『1つだけ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
マコ「一つだけ頂戴」
サリコ「一つだけってあんた…雪見大福は2つしかないんですけどーってか、アンタも同じの食べてんじゃん!」
マコ「えーいいじゃん、サリコの方が美味しそう」
サリコ「一緒だし!、もー……しょうがないなぁ」
マコ「やったぁ」
サリコ「アンタのも寄越しなっ!ったく…どーしていつも私の食べてるの欲しがるかなぁ……」
マコ「だって……」
サリコ「だって?」
マコ(関節キスしたいんだもん……なんて、言えないよね)
一つだけ破ってはならない約束があった。燃え盛る炎の中、僕を一人逃す前に最後に母が言ったことだ。
何があっても生きる。僕はその約束を守るためだけに生きてきた。親も家も居場所もない僕が生きるためにしてきたことは人にとっては有害なものだった。それ以外どうすればいいのかわからなかったけれど、それでも約束のためにずっとそうしてきた。それくらい僕にとって母は唯一の存在で、その母との約束はただ一つの縋るものだった。
その約束を破ってしまった。守ることができなかった。今まで僕はそのために人を侵害してでも生きてきたのに。出来もしなかったならいったいそれは何のために、何の意味があったんだ。
生きろと言われて生きられなかった。ただ人を騙し傷つけ、どうしても必要だったかもしれない人から盗み奪って、その上で死んだ。
碌なことをしてこなかったが故の当たり前であるべき報いだろうか。ひどく苦しく焼けるような感覚がするのにとても寒い。
別に自分は特別不幸でもなんでもない。すべてが燃えたあの日からみんな同じだった。それでも真っ当に生きようとしていた者もいた。それなのに自分は。
どうすればよかったのだろう。真っ当な生き方をしようとしても技術もなければ知識もないし力もなかった。頭も足りなかったから真っ当じゃなくても上手く立ち回ろうとしたってできなかった。なんとかしようと精一杯努力しても結局このザマだ。
出来が悪い。碌でも無い。なんの価値があるんだろうか。
せめてもっと頭が良ければ。せめて何か才能があれば。もっと違ったかもしれないのに。
悪事ばかり働いてそのくせ死んで本当に、どの面下げて今更。
本当のことを言えばあの時母と共に死にたかった。先もなにもないのに置いていってほしくなかった。約束をせずにずっとあそこに留まっていれば良かったのかもしれない。そうすれば人に迷惑もかけなかったかもしれない。でもそれは母の望みに反してしまう。守ろうとしても反していたのにそれすら。
どうすればよかった、どうすれば、どうすれば、どうすれば。
どれだけ考えても答えが出ない。
『春野菜』
むかし畑だった場所に住んでいる 明け方に春野菜の亡霊をみた気がする 野菜くずじゃない 収穫手前の元気な野菜だ 昼過ぎに亡霊のことはもう忘れた 夕飯はポトフにしようとふと思った
1つだけ
子供の頃、皆と星空を眺めた事がありました。
何時もなら、疾うに眠りについている時刻。
今日は特別だよ、と言われ、
外に出て、空を見上げました。
頭上には、満点の星。
今迄見た事の無い数の星が瞬いていました。
空に散りばめられた数多の星の美しさに、
私は少しだけ怖くなりました。
そんな闇夜に煌く星々の中で、
一際、輝く星がありました。
いつの間にか、その1つの星に、
私の心は、釘付けになりました。
…私にとっては『1つだけの星』。
部屋に戻っても。ベッドに潜り込んでも、
翌朝になっても。何日も経っても。
その『1つだけの星』は、
私の脳裏から消える事はありませんでした。
あの日から。
何れ程の月日が流れた事でしょうか。
私は、大人になり、忙しい日常に追われ、
夜空を見上げる余裕なんて、
すっかり無くなっていました。
日々に疲れ果て、久しぶりに見上げた星空。
でも、
どんなに星空の中を探しても、
キラキラと眩い星は沢山あるのに、
あの『1つだけの星』は、ありませんでした。
それでも。
私の心の中には、
あの幼い日に見付けた『1つだけの星』が、
輝いているのです。
それは、貴方との思い出であり、
貴方の面影であり、貴方の存在そのものです。
そう。
私の希望の星は…1つだけ。
見上げた星空に、『1つだけの星』が見えなくても、
私の希望の星は、心の中に輝いています。
ひとつだけ、
ひとつだけわがままを言うなら、
またあなたに会いたい。
あなたの姿を、あなたの声を、
僕の五感でとらえたい。
どれだけ頑張っても、
あなたにさようならは言えそうにないんだ。
こうやって書くだけで、
悲しくてたまらなくなってくるからね。
会う度にこれが最後かもしれないなんて
思ってみるけど、
だからこそ悔いのないように
笑って手を振るけれど、
だけど、
本当はいつもあなたに会いたい。
毎日のようにおはようを言えた日々は
たしかにあったんだ。
それがどれだけ幸せなことか。
それにどれだけ元気づけられたか。
あなたに会える、たったそれだけで、
僕は何日だって、何週間だって頑張れたんだよ。
ねえ、もうひとつのわがままを呟いてみるから。
健やかであれ。と。
大丈夫、きっとまた会いに来るよ。
大丈夫、だから、僕は、大丈夫。
信じて、手を振るんだ。
またね、がふさわしい僕でありたい。
じゃあ、また。
一つだけ願いが叶うなら完全なる無になりたい。
何も考えたくない。何もいらない。
消えてしまいたい。
「一つだけ願いをかなえてやろう」
えー、時間が進まないお部屋が欲しいな
部屋には電気と水道とネット環境があって、食べ放題のお菓子とドリンクサーバーがあって、最新鋭のパソコンとかタブレットがあれは充分かな
「欲張りな奴だ。一つだけと言ったろう」
“ひとつだけ”、いくつもあるうちのひとつだけ、同じものがいくらでもあるなかのひとつだけ、飴は100個あるけれどそのうちのひとつだけ。
ところで、ひとつだけではないものは、存在しているだろうか。まったく同じものが存在している何か。例えば、工業製品?
たまたま今日、CDのプレスについての記事を読んだ。プレス機のメーカーによって、プレス機を使っている工場によって、製造ラインによって、聞こえる音はかわるのだ、というはなし。
違う、ということに気付き、わたしに理解できるコミュニケーション方法で伝えてくれるひとがいたのだ。伝えることをしない、あるいはわたしには理解できない方法で伝えるもの(ひとだけを指すわけではない)のことまで考えると、同じメーカーのプレス機の同じ工場同じ製造ライン、同じ職人同じ作業者、同じ気温同じ湿度同じ気圧までクリアしていたとしても、出来上がった2枚のCDの音は、たぶん、違う。
ちなみに、デジタルデータは作業の度にコピーを繰り返すので、まるで違ってしまうらしい。
では、工業製品であっても“同じもの”は存在しないかもしれない。かも。なんであれ、ひとつだけしかないのだ。
違いしかない。共通点だと思ったそれも、多分違いの方が大きい。違いしかなくて、それでいいんじゃないか。
違いしかなくて、だからコミュニケーションはいつも不完全で、それで、別に。
不完全なものは愛しい。
詩『1つだけ』
1つだけ
何でも願いが叶うなら
永遠の
命をくれって言うでしょう
1つだけ
何でも願いが叶うなら
あの人を
生き返らせてと頼むかな?
1つだけ
何でも願いが叶うなら
いくつでも
叶える魔法をくれ!と言う
1つだけ
いちばん大事なものは何?
生き甲斐さ
生きてて良かった…と思いたい
「一つだけ」
三択の問題で、答えは一つだけ。
「じゃあ残りの二択はどうなるの?」
「さぁ。ただのハズレじゃないですか?」
「うーん。それは、可哀想?」
「答えの一つ以外には、普通誰も興味ない。」
「そうだね。でも僕は残りの選択肢を見てみたいんだ。」
1つだけ言うなら
私の言葉は自分に酔っている
1つだけ言うなら
見返すのも心苦しくなる
1つだけ言うなら
見苦しくても、心からの叫び大事にしたい
題 1つだけ
1つだけ来世に持っていけるとしたら何をもっていくかな?
私は家でボーッとしながら考えていた。
でも、一瞬で結論が出る。
そう、それはお兄ちゃん!
「幸」
私は満面の笑みで振り向くとお兄ちゃんの腕に飛びついた。
「私がずっと独占したいな〜」
「幸ってば、何言ってるの」
苦笑するお兄ちゃん。
だって好きなんだもん。
恋愛ってわけじゃないけど、誰にも取られたくないって思ってしまう。
だから、もし私が一つだけ来世へ連れていけるならお兄ちゃん。
来世では、どんな関係で産まれるか悩むところだけど、とりあえず、ずっと一緒にいたいな!
「あの頃の願い」
あの頃、ひそかに願っていたことは、ひとつだけだった。
絶対に、叶うことがないって、わかっていたから、神頼みもしていない。
人生何があるかわからない。
一年後はどこにいるか、何をしているか、わからないような、そんな年頃になった私たち。
住んでいるところも、立場も変わってしまえば、考え方だって変わってしまう。
もう二度と会うことすら出来ない子もいる。
あの頃に願っていたことは、恋愛成就でも仕事のことでもなくて、ただ、ずっとみんなとこうしていたい、ということだった。
絶対に叶うことのない願い。
だけど、あの頃、なによりも大切だった。
──── 一つだけ
1つだけ、
1つだけ、願いが叶うなら
好きな人に会いたいと思う。
またばったり会って
あの時、伝えられなかった気持ちを
お話できますように。
...2つになってしまった。
一番大切なものを一つだけ決めるとしたら、キミは何を選ぶ?
そう問うと君は純真無垢な顔を傾けてこう答えるんじゃないだろうか。
そんなのは選べないよ。家族は大切だし、貴方を含めた友人もペットだって私の周りの人やものはみんな大切なものだもの。
人一倍優しくて謙虚な君はそこに自分を含めない。その優しさと謙虚さが君をさらに追い詰める。
だから僕は君を守りたい。君が自分以外の全てを大切にすると言うなら僕は君だけを大切にしたい。
伝えたい気持ちは ひとつだけなのに
予防線なのか 更に言葉を足すよ
上手に言葉に直せなくて いつも迷子
それなのに まだ残っているから
身体じゃない場所 傷は増えていく
裸のままの言葉でも良いよ
寧ろ そっちの方が難しいと思う
それは 多分 みんな同じ
何か話そう 何を話そう
「瑠璃色の地球」
夜明けの来ない夜はないさ
あなたがポツリ言う
燈台の立つ岬で
暗い海を見ていた
悩んた日もある哀しみに
挫けそうな時も
あなたがそこにいたから
生きて来られた
朝日が水平線から
光の矢を放ち
二人を包んでゆくの
瑠璃色の地球
泣き顔が微笑みに変わる
瞬間の涙を
世界中の人たちに
そっとわけてあげたい
争って傷つけあったり
人は弱いものね
だけど愛する力も
きっとあるはず
ガラスの海の向こうには
広がりゆく銀河
地球という名の船の
誰もが旅人
ひとつしかない
私たちの星を守りたい…
作詞 松本隆
口ずさむ時は
何時もひとりで
ひとりだけの
人を想う
このたったひとつの星で
このたったひとつの時に
出逢えた奇跡
互いに
ひとつしかない
私たちの命を守りたい
100年後の来世でも
このたったひとつの星で
このたったひとつの時に
めぐり逢いたい
ひとつしかない
互いの命を抱き締めて
たったひとつの瞬間に
たったひとりのあなたと
めぐり逢いたい
そう願う人たちのために
たったひとつの
この星を守りたい。
2024年4月3日
心幸
1つだけ
「1つだけ良いですか」で始まる質問は
大体1つで終わらないんだよな
一つだけ、願い事が叶うなら
もう一度だけ、あなたに会いたい。
会って、あの時のように重なりたい。
好きだなんて、言わなくていいから。
ただ、もう一度だけ。
一緒にいたい。
『1つだけ叶うなら』
─── 努力し続ける才能が欲しい。
素晴らしい誰にも負けない能力も、永遠の美貌と命も、使い切れないほどの大金もいらないから。だから、自分の望みを自力で叶えられるだけのチャンスが与えられる力が欲しいと、その人は真っ直ぐに言った。
誰もが非現実的な夢のような御伽噺を願った。そんな軽いほんのアイスブレイクのテーマで、背伸びして届くギリギリの実現させることを視野に入れた望みを囁いた人物。
周りは彼の人を指して変わった人だと形容した。空気の読めない人物だと。けれど、私にとっては目がさめるような言葉であった。叶えたいのなら叶えるまでだと、なんの疑問も持たず言えるその真っ直ぐさと強さは 既に自分が無くしてしまったそれであったから。誰よりも現実的なリアルを語っていたにも関わらず、無垢な子供の純粋さで夢を届くと言っているように聞こえたから。
(あなたは簡単に手を伸ばせてしまうのね)