ノーム

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6/9/2025, 5:50:51 PM

『どうしてこの世界は』


誰かの心配をする
義憤を覚える
笑顔を守りたいと思う
みんなが幸せになりたいと願う

誰かが戦争をする
義憤を覚える
笑顔を守りたいと思う
みんなが正義になりたいと願う

愛してる
愛してる
みんな誰かを
愛してる

それでも……
平和を買うには足りない

善悪を語る
神様を騙る
『愛によって世界を救う』
そんなの無理に決まってる
愛が足りてないだけなんて
そんなの嘘に決まってる

誰かの幸せを願いたいと思った
不幸は嫌いだと誰もが話した
笑顔が素敵なら褒められた
絆が大事だと教わった

愛してる
愛してる
この世は愛に
満ちている

それでも……
平和を買うには足りない

6/8/2025, 3:07:31 AM

『夢見る少女のように』 220



幼い少女が、真っ白な画用紙に沢山の色を乗せていく。
少女が5才になった誕生日に、両親からプレゼントしてもらった色鉛筆。ひとたび少女が手に持てば、それらは少女に理想の世界を届けてくれた。
少女にとって色鉛筆とは、物語に出てくる魔法のステッキとなんら変わりなかったのだ。

少女が夢を描く。

それは"少女"が"お姫様"になる物語かもしれない。
それは"少女"が"魔法使い"になる物語かもしれない。
それは"少女"が"騎士"になる物語かもしれない。

少女は思いつく限りの物語を、何枚も画用紙に描き続けた。しかし……どれだけ理想を思い描いても、何故か幼い少女の心は満たされない。求めているものとは違うような、納得できない何かがあったのだ。

──それから短くはない歳月が経ち、あの頃の"少女"は"女性"へと成長していた。

近く一人暮らしをするにあたって、実家の片付けをしていた時、幼い頃に自分が描いた夢を見つける。
女性はそれを見た時、どうして当時の自分が満足出来なかったのか、今になって少し分かった。

片付けをしばらく休み、大切に保管してあった画用紙と色鉛筆を手に取る。
大人になった少女が、真っ白な画用紙に沢山の色を乗せていく。

少女の夢を描く。

それがどんな物語になるのかは分からない。
しかしそれはきっと……"少女"が"少女"のまま幸せになれる物語なのだろう。

4/9/2025, 7:24:58 PM

『元気かな』


今頃あの子は何をしてるかな。

当時からみんなに愛されていたあの子。
誰かとお話をするのが好きで、話すときも聞くときも、いつも楽しそうに体を揺らしていたっけ。
笑った時に出来るえくぼを気にしているくせに、こちらに気付くと笑顔で駆け寄ってくる。
いじらしくて可愛くて、とても素敵な子だったんだ。

あの頃から幾許かの時が流れた今に思う。
あの子が愛されていたのは、きっとあの子だったからなんだろう。

……あの子、今も元気にしてると良いなぁ。

12/19/2024, 11:55:43 AM

『寂しさ』


あぁ、あなた死んだのね

畳の青さが際立つ朝方
遠くの空にはモヤがかかる
掃除が下手な誰かのせいで
埃が舞っているんでしょうね

小鳥 小鳥 小鳥
小鳥がないてる
ないてる
ないてる……

畳の青さが目立たぬ夕方
遠くの街には影がかかる
目立ちたがり屋な誰かのせいで
光が散っているんでしょうね

カラス カラス カラス
カラスがないてる
ないてる
ないてる……

煙たい部屋の壁には染みが
マールボロの煙草のせいね
曇ったガラス戸を覗いたところで
中身なんて分かりやしない
だってあなた──


もう死んだんだから

8/8/2024, 7:50:51 AM

『最初から決まってた』


何億年も前に出来た
チンタラと生きてる私の宇宙が
ナンタラとかいう難しい名前の
カンタラとかいう難しい法則で
何億年も後に消滅するって……?

未来に行っても
過去に行っても
何方も結果がおんなじならば
これまで紡いだ世界の因果も
ほどけたところで関係ないね

ゲームのボタンをピコっと押したら
どんな物語も一つに収束!
緑の衣の勇者でも
赤い帽子の配管工でも
黄色い電気のネズミでも
電源落ちたら強制終了

人がどうかは知らないけれど
宇宙は何時でもモーマンタイ!

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