渚雅

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『1つだけ叶うなら』

─── 努力し続ける才能が欲しい。

素晴らしい誰にも負けない能力も、永遠の美貌と命も、使い切れないほどの大金もいらないから。だから、自分の望みを自力で叶えられるだけのチャンスが与えられる力が欲しいと、その人は真っ直ぐに言った。

誰もが非現実的な夢のような御伽噺を願った。そんな軽いほんのアイスブレイクのテーマで、背伸びして届くギリギリの実現させることを視野に入れた望みを囁いた人物。

周りは彼の人を指して変わった人だと形容した。空気の読めない人物だと。けれど、私にとっては目がさめるような言葉であった。叶えたいのなら叶えるまでだと、なんの疑問も持たず言えるその真っ直ぐさと強さは 既に自分が無くしてしまったそれであったから。誰よりも現実的なリアルを語っていたにも関わらず、無垢な子供の純粋さで夢を届くと言っているように聞こえたから。


(あなたは簡単に手を伸ばせてしまうのね)

4/3/2024, 1:55:58 PM