『1つだけ』 古い時計の振り子が揺れる 重くて鈍い音を刻む 数字の並んだ時計盤には ひしゃげた針が一つだけ 忘れ去られた庭園が荒ぶ 哀愁と寂寥の風が吹く 朽ちゆく老木の枝の先には 散らぬわくら葉が一つだけ 黄ばんだ手紙が床へ散らばり 微かな追憶を部屋にもたらす 思い出すのは一つだけ 過去の約束を一つだけ その恵まれた一つによって 私の世界が満たされたんだ
4/3/2024, 6:46:47 PM