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“ひとつだけ”、いくつもあるうちのひとつだけ、同じものがいくらでもあるなかのひとつだけ、飴は100個あるけれどそのうちのひとつだけ。
ところで、ひとつだけではないものは、存在しているだろうか。まったく同じものが存在している何か。例えば、工業製品?
たまたま今日、CDのプレスについての記事を読んだ。プレス機のメーカーによって、プレス機を使っている工場によって、製造ラインによって、聞こえる音はかわるのだ、というはなし。
違う、ということに気付き、わたしに理解できるコミュニケーション方法で伝えてくれるひとがいたのだ。伝えることをしない、あるいはわたしには理解できない方法で伝えるもの(ひとだけを指すわけではない)のことまで考えると、同じメーカーのプレス機の同じ工場同じ製造ライン、同じ職人同じ作業者、同じ気温同じ湿度同じ気圧までクリアしていたとしても、出来上がった2枚のCDの音は、たぶん、違う。
ちなみに、デジタルデータは作業の度にコピーを繰り返すので、まるで違ってしまうらしい。
では、工業製品であっても“同じもの”は存在しないかもしれない。かも。なんであれ、ひとつだけしかないのだ。
違いしかない。共通点だと思ったそれも、多分違いの方が大きい。違いしかなくて、それでいいんじゃないか。
違いしかなくて、だからコミュニケーションはいつも不完全で、それで、別に。
不完全なものは愛しい。

4/3/2024, 2:13:25 PM