言い伝えは他にも様々な条件があり、最終日かつ、花火が打ち上がる19時45分から20時までの間でしか達成できないと言われている。

(どうか、当日は晴れますように…。)

心の中で何度も祈っていたのが効いたのか、4日目の夕方の空には雲ひとつなく、輝く星が幾つも見えた。

これならきっと叶えられるだろう。
花火が上がるまで、屋台を見て回ることにした。

…何故か成り行きで一緒に来ることになった、クラスメイトのハルトくんと共に。


「あ、カナちゃん花火まであと少しだよ!楽しみだね!」

「ねぇ、ハルトくん。私喉乾いちゃって…。ちょっとお茶買いに行ってきていいかな」

「え、なら俺が行くよ。ちょうど俺も喉乾いてたからさ!そこで待っててね」

「あ、うん…ありがとう」

打ち上げまで残り5分。
ハルトくんには悪いけど、この時間だけは絶対に誰にも邪魔されたくないから。

ハルトくんの姿が見えなくなったことを確認して、人気のない場所まで移動した。

そして花火が上がるのをひたすら待つ。
言い伝えが本当に叶う証拠なんてない。
だけど今夜は、いつもとは何かが違うような、そんな気がしていた。

余興の始まりを知らせるかのように、夜空の真ん中に咲いた一輪の花。
そして次々と色とりどりの美しい花を咲かせては儚く散っていく。

全員が立ち止まり上を向く中、私だけは目を閉じ心の中で祈っていた。

(この命と引き換えに、もう一度彼と会わせてください。覚悟は出来ています。どうか、お願いします…!)


突然誰かに肩を叩かれた。
慌てて目を開けると、そこには“彼”が立っている。

「久しぶりだね…カナ。元気にしてたか?」

「ハ、ハルキ…」

私を見て優しく微笑む彼に、私は言葉が出てこなかった。
本当は話したいことが沢山あるのに、言葉よりも先に涙が溢れて止まらない。

「泣くなよカナ。今日はこんなに良い祭り日和なのに、どこかで雨を降らせちまうぞ」

わかってる、わかってるのに。
頭では冷静に考えられるのに、俯瞰して見た自分の姿は泣きじゃくってばかりだった。


泣いてばかりの5分間は、あっという間に終わりを迎えようとしていた。
しかし残り僅かに差し迫った時、彼から聞かされたのは衝撃の事実だった。

「この言い伝えを教えたのは俺だけどさ、本当は少し違うんだ。“命と引き換え”なんて嘘で、実際には呼び出した相手のことを忘れてしまう、っていうのが本当の代償」

「呼び出した相手…?」

「そう。つまり、お前が“俺のことを忘れる”んだ。そうすれば、あの日の出来事も忘れられるだろ?」

あの日、とはおそらく…私が命を絶とうとして、それを庇ったハルキが亡くなってしまった時のことだろう。
彼は続けて話す。

「俺はお前を救えて良かったと思ってるよ。俺の願いはただひとつ。…これからもカナが、長生きしてくれること。たとえ俺のことを忘れてもな!」

そう言って彼は笑った。
涙を止めようと少し上を見ると視界に花火が映り、すぐに戻した視線の先に彼はもう居なかった。

「私、今何してたんだろう…」
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俺はずっと隣に立っていたけど、一瞬目を見開き驚いた彼女の表情から、5分間を過ぎたのだと察した。

そして不思議そうな表情のまま涙を流し続ける彼女は、とうとう俺のことを忘れてしまったのだろうことも悟った。

でも…これで良いんだ。
俺はカナにとって、居てはならない存在だから。

そのうちハルトがやってきて、泣いてばかりのカナを優しく諭していた。
俺もあいつも…幼い頃からずっとカナのことが好きだった。

「まさか兄弟で同じ人を好きになるなんてな…」

俺たちの両親は幼い頃に離婚しているため、カナは俺たちが兄弟ということすら知らない。
しかし今はその方が好都合だと思える。

「カナ…俺はお前の涙に弱いから、次から泣くときはハルトに胸を貸してもらえ」

「ハルト…カナを頼んだぞ。お前とだったら、カナはきっと幸せになれるからな…」

背を向けて歩いていく2人に投げかけた言葉。
届かなくても、どうかきっと叶えてくれ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ねぇハルトくん…今何か言った?」

「え、俺…?何も言ってないけど。それよりカナちゃん、もう平気なの?かなり泣いてたみたいだけど…」

「うん、大丈夫。私もどうして泣いてたのか“思い出せないんだ”。泣くほどのこと…何かあったっけ」

私の言葉に少し罰が悪そうな顔をしたハルトくんが、こんな質問を投げかけてきた。

「あのさ、カナちゃんは聞いたことないかな…?5分間だけ死者を呼び戻せる代わりに、“その死者を忘れる”ことが代償の言い伝え」

その言葉に、大きく心臓が飛び跳ねた。
私は何か取り返しのつかないことをしてしまったのではないか、と。

彼が続けて話すがもう何も耳に入ってこない。
私は徐に後ろを振り返り、こんな言葉を呟いていた。

「そこに誰か、いるの…?」

突然吹いた風が、祭りの終焉とともにその言葉を連れ去っていった。

4/3/2024, 4:23:05 PM

一つだけ。
わざわざ口に出す意味を考えた。
誰かに向けての宣言。
そして自分への忠告にして戒め。
どちらだろう。
どちらでもよかった。
どうせならどっちも欲しがればいいのに。そう迷う横顔にほくそ笑んだ。

4/3/2024, 4:23:00 PM

むずかしい言葉だ。
「もう一つだけ」と「たった一つだけ」
「唯一無二」と「これっぽっち」

1つ、と個を示す言葉なのに
こんなにも色んな意味がある。

#1つだけ

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